日本のナス収穫量は1973年の714ktから2023年には288.8ktまで減少しました。主要産地は高知、熊本、群馬などで、各地の気候や施設栽培の特色が強みです。生産減少の背景には担い手不足や気候変動がありますが、スマート農業や地域ブランド化によって今後の安定や回復が期待されています。
野菜収穫量のデータとグラフ
なす収穫量の最大と最新
全国 | 高知 | 熊本 | 群馬 | 福岡 | 茨城 | 愛知 | 栃木 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1973年 | 2000年 | 2023年 | 1984年 | 1989年 | 1973年 | 1973年 | 1984年 |
最新値[kt] | 288.8 | 40.3 | 36.3 | 27.5 | 17.5 | 16.6 | 13.8 | 11.3 |
最大値[kt] | 713.7 | 51.1 | 36.3 | 36 | 37.5 | 49.4 | 33.6 | 24 |
前年比[%] | -1.969 | -0.7389 | 8.683 | -3.509 | 0 | -7.263 | -0.7194 | -1.739 |
全体比[%] | 100 | 13.95 | 12.57 | 9.522 | 6.06 | 5.748 | 4.778 | 3.913 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
なすについての推移と展望
ナス(茄子)は、日本の食卓に欠かせない夏野菜であり、広範な地域で栽培されてきました。1973年には約714ktという高い収穫量を記録しましたが、以降は徐々に減少傾向にあり、2023年には288.8ktまで落ち込みました。50年で約60%の減少となっており、背景には以下の要因が挙げられます:
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農業従事者の高齢化と後継者不足
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農地の宅地化や耕作放棄地の増加
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食生活の変化による野菜全体の消費量低下
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気候変動や自然災害の頻発
これらの要因は、ナスに限らず日本の多くの野菜に共通する課題です。
都道府県別の収穫量とその背景(2023年)
2023年のデータでは、以下の県が全国のナス生産の中核を担っています。
都道府県 | 収穫量 (kt) | 全国比 | 前年比 |
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高知県 | 40.3 | 13.95% | -0.7389% |
熊本県 | 36.3 | 12.57% | +8.683% |
群馬県 | 27.5 | 9.522% | -3.509% |
福岡県 | 17.5 | 6.06% | 不明 |
茨城県 | 16.6 | 5.748% | -7.263% |
愛知県 | 13.8 | 4.778% | -0.7194% |
栃木県 | 11.3 | 3.913% | -1.739% |
高知県:日本一の生産県
温暖な気候と日照量に恵まれた高知では、促成栽培・施設園芸が発達しており、1年を通じて出荷が可能です。特にビニールハウスの導入率が高く、安定した収量を維持しています。
熊本県:近年伸びている注目県
前年から8.6%の増加を記録しており、施設栽培と露地栽培を組み合わせた多様な生産体系が功を奏しています。水資源と広大な農地が強みです。
群馬県:夏秋なすの代表格
冷涼な気候を活かした夏秋ナスの生産が中心。露地や無加温ハウス栽培が多く、消費地へのアクセスの良さも強みです。
茨城県・愛知県・栃木県:広域な市場供給地
これらの県は出荷量はやや減少していますが、関東・中部など人口の多い消費圏への供給力を維持しています。
課題と生産環境の変化
気候変動と病害虫の影響
近年、温暖化による高温障害、病害虫(特にハダニ類やうどんこ病)の増加がナスの品質や収量に悪影響を与えています。
担い手不足と技術継承
収穫量の減少は、労働力不足と熟練技術者の引退も要因です。特に施設栽培は経験と管理技術が求められ、新規参入者にはハードルが高い傾向があります。
今後の展望と推移の予測
ICT活用による省力化と高収量化
スマート農業技術の導入(環境制御、AI予測など)により、省力化と収量安定が期待されます。特に高知や熊本では実証実験も進んでいます。
地域ブランド化と機能性訴求
「くまもと黒なす」や「高知なす」など、地域ブランドによる差別化も重要です。また、ナスに含まれるポリフェノールや抗酸化作用に注目した機能性食品の開発も期待されます。
将来的な推移
短期的には横ばい〜やや減少傾向が続くと見られますが、中長期的には以下の要因次第で回復の可能性もあります:
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若年層の新規就農支援政策
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輸出需要の拡大(アジア向け)
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消費地との連携による流通改善
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