1973年〜2023年のれんこん収穫量は減少傾向にありつつも、茨城県を中心に安定生産が続いています。高齢化や気候変動、病害虫といった課題がある一方、スマート農業や6次産業化、輸出拡大による改善が期待されます。都市別の動向では、新潟県など新興産地の台頭も見られます。
野菜収穫量のデータとグラフ
れんこん収穫量の最大と最新
全国 | 茨城 | 佐賀 | 徳島 | 愛知 | 山口 | 熊本 | 新潟 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2022年 |
最大期 | 1973年 | 2013年 | 1973年 | 1973年 | 1973年 | 1973年 | 1973年 | 1979年 |
最新値[kt] | 56.2 | 29.6 | 5.82 | 4.78 | 2.67 | 2.55 | 2.15 | 2.07 |
最大値[kt] | 104.4 | 30.6 | 10.8 | 17.5 | 11.6 | 10.6 | 4.7 | 5.31 |
前年比[%] | 0 | 4.965 | -20.6 | -3.434 | -3.261 | 13.33 | -4.018 | 23.95 |
全体比[%] | 100 | 52.67 | 10.36 | 8.505 | 4.751 | 4.537 | 3.826 | 3.683 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
れんこんについての推移と展望
れんこん(蓮根)は、日本の伝統的な食材であり、特に煮物や揚げ物などで親しまれています。1973年から2023年までの50年間にわたる収穫量の推移を見ると、全体としては徐々に減少傾向にあるものの、一部地域では安定した生産が続いています。2023年の全国平均収穫量は56.2千トン(kt)であり、1970年代のピーク時と比べて減少傾向が続いていることがわかります。
主要産地別の収穫量と特徴
茨城県(29.6kt)
れんこんの最大産地であり、全国の約52.7%を占めています。特に霞ヶ浦周辺では、湿地を活かした大規模な栽培が行われており、安定した収穫量が確保されています。前月比4.965%増と伸びも見られ、根菜類の中でも生産体制が整っています。
佐賀県(5.82kt)
有明海に面した干拓地を利用した栽培が特徴です。平均比では10.36%と茨城に次ぐ比率を誇りますが、2023年は前月比で-20.6%と大幅に減少しており、気象条件や病害虫の影響が懸念されます。
徳島県(4.78kt)
吉野川流域の水利を利用したれんこん栽培が行われています。全国シェアでは8.5%で、比較的安定した生産が続いていますが、2023年は前月比で-3.434%とやや落ち込みを見せました。
愛知県(2.67kt)
濃尾平野の肥沃な土地を活用しており、平均比では4.75%のシェア。前月比-3.261%と微減で推移しており、やや停滞気味です。
山口県(2.55kt)
西日本のれんこん産地として注目されており、前月比13.33%と大幅な増加を記録。平均比では4.54%と安定的に推移しています。
熊本県(2.15kt)
火山灰土壌を活かした栽培が特徴。平均比3.83%、前月比-4.018%とやや不安定さが見られます。
新潟県(2.07kt)
寒冷地でも栽培可能な耐寒性品種を利用。2023年の前月比は23.95%と急増しており、注目される新興地域です。
日本のれんこん農業が直面する課題
高齢化と後継者不足
れんこんは収穫に手間と時間がかかる作物であり、高齢の農業従事者が多く、若年層の新規参入が課題です。特に手掘り作業が多い地域では、高齢化による収穫力の低下が顕著です。
気候変動の影響
れんこんは水田で栽培されるため、気温や降水量の変動による影響を強く受けます。近年では集中豪雨や干ばつにより、病害虫が増加し、収量が減少する傾向が見られます。
病害虫のリスク
特にれんこんにはリゾクトニア病などの土壌病害が発生しやすく、化学農薬に頼らざるを得ない現状があります。環境に配慮した栽培技術の確立が求められています。
今後の展望と施策提案
スマート農業の導入
GPSを活用した収穫作業の自動化や、水管理のICT化などが進めば、高齢者でも無理なく栽培が可能になり、若者の参入も期待されます。
ブランド化と6次産業化
地域ごとのれんこんの特徴を活かしたブランド化や、れんこん加工品の製造・販売(チップス、パウダーなど)を通じた6次産業化の促進も重要です。
海外市場への展開
食物繊維の豊富さや低カロリー性から、健康志向の高いアジア諸国や欧米でも注目されています。輸出体制の強化が今後の鍵となります。
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