2025年の世界全体の国民総貯蓄率は約26%で、カタールやパナマ、中国が40%超えの高水準を維持しています。前年と比較すると、資源依存国の貯蓄率は減少傾向にある一方、台湾やパナマは増加。国民総貯蓄率は経済の安定性や投資余力を示す指標であり、今後は資源価格変動や人口動態、経済政策によって国ごとに差異が広がると予測されます。
世界経済のデータとグラフ
国民総貯蓄(GDP比)、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 世界 | カタール | パナマ | 中国 | イラン | ノルウェー | シンガポール | アンゴラ | クウェート | ネパール | ナイジェリア |
最新値[%] | 25.97 | 46.67 | 42.7 | 42.36 | 39.94 | 39.68 | 39.3 | 37.78 | 37.54 | 36.98 | 36.01 |
前年比[%] | -1.513 | -8.579 | +4.156 | -0.764 | -4.32 | -3.549 | -1.117 | -2.636 | -11.41 | +0.697 | -9.351 |
国民総貯蓄(GDP比)の推移


詳細なデータとグラフ
国民総貯蓄(GDP比)の現状と今後
国民総貯蓄率とは、国内の総所得から消費を差し引いた部分がGDPに占める割合を示します。これは国全体の貯蓄余力や投資資金の源泉として重要な指標であり、経済の持続的成長や財政健全性を判断するうえで欠かせません。家計、企業、政府などの全ての主体の貯蓄が含まれます。
これまでの動向(1980年~2025年予測)
世界全体の推移
1980年代以降、世界の国民総貯蓄率は変動を繰り返しながらも概ね20~30%のレンジで推移しています。経済成長期には貯蓄率が高まる傾向が強く、特に資源国や東アジアの発展国は高い貯蓄率を維持してきました。リーマンショックなどの経済危機時には貯蓄率が変動し、不安定な局面も見られます。
高貯蓄国の特徴
カタール、パナマ、中国、イラン、ノルウェー、シンガポールといった国々は、特にGDP比で40%前後の高い国民総貯蓄率を示しています。これらの国は資源収入の豊富さや国家レベルでの貯蓄・投資重視の政策、輸出主導型経済が背景にあります。
2025年の主要国の国民総貯蓄率と変動
高貯蓄率国の構成(順位と数値)
-
カタール 46.67%(前年比 -8.579%)
-
パナマ 42.7%(+4.156%)
-
中国 42.36%(-0.764%)
-
イラン 39.94%(-4.32%)
-
ノルウェー 39.68%(-3.549%)
-
シンガポール 39.3%(-1.117%)
-
アンゴラ 37.78%(-2.636%)
-
クウェート 37.54%(-11.41%)
-
ネパール 36.98%(+0.697%)
-
ナイジェリア 36.01%(-9.351%)
増減率の特徴
カタール、クウェート、ナイジェリアなどの資源依存国では、貯蓄率が大幅に減少している傾向があります。1方、台湾(+5.241%)、パナマ(+4.156%)、ネパール(+0.697%)などは増加傾向であり、国ごとの経済構造や政策の違いが鮮明です。
国民総貯蓄率の特徴と課題
貯蓄率の意義
国民総貯蓄率は、投資資金の供給源となるため、経済成長の基盤を支えます。高貯蓄率は内需の安定や外部ショック耐性を高め、インフラ整備や技術開発投資に充てることが可能です。
資源依存のリスク
資源価格の変動により貯蓄率が大きく揺れる国が多いのが実態です。価格下落時には貯蓄率が急減し、財政赤字や経済の脆弱化を招きやすく、持続可能な成長の足かせとなります。
社会構造と高齢化の影響
高齢化が進む国では、家計貯蓄の減少や政府支出の増大が貯蓄率低下をもたらします。また、若年層の多い新興国では消費拡大が貯蓄率を押し下げる傾向もあります。
今後の推移予測と注目点
資源価格と国際経済の変動
今後数年でエネルギー・資源価格は引き続き変動リスクを抱え、資源依存国の貯蓄率は上下動を続ける見込みです。経済の多角化や資金運用の効率化が課題となります。
経済政策の影響
財政政策や社会保障制度の改革が国民貯蓄率に大きく影響します。貯蓄促進のための税制優遇や金融教育の充実が重要となるでしょう。
人口動態の変化
高齢化社会の拡大に伴い、労働力減少や医療・年金支出の増加で貯蓄率の低下圧力が高まる1方、新興国の人口増加と経済成長で貯蓄率の上昇も期待されます。
まとめ:国民総貯蓄率は経済安定と成長の鍵、構造変化に対応した政策が不可欠
国民総貯蓄率(GDP比)は国の経済力を支える根幹の指標であり、世界全体で約26%を維持する1方、高貯蓄国は多くが資源国や輸出主導国に偏っています。資源価格変動や人口動態の変化、経済政策の違いによって国別の貯蓄率は大きく揺らぐため、持続可能な成長には多角化・制度改革が不可欠です。今後も国民貯蓄率の動向は各国の財政健全性や投資環境を左右する重要な指標として注目され続けるでしょう。
コメント