2025年3月時点で、12mL目薬の全国平均は362円。和歌山や那覇などでは物流コストや競争環境の影響で高値に、前橋や青森などでは競争や低価格戦略により安値傾向にあります。価格差は最大222円に達し、医薬品の地域格差是正が課題です。
医薬品の医療・保険
目薬の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 和歌山 | 那覇 | 宇都宮 | 福岡 | 山口 | 秋田 | 熊本 | 徳島 | 新潟 | さいたま |
最新値[万円] | 0.0362 | 0.0524 | 0.0453 | 0.044 | 0.0425 | 0.0418 | 0.0394 | 0.0393 | 0.0389 | 0.0388 | 0.0383 |
平均比[%] | 100 | 144.9 | 125.2 | 121.6 | 117.5 | 115.6 | 108.9 | 108.6 | 107.5 | 107.3 | 105.9 |
前年月同比[%] | 0.675 | 0 | 16.75 | 3.774 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.258 | 4.021 | 0 |
目薬の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 前橋 | 青森 | 高知 | 甲府 | 静岡 | 松山 | 奈良 | 京都 | 岐阜 | 広島 |
最新値[万円] | 0.0362 | 0.0302 | 0.0305 | 0.0308 | 0.0316 | 0.0316 | 0.0319 | 0.0323 | 0.0327 | 0.0328 | 0.0328 |
平均比[%] | 100 | 83.48 | 84.31 | 85.14 | 87.35 | 87.35 | 88.18 | 89.29 | 90.4 | 90.67 | 90.67 |
前年月同比[%] | 0.675 | -4.732 | -4.688 | -3.448 | -2.167 | -2.167 | 0 | -1.223 | 0 | 0 | -2.671 |
これまでの目薬の推移


詳細なデータとグラフ
目薬の現状と今後
目薬は眼精疲労、花粉症、ドライアイなどの対処に広く使用されており、市販薬の中でも購入頻度が高い日用品です。2025年3月時点での全国平均価格は0.0362万円(362円)と、過去15年間の中でも比較的高めの水準にあります。本稿では、都市別の価格差や背景に迫ります。
全国の価格動向と傾向分析
2010年から2025年にかけて、全国の平均価格は徐々に上昇傾向にあります。これは原材料費や物流費の高騰、また一部高機能目薬(防腐剤フリーや抗アレルギー成分入り)の普及が要因です。特に近年は、円安や医薬品製造コストの増加が価格に直結しています。
価格が高い地域の特徴と要因
上位10都市(価格が高い順):
-
和歌山(524円)
-
那覇(453円)
-
宇都宮(440円)
-
福岡(425円)
-
山口(418円)
-
秋田、熊本、徳島、新潟、さいたま(388~394円)
和歌山が最も高く、全国平均より約45%高値であり、地方都市でも価格が高止まりする傾向が見られます。那覇は前年比16.75%の急騰で、沖縄という地理的条件による物流コストが大きく影響していると推察されます。
そのほか、都市圏からやや離れた地域や競合薬局が少ないエリアでは、価格調整が行われにくく、小売価格が高止まりしやすい傾向にあります。
価格が安い地域の特徴と背景
下位10都市(価格が安い順):
-
前橋(302円)
-
青森(305円)
-
高知(308円)
-
甲府・静岡(316円)
-
松山、奈良、京都、岐阜、広島(319~328円)
前橋・青森・高知は、300円前後と全国平均より60円以上安い水準です。これらの地域では、
-
地元密着型のディスカウント薬局の普及
-
高齢者向け低価格商品の流通
-
医療機関との距離や利便性の高さ
といった要素が価格の低さに寄与している可能性があります。
また、前年比で減少傾向にある都市も多く、特に前橋(-4.732%)、青森(-4.688%)では、継続的な価格競争が行われていると考えられます。
都市別価格差と政策上の課題
最大価格(和歌山)と最小価格(前橋)を比べると、その差は222円、約74%に達し、同じ12mLの目薬でも都市によって大きな差が存在しています。
これは、以下のような構造的課題を示しています。
-
物流網の整備状況の違い
-
地域における小売業者間の競争の有無
-
物価そのものの地域間格差
-
需要と供給のバランス
さらに、都市によっては高齢者や低所得層が医薬品費を負担に感じやすくなっており、健康格差の助長が懸念されます。
今後の展望と対策
目薬など一般用医薬品の価格安定と地域間格差の是正に向けて、以下の施策が求められます。
-
ジェネリック医薬品の推進と啓発
-
価格比較が容易なオンライン販売の活用
-
医療アクセスが限られる地域への価格補助
-
薬局間の公正な競争促進
とりわけ、地方における物価上昇圧力が続く中、医薬品の価格にも公的関与の可能性が今後議論されるかもしれません。
コメント