2025年3月の漢方薬1箱の平均価格は6,496円。新潟・岡山などで高く、鹿児島・徳島では安価。鳥取は前年比+12.54%と急上昇。一方、大阪や鹿児島では価格低下も見られる。原材料費高騰や円安、需要増加が価格上昇の主因で、今後も緩やかな上昇が見込まれる。
医薬品の医療・保険
漢方薬の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 新潟 | 岡山 | 長野 | 宇都宮 | 長崎 | 松山 | 山口 | 京都 | 鳥取 | 高知 |
最新値[円] | 6496 | 6671 | 6671 | 6621 | 6621 | 6598 | 6593 | 6593 | 6588 | 6585 | 6585 |
平均比[%] | 100 | 102.7 | 102.7 | 101.9 | 101.9 | 101.6 | 101.5 | 101.5 | 101.4 | 101.4 | 101.4 |
前年月同比[%] | 0.882 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2.981 | 0 | 0 | 0 | 12.54 | 0 |
漢方薬の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 徳島 | さいたま | 秋田 | 大分 | 宮崎 | 大阪 | 和歌山 | 東京都区部 | 前橋 |
最新値[円] | 6496 | 6118 | 6193 | 6208 | 6211 | 6256 | 6298 | 6345 | 6365 | 6373 | 6379 |
平均比[%] | 100 | 94.18 | 95.34 | 95.57 | 95.62 | 96.31 | 96.96 | 97.68 | 97.99 | 98.11 | 98.2 |
前年月同比[%] | 0.882 | -1.513 | 0 | 0 | 0 | 1.724 | 5.318 | -1.414 | 4.191 | 1.287 | 0 |
これまでの漢方薬の推移


詳細なデータとグラフ
漢方薬の現状と今後
漢方薬は、日本国内で西洋薬と並び使われる伝統的な医薬品であり、高齢化社会の進行とともにニーズが拡大しています。自然由来で体質改善に重きを置く漢方薬は、慢性的な症状に対する補完医療として位置づけられています。本稿では、2018年7月から2025年3月までのデータを用いて、漢方薬1箱の価格動向、地域別の傾向、価格上昇の要因について多角的に検討します。
全国平均と価格推移の概観
2025年3月時点での漢方薬の平均価格は6,496円。2018年以降、価格は年々緩やかな上昇傾向を示しており、特にここ数年は原材料費や物流費の高騰により上昇幅が顕著となっています。近年の物価高が医薬品分野にも波及し、漢方薬も例外ではありません。
高価格都市の特徴と背景
高価格順に並ぶ上位10都市は次の通りです:
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新潟:6,671円
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岡山:6,671円
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長野・宇都宮:6,621円
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長崎:6,598円(前年比+2.981%)
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松山・山口:6,593円
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京都:6,588円
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鳥取・高知:6,585円(鳥取は前年比+12.54%)
この価格水準の背景には以下の要因が考えられます:
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地方における流通経路の制限鳥取・高知・長崎などは流通網が限られ、仕入れコストや小売店の在庫負担が価格に反映されやすい。
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地場薬局の比率が高い地域地方都市では大手チェーンよりも独立系薬局が多く、価格競争が弱いため価格が下がりにくい傾向。
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需要と供給のバランス高齢化が進む地方では漢方需要が根強く、一定の価格でも需要が維持されていることが背景にある。
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前年比で急増した鳥取鳥取は前年比+12.54%と大幅な上昇を示しており、これは一部製品の在庫逼迫や卸売価格の急変による可能性がある。
低価格都市の傾向と背景
価格が低い順に並ぶ下位10都市は次の通りです:
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鹿児島:6,118円(前年比-1.513%)
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徳島:6,193円
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さいたま:6,208円
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秋田:6,211円
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大分:6,256円(+1.724%)
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宮崎:6,298円(+5.318%)
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大阪:6,345円(-1.414%)
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和歌山:6,365円(+4.191%)
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東京都区部:6,373円(+1.287%)
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前橋:6,379円
特徴的な点としては:
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大都市圏・近郊地域が多い東京都区部、大阪、さいたまなどは物流網が発達し、価格競争が激しいため、安価な商品が流通しやすい。
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価格が下がった都市も存在鹿児島(-1.513%)や大阪(-1.414%)では価格がむしろ下がっており、これは在庫調整や大手ドラッグストアの価格戦略の影響が考えられます。
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宮崎・和歌山など地方でも価格上昇一部地方では上昇が目立ち始めており、今後は全国的な価格収束傾向も予想されます。
漢方薬価格上昇の主な要因
漢方薬の価格上昇の背景には以下の要因があります:
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原材料の価格上昇:漢方薬の主成分である生薬(人参、甘草、桂皮など)は中国などからの輸入が多く、円安と現地価格の上昇が直撃しています。
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製造コストの増加:複数の生薬を調合する工程は人手がかかり、製造ラインも特殊なため、人件費・エネルギーコストの上昇が響いています。
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流通網の複雑化:特に地方都市では、卸売業者の再編や再配達問題なども価格に影響を与えています。
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漢方薬への信頼と高付加価値化:近年は病院処方から市販漢方薬への関心が高まり、ブランド志向・高機能製品が中心となっており、価格自体が上昇トレンドに。
今後の見通しと消費者へのアドバイス
今後、漢方薬の価格は引き続き緩やかに上昇する見通しです。特に為替や国際情勢の影響が大きく、中国産生薬の供給不安などが再燃する場合は、急騰のリスクもあります。
消費者にとっての対応策:
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保険適用の漢方薬も検討する
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同等効能で価格の異なる製品を比較する
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信頼できるオンライン薬局で購入する
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医師・薬剤師にジェネリック的な代替品を相談する
価格だけでなく、安全性と品質を重視した選択がますます重要になります。
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