世界の卵生産量は91.13Mtに達し、特に中国、インド、インドネシアで著しい成長を見せている。衛生や動物福祉、飼料価格などの課題はあるが、今後はアジア中心の生産拡大と技術革新により持続的成長が期待される。
生産量のデータとグラフ
卵生産量の最大と最新
世界 | 中国 | インド | アメリカ | インドネシア | ブラジル | メキシコ | ロシア | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2019年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最新値[Mt] | 91.13 | 30.99 | 7.853 | 6.529 | 6.506 | 3.417 | 3.172 | 2.591 |
最大値[Mt] | 91.13 | 30.99 | 7.853 | 6.707 | 6.506 | 3.417 | 3.172 | 2.591 |
前年比[%] | 2.259 | 2.783 | 3.176 | 0.009849 | 9.505 | 2.945 | 2.253 | 1.201 |
全体比[%] | 100 | 34.01 | 8.618 | 7.165 | 7.14 | 3.749 | 3.481 | 2.843 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
卵生産量についての推移と展望
卵は世界中で重要なタンパク源として位置づけられ、経済的にも環境的にも効率の良い動物性食品として評価されている。1961年以降、世界の卵生産は一貫して増加傾向にあり、2023年には91.13百万トン(Mt)に達した。本稿では、歴史的推移、主要国の特徴、現状の課題、そして今後の展望について章立てで詳述する。
世界の卵生産の長期的推移
1960年代の卵生産は現在の水準と比べて遥かに低く、主に農村部での小規模な飼育が中心だった。1970年代以降、都市化とともに産業化された養鶏が世界中に広がり、特にアジア諸国では所得向上とともに卵の需要が爆発的に増加。1990年代以降、世界の卵生産は毎年のように右肩上がりを続けてきた。
主要生産国の比較と特徴
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中国(34.01%) 世界最大の卵生産国で、全体の3分の1以上を占める。農村地域での家禽飼育が根強く残る一方、大規模農場も発達。前年比+2.783%と安定成長を継続。国内需要が大きく、輸出よりも国内消費重視。
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インド(8.618%) 急成長する卵市場。人口増加、都市化、ベジタリアン層の多さが背景にあり、動物性タンパクの中でも卵が重視されている。前年比+3.176%で堅調な増加。
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アメリカ(7.165%) 長年にわたり工業化された効率的な生産体制を築いてきた。2023年は微増(+0.009849%)にとどまるが、安定供給と品質の高さで知られる。動物福祉やケージフリー政策が進行中。
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インドネシア(7.14%) 東南アジアで最も卵生産が活発。前年比+9.505%と急成長中。家庭での卵消費が多く、今後さらに市場拡大の可能性。
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ブラジル(3.749%)・メキシコ(3.481%)・ロシア(2.843%) いずれも国内消費を中心に卵生産が拡大。特にメキシコは1人あたりの卵消費量が世界トップクラス。ブラジルとロシアは輸出も視野に入れた産業強化が進行している。
現状の課題とリスク
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感染症リスク 鳥インフルエンザの発生が地域的に断続しており、生産体制に大きな打撃を与える恐れがある。衛生対策の強化と早期検知体制の整備が急務。
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環境・動物福祉問題 大規模農場ではケージ飼育の是非が問われ、欧米ではケージフリーの動きが主流に。一方、発展途上国ではコストや効率を優先するため導入が進みにくい。
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価格変動と飼料高騰 卵の価格は飼料価格に大きく影響される。トウモロコシや大豆などの価格上昇が、生産者と消費者の双方に圧力をかけている。
今後の展望と予測
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アジア中心の生産拡大 中国・インド・インドネシアなどアジア諸国での生産拡大は今後も継続する見込み。人口増加と中間所得層の拡大が原動力。
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技術革新と自動化 AIやIoTを活用した鶏舎管理が普及し、効率化と衛生向上が期待される。特にアメリカや中国で導入が進む。
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代替卵製品の市場拡大 植物由来の「ヴィーガンエッグ」や培養卵が注目を集めており、今後一部市場で置き換えが進む可能性もある。
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国際貿易の再構築 卵製品(液卵・乾燥卵など)を中心に、貿易の活性化が進む。特に東南アジア・中東諸国が輸入市場として期待されている。
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