2025年時点で中学生の補習教育費(月額)の全国平均は2.547万円。都市部では進学志向や塾の高機能化で価格が上昇し、金沢・福井・京都などでは3万円超。一方、富山や水戸では大幅な減少も見られる。背景には地域ごとの教育文化、塾の競争、市場構造、人件費の高騰などがあり、家庭の教育費負担格差が拡大中。補習教育費の地域差は将来の教育格差につながる恐れがあり、政策的対応が求められる。
補習教育の教育費
中学校の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 金沢 | 福井 | 京都 | 和歌山 | 盛岡 | 大阪 | 大津 | 鳥取 | 新潟 | 山形 |
最新値[万円] | 2.547 | 3.667 | 3.493 | 3.493 | 3.202 | 3.201 | 3.183 | 3.135 | 3.065 | 3.043 | 3.032 |
平均比[%] | 100 | 143.9 | 137.1 | 137.1 | 125.7 | 125.7 | 124.9 | 123.1 | 120.3 | 119.5 | 119 |
前年月同比[%] | 0.546 | 10.5 | 8.858 | 0.264 | -2.755 | 0.461 | 2.118 | 0.352 | 9.269 | 3.75 | 1.222 |
中学校の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 富山 | 水戸 | 佐賀 | 山口 | 宮崎 | 福岡 | 高知 | 大分 | 岡山 | 前橋 |
最新値[万円] | 2.547 | 1.3 | 1.607 | 1.616 | 1.87 | 1.902 | 1.918 | 1.927 | 2.075 | 2.08 | 2.09 |
平均比[%] | 100 | 51.03 | 63.07 | 63.43 | 73.41 | 74.68 | 75.28 | 75.63 | 81.47 | 81.64 | 82.05 |
前年月同比[%] | 0.546 | -31.13 | -33.24 | -8.578 | 2.002 | 6.751 | -8.563 | 0 | 1.795 | 5.585 | 5.556 |
これまでの中学校の推移


詳細なデータとグラフ
中学校の現状と今後
補習教育(いわゆる学習塾など)への支出は、家庭の教育意識と経済力、地域の教育環境に大きく依存します。中学生の補習教育費は近年、都市部だけでなく地方でも上昇傾向にあり、家計にとっては無視できない負担となっています。
全国平均と長期的動向2025年3月時点の中学生1か月あたりの補習教育費の全国平均は2.547万円。2016年からの上昇傾向は緩やかだが確実で、物価高騰や教育格差の広がりとリンクしています。特に都市部では受験競争の激化により、早期から塾通いが常態化しています。
高額地域の特徴と要因分析上位に並ぶ都市(例:金沢、福井、京都、大阪)は、以下のような特徴があります。
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金沢(3.667万円、前年比+10.5%):北陸地方随一の進学校需要が背景。私立・公立問わず進学意識が高く、質の高い塾が集積。
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福井・京都(3.493万円):福井は教育水準が全国的に高い県として知られ、家庭の投資意欲が高い。京都は大学都市としての影響で教育産業が発達。
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大阪(3.183万円):競争的な進学文化と私立中学志向が強く、補習市場が拡大。
低額地域の特徴と要因分析補習教育費が安い地域(例:富山、水戸、佐賀、山口)は、地方ならではの以下の傾向が見られます。
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富山(1.3万円、前年比-31.13%)・水戸(1.607万円、前年比-33.24%):大幅な減少は、地域塾の統廃合や需要低下、あるいはオンライン教育の普及による影響が推察されます。
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佐賀・福岡など九州地方:都市圏との教育格差が残る一方、安価で地域密着型の補習が多く、価格は抑えられがち。
最近の価格上昇要因の考察都市別の価格上昇には、以下のような要因が複合的に絡んでいます。
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人件費・運営費の上昇:特に個別指導塾では講師の人件費が上がり、授業料に転嫁されている。
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サービス高度化:AI教材やタブレット学習、定期面談など、従来の塾より手厚いサービスが価格を押し上げています。
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競争激化とブランド化:大手塾が進出する地域では「より良い教育」を求めて高価格帯でも需要があり、価格上昇に拍車。
地域間格差と政策的課題地域によっては年間で10万円以上の差がつく補習教育費。教育投資の地域格差は、将来の学力格差・進学率格差に直結する懸念があります。行政による補助制度や、オンライン教育の活用など、地域格差を埋める政策的対応が求められます。
結論:中学生の補習教育費は”家庭の選択”から”社会的課題”へ補習教育は本来、学習支援の一環であるべきですが、実際には家庭の経済力によって学力や進学環境が左右される実態が明らかです。少子化時代において「教育の公平性」を担保する仕組みの整備が急務です。
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