そらまめ収穫量の推移と県別動向、課題と将来展望【2023年最新版】

果菜類



2023年の日本のそらまめ収穫量は11.4ktで前年比-13.64%。鹿児島が-45.82%と大幅減だった一方、千葉は+9.05%と増加し全国トップ。新潟も+15.04%と健闘。一方で全体的には高齢化や気象リスク、収益性の低さが課題。今後は施設栽培やブランド化が重要になる。

野菜収穫量のデータとグラフ

そらまめ収穫量の最大と最新

全国 千葉 鹿児島 茨城 愛媛 新潟 宮城 香川
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2004年 2005年 2003年 2002年 2002年 2002年 2002年 2006年
最新値[kt] 11.4 2.41 1.75 1.25 0.523 0.459 0.447 0.418
最大値[kt] 23.3 3.3 7.22 2.09 2.03 1.1 1.44 0.762
前年比[%] -13.64 9.05 -45.82 1.626 -13.84 15.04 -6.092 -6.278
全体比[%] 100 21.14 15.35 10.96 4.588 4.026 3.921 3.667

 

これまでの推移

そらまめの収穫量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

そらまめについての推移と展望

そらまめは春から初夏にかけて旬を迎える豆類で、日本では古くから親しまれている食材です。独特の風味と食感を持ち、家庭料理から居酒屋メニューに至るまで幅広く利用されています。本稿では2002年から2023年にかけてのそらまめの収穫量データをもとに、全国的な動向、地域別の特徴、そして今後の課題と展望について考察します。


全国的な生産量の動向

2023年における全国のそらまめ収穫量は11.4ktとなり、前年比-13.64%と大幅に減少しました。この20年間、そらまめの収穫量は全体として漸減傾向にあり、背景には高齢化や作付け面積の縮小、天候不順、単価の低迷など複合的な要因が存在します。特に2023年は天候の影響を強く受けた年であり、複数の産地で収穫量が大きく落ち込みました。


主要産地の最新動向と地域特性

■ 千葉県(2.41kt/全国比21.14%、前年比 +9.05%)

千葉は全国最大のそらまめ産地です。温暖な気候と首都圏への地理的近さを活かし、新鮮な状態で市場へ供給できる利点があります。2023年は天候に恵まれ、生産者の工夫もあり前年比で増加。施設栽培や早採り品種の導入など、効率的な栽培が安定生産を支えています。

■ 鹿児島県(1.75kt/15.35%、前年比 -45.82%)

冬でも暖かい気候を生かし、早出し出荷が得意な南九州の一大産地。しかし2023年は異常気象や病害虫の影響により、前年比45%以上の大幅減となりました。この落ち込みが全国収穫量の減少に大きく寄与しています。

■ 茨城県(1.25kt/10.96%、前年比 +1.626%)

関東地方の安定産地で、露地栽培を中心に品質の高いそらまめを生産しています。2023年も前年比微増と比較的安定しており、労働力確保や技術支援の体制が整っている点が強みです。

■ 愛媛県(0.523kt/4.588%、前年比 -13.84%)

四国の代表的な産地。温暖な気候を生かした栽培が行われていますが、近年は高齢化と担い手不足が進行しつつあり、2023年は収穫量が2桁減となっています。

■ 新潟県(0.459kt/4.026%、前年比 +15.04%)

日本海側では珍しく、寒冷地でも栽培されている地域。近年ではブランド化への取り組みや直販の強化が奏功し、2023年は大幅増加。地域農業の活性化策が実を結びつつあります。

■ 宮城県(0.447kt/3.921%、前年比 -6.092%)

冷涼な気候を活かした栽培が特徴。比較的安定した収穫量を保っていましたが、2023年はやや減少。市場ニーズに応えるため、小規模ながら高品質な品種に力を入れています。

■ 香川県(0.418kt/3.667%、前年比 -6.278%)

温暖な気候と瀬戸内型農業が特徴。地場消費向けの栽培が多く、直販や産直施設での販売が中心です。前年比でやや減少しているものの、地元のニーズに応える重要な供給源です。


そらまめ生産の課題

■ 労働力不足と高齢化

そらまめは栽培・収穫ともに手作業が多く、労力のかかる作物です。特に農業人口の高齢化により、作付けの継続が困難になっている地域が増加しています。

■ 天候リスクと病害虫の影響

さやが露出しており、雨風や気温変化に弱いため、天候不順の影響を受けやすい作物です。また、温暖化により病害虫の被害も拡大しており、防除コストの増大も課題です。

■ 市場価格の不安定性

需給バランスに左右されやすく、天候で一斉に出荷が遅れたり重なったりすると価格が暴落しやすく、農家の経営安定を阻んでいます。


今後の展望と対策

■ 施設栽培やスマート農業の導入

ICTを活用した環境制御や、省力化技術の導入によって、安定供給と労力の軽減を実現する必要があります。特に千葉県や新潟県では先進的な取り組みが見られ、他地域への普及が期待されます。

■ ブランド化と直販強化

「地域限定の味」「朝採り」など、価値を高める販売戦略を強化することで、価格競争から脱却し、農家の収益性を向上させる道が開けます。

■ 若手就農者への支援

そらまめは比較的短期で収穫でき、初心者でも取り組みやすい作物とされるため、新規就農者支援の一環として育成のターゲットにもなりえます。


まとめ

2023年のそらまめ収穫量は全国で11.4ktと前年比-13.64%の減少。鹿児島の落ち込みが全国的な影響を与えた一方で、千葉や新潟などは増加または安定を保ちました。生産現場では高齢化や天候リスク、収益性の課題が重くのしかかっています。今後は施設栽培・スマート農業の導入やブランド化、販路多様化によって、持続可能な生産体制を確立していくことが求められます。

 

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