日本の牧草生産は1960年以降の変化を経て、現在の作付け面積は全国で70.52万haとなっています。特に北海道が52.23万ha(74.06%)を占め、続いて東北(8.02万ha)、九州(6.02万ha)となっています。一方、近畿や四国などの温暖地域では作付け面積が限られています。収穫量は全国で2397万t、北海道が70.81%を占めていますが、中小規模農家の減少や異常気象の影響、輸入飼料への依存が課題となっています。今後は安定供給のための技術革新が求められます。
牧草の作付け面積の全国データ
全国 | 北海道 | 東北 | 九州 | 関東・東山 | 中国 | 東海 | 北陸 | 四国 | 近畿 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1991年 | 1996年 | 1988年 | 1984年 | 1984年 | 1972年 | 1983年 | 1982年 | 1973年 | 1981年 |
最新値[万ha] | 70.52 | 52.23 | 8.02 | 6.02 | 1.79 | 0.887 | 0.47 | 0.26 | 0.126 | 0.12 |
最大値[万ha] | 84.22 | 58.37 | 11.87 | 7.48 | 3.54 | 2.07 | 1.26 | 0.759 | 0.641 | 0.513 |
前年比[%] | -0.8715 | -0.5522 | -3.023 | -3.371 | -2.186 | -5.538 | -3.093 | -7.473 | -2.326 | -4 |
全体比[%] | 100 | 74.06 | 11.37 | 8.537 | 2.538 | 1.258 | 0.6665 | 0.3687 | 0.1787 | 0.1702 |
牧草の収穫量の全国データ
全国 | 北海道 | 九州 | 東北 | 関東・東山 | 中国 | 東海 | 北陸 | 四国 | 近畿 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1990年 | 1995年 | 1983年 | 1990年 | 1981年 | 1972年 | 1987年 | 1982年 | 1979年 | 1981年 |
最新値[万t] | 2397 | 1698 | 311.5 | 202.2 | 67.42 | 28.82 | 14.36 | 7.42 | 5.59 | 3.75 |
最大値[万t] | 3406 | 2071 | 496 | 469.2 | 179.5 | 88.32 | 68.15 | 28.99 | 36.91 | 28.75 |
前年比[%] | -4.353 | -3.518 | -4.682 | -9.651 | -17.79 | -12.4 | -16.46 | -12.29 | -8.66 | -27.04 |
全体比[%] | 100 | 70.81 | 12.99 | 8.435 | 2.812 | 1.202 | 0.599 | 0.3095 | 0.2332 | 0.1564 |
牧草の10a当りの収穫量データ
全国 | 九州 | 四国 | 関東・東山 | 北海道 | 中国 | 近畿 | 東海 | 北陸 | 東北 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2008年 | 2008年 | 2008年 | 2008年 | 2011年 | 2008年 | 2008年 | 2007年 | 2011年 | 2008年 |
最新値[kg] | 3400 | 5170 | 4440 | 3770 | 3250 | 3250 | 3130 | 3060 | 2850 | 2520 |
最大値[kg] | 3750 | 6040 | 5390 | 4970 | 3360 | 4000 | 5350 | 4440 | 3060 | 3620 |
前年比[%] | -3.409 | -1.336 | 3.016 | -12.73 | -2.985 | -2.985 | -12.32 | -11.05 | 6.343 | -3.817 |
全国比[%] | 100 | 152.1 | 130.6 | 110.9 | 95.59 | 95.59 | 92.06 | 90 | 83.82 | 74.12 |
牧草の農業についての推移と展望
日本の牧草生産は、1960年以降の長期的な変化を経て、現在は全国で70.52万haの作付け面積となっています。特に北海道が52.23万haと全体の74.06%を占めており、続いて東北(8.02万ha、11.37%)、九州(6.02万ha、8.537%)と続きます。一方、近畿(0.12万ha、0.1702%)、四国(0.126万ha、0.1787%)、北陸(0.26万ha、0.3687%)などでは作付け面積が非常に少なくなっています。
収穫量の全国合計は2397万tであり、北海道が1698万t(70.81%)と圧倒的に多く、九州(311.5万t、12.99%)、東北(202.2万t、8.435%)が続きます。収穫量の全国平均は10a当たり3400kgと安定しており、特に北海道では広大な土地を活用した効率的な牧草生産が行われています。
これまでの特徴と最近の課題
(1) 牧草生産の特徴
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北海道の優位性:気候や広大な土地を活かし、全国の大部分の牧草を生産。
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九州・東北の役割:北海道に次ぐ生産地として酪農や畜産業を支える。
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温暖地域の課題:関東・東山、中国、四国、近畿では高温や土地利用の競合が影響し、作付け面積が限定的。
(2) 最近の課題
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農業従事者の高齢化と後継者不足
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牧草生産の担い手が減少し、特に中小規模の農家の継続が難しくなっている。
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輸入飼料への依存
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国内生産の限界により、海外からの輸入飼料が増加し、価格変動や供給不安が生じている。
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気候変動の影響
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異常気象による生産量の不安定化や、一部地域での干ばつ・豪雨による収穫の減少。
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土地利用の競争
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牧草地の一部が宅地開発や他の農作物への転換により縮小している。
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地域別の特色
(1) 北海道
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全国最大の牧草生産地。
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酪農との一体化が進み、広大な土地で安定した生産。
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収穫量は他地域を圧倒し、約1700万tに達する。
(2) 東北
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冷涼な気候を活かした牧草生産。
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農業従事者の高齢化が課題。
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酪農業の支援策が求められる。
(3) 九州
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温暖な気候で通年の生産が可能。
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酪農と畜産が盛んで、牧草の需要が高い。
(4) 関東・東山、中国、四国、近畿
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作付け面積が少なく、土地利用の競争が厳しい。
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小規模な牧草地が点在し、地域特化型の生産が進む。
今後の展望と必要な技術
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自給率向上のための高収量品種の開発
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気候変動に強い牧草品種の開発が求められる。
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スマート農業の導入
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ドローンやAIを活用した生産管理により、収穫量の向上と労働負担の軽減を図る。
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持続可能な農業技術の活用
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省エネルギー型の生産方法や、環境負荷を軽減する技術の導入。
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政府の支援強化
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若手農業者への支援策の充実や、土地利用の適正化。
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まとめ
日本の牧草生産は北海道を中心に行われており、全国の作付け面積は約70.52万ha、収穫量は2397万tに達しています。しかし、農業従事者の高齢化や輸入飼料の依存度の高さ、気候変動の影響など、多くの課題を抱えています。今後は高収量品種の導入やスマート農業技術の活用、持続可能な農業政策の推進が求められます。特に、北海道以外の地域では、地域特性に合った生産方法の確立が重要となります。
作付け面積と収穫量の推移


直近の作付け面積と収穫量の割合


10a面積当たりの収穫量と作況指数

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