日本のししとう収穫量と産地別動向|高知・千葉などの現状と課題

果菜類



ししとうの2023年の全国収穫量は5.57千トンで前年比-6.544%と減少。高知県が全体の約35%を占めるも減少傾向が続き、千葉や奈良、山形など多くの県で前年割れ。一方、大分や愛媛は増加を見せ、施設栽培の拡大が効果を上げています。今後は担い手不足や気候変動に対応した技術導入とブランド化が鍵となる見込みです。

野菜収穫量のデータとグラフ

ししとう収穫量の最大と最新

全国 高知 千葉 宮崎 奈良 山形 大分 愛媛
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2022年 2023年 2023年 2023年
最大期 1990年 1989年 1994年 1989年 1992年 2000年 2009年 2023年
最新値[kt] 5.57 1.94 0.728 0.23 0.185 0.168 0.155 0.148
最大値[kt] 13 6.68 2.09 0.564 0.234 0.317 0.19 0.148
前年比[%] -6.544 -8.491 -7.614 1.77 -12.32 -14.29 25 8.029
全体比[%] 100 34.83 13.07 4.129 3.321 3.016 2.783 2.657

 

これまでの推移

ししとうの収穫量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

ししとうについての推移と展望

ししとう(獅子唐辛子)は、唐辛子の一種でありながら辛味が少なく、炒め物や焼き物として広く家庭料理に用いられています。日本では果菜類に分類され、温暖な気候での露地・施設栽培の両方が可能です。

全国的な収穫量の推移と2023年の概況

ししとうの全国収穫量は1989年以降、波がありながらも徐々に減少傾向にあります。2023年の収穫量は5.57千トンで、前年比では-6.544%と大幅な減少を記録。農家数の減少や気象リスク、消費量の停滞が背景にあります。

県別の収穫量と地域ごとの特徴

高知県(1.94kt / 全国比 34.83%)

高知県は断トツの生産量を誇り、施設栽培が盛んです。日射量が多く、安定した品質を保てる気候と、JAなどの出荷体制が強みです。とはいえ、前年比は-8.491%と厳しい状況が続いています。

千葉県(0.728kt / 全国比 13.07%)

関東近郊の大消費地に近い利点があり、露地とハウスの両方で生産されています。輸送コストが抑えられ販路に優れる一方、気候変動の影響を受けやすく、前年比は-7.614%と減少しました。

宮崎県(0.23kt / 全国比 4.129%)

温暖な気候を活かした施設栽培が中心です。前年比は1.77%と数少ない増加県で、若手農家の参入や農業法人の存在が影響していると見られます。

奈良県、山形県(各0.1kt台)

小規模ながら地域ブランド作りが進められており、例えば奈良では直販や地元スーパーとの連携が目立ちます。しかし奈良は前年比-12.32%、山形は-14.29%と苦戦しています。

大分県(0.155kt / +25%)

前年比+25%と唯一大幅増を記録。施設導入や技術継承の成果が出始めている可能性があります。

愛媛県(0.148kt / +8.029%)

前年比でもプラスとなり、温暖な沿岸部での生産安定が特徴です。今後は更なる出荷調整力が鍵となります。

課題と背景にある要因

  • 気候変動の影響:高温障害や干ばつが露地栽培に悪影響を及ぼしています。

  • 担い手不足:小規模農家の高齢化が進行しており、労働力の確保が困難です。

  • 価格競争と収益性の低さ:他の野菜に比べ、単価が低く労力に見合わないという声も多く、作付け転換が進んでいます。

今後の展望と政策的支援

  • スマート農業の導入:環境制御型ハウスやAIを用いた収穫予測の導入が、生産効率向上に寄与する見込みです。

  • 輸出・加工ニーズの掘り起こし:ししとうは海外では未開拓市場が多く、輸出品としての可能性があります。また、乾燥や冷凍食品向け加工も収益の柱に。

  • 地域ブランド化と直販の拡大:食味や安全性を売りに、産地直送型の販売モデルが注目されています。

 

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