2025年の公立高校授業料の全国平均は11.29万円。鹿児島や青森などでは11.88万円と高額だが、東京都区部や八王子などでは完全無償化が進み、前年比-100%となった。無償化の進展には自治体の政策や物価高の影響が背景にあり、今後は制度の統一や柔軟な支援が課題となる。
中学・高校の教育費
公立高校授業料の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 鳥取 | 高知 | 高松 | 静岡 | 青森 | 長野 | 長崎 | 長岡 | 金沢 |
最新値[万円] | 11.29 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 |
平均比[%] | 100 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 |
前年月同比[%] | -4.938 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
公立高校授業料の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 八王子 | 府中 | 東京都区部 | 立川 | さいたま | 京都 | 今治 | 仙台 | 伊丹 | 佐世保 |
最新値[万円] | 11.29 | 0 | 0 | 0 | 0 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 | 11.88 |
平均比[%] | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 | 105.2 |
前年月同比[%] | -4.938 | -100 | -100 | -100 | -100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
これまでの公立高校授業料の推移


詳細なデータとグラフ
公立高校授業料の現状と今後
2025年3月時点の全国平均の公立高校授業料(1年間)は11.29万円となっており、制度としては2005年度以降、大きな変更はありません。これは1単位あたりの授業料(年間で30単位×3,300円=約9.9万円)に、学校ごとの独自上乗せを含む場合があるため、地域差が残っています。なお、2010年4月以降は「高校無償化」制度の導入により、実際には授業料が免除される世帯が増加してきました。
授業料が高い地域の傾向
授業料が11.88万円と最も高額な地域は、鹿児島、鳥取、高知、高松、静岡、青森、長野、長崎、長岡、金沢などであり、地方中核都市を含みます。これらの地域では、授業料自体は全国一律の上限に近い設定であり、各自治体の判断によって若干の上乗せが行われている可能性があります。このような上乗せ設定は、地域ごとの教育環境維持や少人数学級の維持、校舎の老朽化対策などを理由にしている場合もあります。
授業料が低い地域・ゼロの都市とその背景
一方、八王子、府中、東京都区部、立川の4都市では、前年同期から-100%の増加率=授業料が完全に撤廃されたことを意味します。これは、東京都が2024年度から実質的な授業料完全無償化を実施した影響と考えられます。すでに都内では「就学支援金」制度に加え、自治体の独自上乗せ補助制度が導入されており、私立も含めた実質無償化が進行中です。これは全国でも先進的な事例であり、今後、他の政令指定都市や人口集中地域へ波及する可能性があります。
制度上の構造とその課題
公立高校授業料は、国の制度によって「高等学校等就学支援金制度」が導入されており、年収910万円未満の世帯では実質無償化されるようになっています。しかし、支援金の対象は学校に直接支払われる形式であり、「所得超過」世帯にとっては依然として負担が残る形です。また、自治体によっては追加の助成や補助が存在せず、実質的な地域間格差が残るため、「同じ公立高校でも都市によって授業料負担が違う」不公平感が一部で指摘されています。
今後の展望と政策的課題
物価上昇やエネルギーコストの高騰、少子化に伴う財源再配分の必要性により、授業料制度の見直し議論は続いています。今後の焦点としては、
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完全無償化の全国展開の是非
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地域差の縮小と制度統一
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支援金制度のさらなる柔軟化(年収上限の見直しなど)が挙げられます。教育の無償化を経済格差是正の一環と位置づける流れが進む中で、公立高校の授業料に関する議論は今後も重要性を増すでしょう。
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