2025年の私立法文経系の入学金平均は21.95万円で、都市間格差が顕著。徳島は28万円で最高、福島は11.96万円と低額。増加率が急上昇した山口や、減額に踏み切った広島など、地域によって背景が異なる。少子化と経済的負担を踏まえ、今後は入学金制度の見直しが焦点となる。
大学の教育費
私立法文経系入学金の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 徳島 | 宇都宮 | 山形 | 盛岡 | 高松 | 福井 | 山口 | 長野 | 水戸 | 岐阜 |
最新値[万円] | 21.95 | 28 | 27.57 | 27.06 | 25.68 | 25.29 | 25 | 24.82 | 24.76 | 24.66 | 24.47 |
平均比[%] | 100 | 127.6 | 125.6 | 123.3 | 117 | 115.2 | 113.9 | 113.1 | 112.8 | 112.3 | 111.5 |
前年月同比[%] | 0.202 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 45.12 | -3.737 | 0 | 0 |
私立法文経系入学金の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 福島 | 那覇 | 奈良 | 鹿児島 | 甲府 | 金沢 | 福岡 | 札幌 | 広島 | 佐賀 |
最新値[万円] | 21.95 | 11.96 | 12.26 | 13.83 | 15.34 | 17.39 | 17.41 | 18.88 | 19.39 | 19.52 | 20 |
平均比[%] | 100 | 54.48 | 55.87 | 63.01 | 69.89 | 79.22 | 79.34 | 86.02 | 88.33 | 88.94 | 91.12 |
前年月同比[%] | 0.202 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10.03 | 0 | 0.69 | -10.84 | 0 |
これまでの私立法文経系入学金の推移


詳細なデータとグラフ
私立法文経系入学金の現状と今後
2025年3月時点における私立法文経系入学金の全国平均は21.95万円となっています。この金額は初年度のみの支払いであるとはいえ、学生や保護者にとっては大きな経済的負担です。
授業料と異なり、入学金は「入学意思の表明」「学籍登録のための一時金」といった性質が強く、返還不可である点も家計に対するプレッシャーとなります。
地域別の高額入学金とその背景
上位の都市を見ていくと、意外にも大都市圏以外の地方中核都市で高額な傾向が目立ちます。
-
徳島(28万円):全国で最も高額。地方大学の運営基盤強化や独自の教育・就職支援体制が反映か。
-
宇都宮(27.57万円)、山形(27.06万円)、盛岡(25.68万円):地方に立地するが、学部独自性やキャンパス整備費が入学金に転嫁されている可能性。
-
高松(25.29万円)、福井(25万円):地元に残る学生の割合が高く、他地域からの学生誘致よりも内部収益での学費維持に注力。
都市別に高額となっている背景には、「学費収入への依存度の高さ」「私学助成の少なさ」「入学者の囲い込み競争」などが影響していると考えられます。
低額入学金地域とその戦略的意図
一方で、入学金を低く設定する都市も存在しています。
-
福島(11.96万円)、那覇(12.26万円)、奈良(13.83万円)など、15万円未満の地域がいくつか見られます。
-
鹿児島(15.34万円)、金沢(17.41万円)なども含め、低価格による学生確保・経済的配慮を重視する大学の姿勢が表れています。
たとえば那覇や福島は、地元出身者の進学率を高める戦略として、経済的負担を軽くしつつ授業料ベースで収益を確保するモデルに転換しているように見受けられます。
過去15年間の動向と増減要因
2010年から2025年にかけて、入学金のトレンドには以下の特徴が見られます。
-
全国平均ではほぼ横ばい~緩やかな下降傾向。一部の都市を除けば、入学金は据え置きの大学が多い。
-
しかし、最近では一部都市で急激な増減が見られます:
-
山口:前年比+45.12%(大幅な増加)→ 急な施設整備費や財政補填目的で増額された可能性。
-
広島:前年比-10.84%(大幅な減額)→ 入学者数の減少を受けた「学生獲得競争」が背景か。
-
金沢:+10.03%と上昇が目立つ一方で、長野は-3.737%と減額方向。
-
このように、地域別の入学金の動きは「財政状況」「入学者動向」「施設整備状況」に強く連動しているといえます。
入学金に対する課題と将来の見通し
家計への圧迫と制度の硬直性
入学金は初期費用として一括納入が求められることが多く、分割払いや返還制度がない点が課題とされています。
地域間格差の拡大
20万円台後半から10万円台前半までの差は、学生の進学地選びや教育機会の不均等を生みかねません。
少子化の中での戦略的見直し
今後、大学は「入学金を減らし、授業料や奨学金制度で魅力化を図る方向」への転換が求められるでしょう。
政策的支援の重要性
国や地方自治体による私立大学支援が進めば、入学金の引き下げや免除制度の充実につながる可能性があります。
コメント