パートタイム労働者の給与総額とボーナス額、企業規模別の給与差分析

毎月勤労統計調査全国調査は、日本標準産業分類に基づく16大産業の常用労働者5人以上の事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を毎月把握する調査です。約190万事業所から抽出した約33,000事業所を対象に、名目賃金や実質賃金、労働時間などのデータを収集します。2012年から最新のデータを含め労働者数や給料のデータをグラフ化しています。

パートタイム労働者の給与水準は、フルタイム労働者に比べて低く設定されていることが多いです。これは、労働時間の短さや雇用形態に起因する部分が大きいですが、企業の規模によって給与の差が生じる点も重要です。特に大企業では、パートタイム労働者でも比較的高い給与やボーナスが支給されることがあり、逆に小規模企業ではその額が低くなる傾向があります。

パートタイム労働者の給与総額の格差

従業員数1000人以上

従業員数1000人以上の企業におけるパートタイム労働者の給与総額の最大値は17.64万円（2024年6月）となっています。この規模の企業では、全体的に給与水準が高く、パートタイム労働者にも比較的好条件が提供されていることが分かります。大手企業は、通常、財務的に安定しており、福利厚生や昇給の制度も整備されていることが多いため、パートタイム労働者に対しても給与や待遇が比較的良い傾向にあります。

従業員数500-999人

従業員数500-999人の企業では、パートタイム労働者の給与総額の最大値は16.28万円（2024年12月）となっており、大企業ほどではないものの、安定した経営基盤により比較的高い給与が支給されています。この規模の企業では、正社員と比べてパートタイム労働者の給与は低いものの、一定の安定性や働きやすさがあり、給与額もそれなりに高い水準が保たれています。

従業員数100-499人

従業員数100-499人の企業における最大給与総額は15.32万円（2024年12月）となっており、従業員数が1000人以上の企業や500人以上の企業に比べるとやや低めです。この規模の企業は中規模企業にあたり、労働条件や給与の面で柔軟性を持ちつつも、経済的にはやや厳しい場面もあります。それでも、小規模企業に比べると安定した給与が支払われることが多いです。

従業員数30-99人

従業員数30-99人の企業では、パートタイム労働者の最大給与総額は13.81万円（2024年12月）です。この規模では、給与がさらに低くなり、従業員一人一人への支払いが少なくなる傾向があります。小規模企業では、経済的な余裕が少なく、パートタイム労働者に支払える給与額が限られてしまうことが多いです。しかし、企業規模が小さい分、社員間の距離が近く、仕事のやりがいや職場環境にはメリットがある場合もあります。

従業員数5-29人

従業員数5-29人の企業では、パートタイム労働者の最大給与総額は11.4万円（2024年12月）となっており、最も低い水準です。この規模の企業では、給与が低く、福利厚生も限られることが多いため、パートタイム労働者には他の企業と比較して非常に厳しい条件が課されることが一般的です。とはいえ、小規模企業ならではの柔軟性や、働きやすさがメリットとなる場合もあります。

パートタイム労働者のボーナス額の格差

ボーナス額の比較

パートタイム労働者のボーナス額についても、企業規模別に顕著な格差が見られます。最大ボーナス額は、従業員数500-999人の企業で2.638万円（2024年12月）となっており、この規模の企業ではボーナスが比較的高い水準で支給されています。従業員数1000人以上の企業では2.477万円（2024年12月）、100-499人の企業では2.169万円（2024年12月）となっており、従業員数が多い企業ほど若干高めのボーナスが支給される傾向があります。

一方で、従業員数30-99人の企業ではボーナス額は2.435万円（2024年12月）となり、5-29人の企業では1.649万円（2024年12月）と、規模が小さくなるほどボーナス額は少なくなります。このように、企業規模によってボーナスの額にも大きな差があり、小規模企業ではボーナス支給自体が難しいケースもあります。

フルタイム労働者との比較

パートタイム労働者とフルタイム労働者の給与水準を比較すると、全体的にフルタイム労働者の方が遥かに高い給与を受け取っていることが分かります。例えば、フルタイム労働者の最大給与は従業員数1000人以上で127.9万円（2024年12月）に達しており、パートタイム労働者の最大給与総額17.64万円（2024年6月）と比較すると、フルタイム労働者の給与が圧倒的に高いことが明らかです。また、ボーナス額についても、フルタイム労働者の最大ボーナスは81.46万円（2024年12月）であり、パートタイム労働者の最大ボーナスの2.638万円（2024年12月）と比べて格差が広がります。

この差は、労働時間や雇用形態の違いによるものですが、企業規模に関係なく、パートタイム労働者の給与とボーナス額が低く、フルタイム労働者との間に大きな格差が存在することが分かります。

まとめ

パートタイム労働者の給与やボーナス額は、企業の規模によって大きく異なり、特に大企業や中規模企業では比較的高い給与が支払われる一方、小規模企業では低い給与となる傾向があります。フルタイム労働者と比較すると、パートタイム労働者は給与水準もボーナス額も大きく低く、雇用形態の違いが大きな影響を与えています。今後、パートタイム労働者に対する給与や待遇の改善が求められ、働き方改革が進むことが期待されます。