2016年から2025年にかけて、日本のジャム(150g)の小売価格は上昇傾向にあり、最新の平均価格は264.2円。富山や新潟など地方都市で価格が高く、神戸や鹿児島など都市部で価格が低い一方、安価な地域でも急激な値上げが進行している。背景には原材料や物流コストの上昇、円安、健康志向による高付加価値商品の需要増などがある。今後は地域格差と価格受容性が課題となり、品質と価格のバランスが重要視される。
菓子類・飲料の都市別小売価格
ジャム価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 富山 | 新潟 | 大分 | 佐賀 | 青森 | 熊本 | 山口 | 大阪 | 宮崎 | 静岡 |
最新値[円] | 264.2 | 322 | 321 | 321 | 321 | 311 | 296 | 295 | 295 | 290 | 289 |
平均比[%] | 100 | 121.9 | 121.5 | 121.5 | 121.5 | 117.7 | 112 | 111.6 | 111.6 | 109.8 | 109.4 |
前年月同比[%] | 13.36 | 50.47 | 36.6 | 29.96 | 33.2 | 21.01 | 17.46 | 31.11 | 31.7 | 20.33 | 17.48 |
ジャム価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 神戸 | 鹿児島 | 高松 | さいたま | 京都 | 福岡 | 甲府 | 水戸 | 岐阜 | 福井 |
最新値[円] | 264.2 | 192 | 192 | 214 | 230 | 230 | 230 | 236 | 240 | 241 | 242 |
平均比[%] | 100 | 72.66 | 72.66 | 80.99 | 87.04 | 87.04 | 87.04 | 89.31 | 90.83 | 91.21 | 91.59 |
前年月同比[%] | 13.36 | -14.67 | -9.434 | -8.936 | 0 | 10.58 | 0 | -2.479 | -4.762 | 4.329 | 7.556 |
これまでのジャム・バターの推移


詳細なデータとグラフ
ジャムの現状と今後
ジャムは日常的に使われる食品であり、パンやヨーグルトとともに、多くの家庭で親しまれています。特に、果物の豊かな風味を手軽に楽しむことができるため、その需要は高いものです。しかし、近年の物価上昇や原材料の高騰が影響を与え、ジャムの価格も上昇しています。これは製造業者が原材料費や流通コストの増加に対応するため、価格転嫁を行っているためです。加えて、地域ごとの価格差が顕著に現れ、消費者にとって価格の動向は重要な関心事となっています。
本章では、2016年3月から2025年3月までのジャム1瓶150gの小売り価格データをもとに、価格動向、都市別の特徴、そして最近の価格上昇の要因について解説します。
ジャム1瓶150gの価格動向(2016年3月~2025年3月)
平均価格の推移
2025年3月時点でのジャム1瓶150gの平均価格は264.2円です。価格は2016年から見ても確実に上昇しており、特に2020年以降に顕著な上昇が見られます。原材料費の上昇や、輸送コストの増加、さらには消費者の健康志向に応じた高品質な製品が求められるようになったことで、製造コストが増大し、結果として価格が上昇しました。
加えて、消費者が求める製品の多様化(例えば、無添加やオーガニック、低糖質製品の登場)も、製品価格に影響を与える要因の一つとなっています。これらの製品は製造工程が複雑であり、コストが高くなる傾向があります。
高価格地域と低価格地域
ジャムの価格は地域ごとに大きく異なります。以下に、価格が高い地域と低い地域を示します。
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高価格地域:最も高い価格を記録しているのは富山(322円)で、次いで新潟(321円)、大分(321円)、佐賀(321円)などが続きます。これらの地域では、供給側の物流コストや消費者の購買力、そして高品質な製品に対する需要が価格を押し上げていると考えられます。
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低価格地域:一方で、神戸(192円)、鹿児島(192円)などでは、ジャムの価格が比較的低く抑えられています。これらの地域では、競争が激しく、価格を安定させるために小売店が低価格で提供している可能性が高いです。
年間比較と増加率
前年同期からの増加率を見てみると、高価格地域では大幅な増加が見られます。例えば、富山は50.47%、新潟は36.6%、大分は29.96%という増加率を記録しており、これらの地域ではジャムの価格が急騰しています。これに対して、低価格地域では増加率が低いか、マイナスとなっている地域もあります。例えば、神戸は-14.67%、鹿児島は-9.43%と、価格がむしろ下がっている地域もあります。
これらの差は、地域ごとの供給状況や消費者の購買傾向、さらには物流コストや市場競争に大きく影響されています。
都市別の特徴と価格差の要因
高価格地域の特徴
富山、新潟、大分、佐賀などの高価格地域には以下の特徴が見られます:
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物流コストの影響:地方都市では、都市部よりも物流コストが高くなる傾向があります。特に、製品の供給が都市圏から遠い地域では、輸送費がかさみ、そのコストが価格に転嫁されることがあります。この影響を受け、富山や新潟などの地域では価格が高くなることがあります。
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高品質志向:これらの地域では、特に健康志向や品質へのこだわりが強い消費者が多く、無添加やオーガニック、地元産の素材を使った製品への需要が高まっています。これにより、製品の価格が高く設定される傾向にあります。
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限られた競争:地方都市では競争が激しくない場合があり、そのため、価格が高くても消費者が購入する傾向が強いです。特に、地元ブランドや特定の特徴を持ったジャムが優先的に販売され、価格が上昇している可能性があります。
低価格地域の特徴
神戸、鹿児島、高松などの低価格地域には以下の特徴が見られます:
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競争の激しさ:都市圏やその周辺地域では、小売店間の競争が激しく、消費者にとって価格が重要な選択基準となります。このため、小売店は価格を抑えるために努力し、結果的にジャムの価格が低く設定されることがあります。特に、神戸や鹿児島などの都市では、価格競争が激化しており、低価格が維持されていることが見受けられます。
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安定した供給と市場の成熟:これらの地域では、ジャムの市場が成熟しており、安定した供給が提供されています。そのため、価格の安定性が保たれ、消費者にとって手ごろな価格で提供されています。
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物流の効率化:都市部では、物流が効率的に行われているため、輸送コストが低く抑えられます。そのため、地方都市と比べて価格が安定していることが多いです。
最近の価格上昇の要因
原材料費の高騰
ジャムの主な原材料である果物、砂糖、ペクチンなどは、天候や収穫状況に大きく依存しています。特に果物の収穫量が減少したり、農産物に異常気象が影響を与えたりすると、その原材料費が急上昇します。このコスト増加が、最終的にジャムの販売価格に転嫁されるため、価格が上昇しています。
物流コストの増加
近年、物流コストが大きく増加しています。特に燃料費の高騰や配送業界の人手不足が影響しており、これにより地方への配送費用が増加しています。このため、地方での販売価格が高くなる一因となっています。
消費者の健康志向
消費者の健康志向の高まりにより、無添加やオーガニックのジャムなどが人気を集めています。これらの製品は、製造過程が複雑であったり、高品質の原材料を使用しているため、コストが高くなり、最終的に価格が上昇します。特に、これらの製品に対する需要が高い地域では、価格が急激に上昇している傾向があります。
今後の展望と消費者への影響
価格上昇の予測
ジャムの価格は、今後も原材料費や物流コストの上昇により、引き続き上昇する可能性があります。特に、果物の収穫状況や天候の影響を受けやすいジャムの製造業界では、価格の変動が激しくなることが予想されます。
消費者への影響
ジャムの価格上昇は、消費者にとって一定の負担となります。特に、日常的に購入する消費者にとっては、微細な価格差でも年間で大きな差が生じることがあります。消費者は、価格変動に柔軟に対応し、割引や特売などを利用してコストを抑える必要があります。
まとめ
ジャム1瓶150gの価格は、地域ごとに大きな差があり、物流コストや地域の購買力、そして消費者の健康志向が価格に影響を与えています。近年の原材料費や物流コストの上昇が、ジャムの価格に大きな影響を与えており、特に地方都市ではその傾向が顕著です。消費者にとっては、価格上昇に対応するため、賢い消費を行うことが求められます。
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