関東地方のバス運賃(7km1回)は2025年3月時点で平均320.3円。宇都宮や前橋では高水準だが、東京都区部や川崎など都市圏では200円台の低水準を維持。水戸・日立では前年比11%超の上昇が見られ、燃料費や人件費上昇が背景にある。首都圏の運賃安定には利用者数の多さと定額制度が寄与しているが、今後は運転士不足や設備投資が価格に影響を与える見通し。
自動車・交通の都市別小売価格
関東価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宇都宮 | 前橋 | 立川 | 水戸 | 日立 | 千葉 | 熊谷 | 相模原 | 八王子 | さいたま |
最新値[円] | 320.3 | 470 | 450 | 430 | 420 | 420 | 400 | 380 | 370 | 360 | 290 |
平均比[%] | 100 | 146.7 | 140.5 | 134.3 | 131.1 | 131.1 | 124.9 | 118.6 | 115.5 | 112.4 | 90.55 |
前年月同比[%] | -0.318 | 0 | 0 | 0 | 11.11 | 11.11 | 3.093 | 0 | 0 | 0 | 0 |
関東価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 府中 | 小山 | 川崎 | 横浜 | 東京都区部 | 所沢 | 川口 | 浦安 | さいたま | 八王子 |
最新値[円] | 320.3 | 100 | 200 | 220 | 220 | 223 | 252 | 280 | 280 | 290 | 360 |
平均比[%] | 100 | 31.22 | 62.45 | 68.69 | 68.69 | 69.63 | 78.68 | 87.42 | 87.42 | 90.55 | 112.4 |
前年月同比[%] | -0.318 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1.364 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
これまでのバス代の推移


詳細なデータとグラフ
関東の現状と今後
2015年から2025年までのデータに基づくと、関東地方のバス運賃は緩やかな上昇傾向を示しています。最新の2025年3月の関東平均は320.3円で、全国平均(345.5円)や北海道・東北(363.2円)より低く、大都市平均(294.7円)に近い水準にあります。これは、東京都区部を中心とした定額制・短距離移動圏の存在が全体の価格を抑えているためです。
高額地域の構造と背景
関東で運賃が高い都市は以下の通りです:
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宇都宮:470円
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前橋:450円
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立川:430円
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水戸・日立:各420円
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千葉:400円
これらの都市に共通するのは、①都市中心部と郊外の移動距離が比較的長いこと、②自家用車依存の地域であるがゆえにバス利用者が限られ、採算性を確保するために単価が高めに設定されやすいことです。
特に水戸・日立(前年比+11.11%)は、運転士の人件費上昇や燃料費の影響、利用者数の伸び悩みが価格改定の直接的要因です。
低額地域と首都圏の特徴
運賃が低い都市には以下が挙げられます:
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府中:100円
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小山:200円
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川崎・横浜:220円
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東京都区部:223円
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所沢・川口・浦安:280円
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さいたま:290円
特に東京都区部の223円は、長年の定額制度や高密度な路線網、ICカード利用の浸透などによって運賃を安定的に維持しています。また、府中の100円は市営バスによる福祉的要素の強い運賃設定と考えられます。
都市圏のバスは利用者数が多く、運行本数も多いため、低運賃でも収益が維持できる点が地方都市との大きな違いです。
価格上昇の要因と課題
近年、以下の要因が関東地方でもバス運賃上昇の要因となっています:
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運転士不足・高齢化による人件費の増加
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燃料費の高騰(特にディーゼル油)
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地方中核都市のバス赤字路線の補填
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新型車両(EV・ハイブリッド)導入などの設備投資
例えば、千葉(+3.093%)や東京都区部(+1.364%)など、都市部でも徐々に価格見直しが進められています。特に千葉県内は、複数の民間事業者が競合する一方で、人口構成の変化による利用者減少がじわじわと影響を及ぼしています。
今後の展望と交通政策の課題
今後、関東においては以下のような対策と課題が重要視されます:
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MaaSとの連携強化
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定額制乗り放題パスの普及
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自治体による補助金制度の見直し
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高齢者・子育て世代向け運賃制度の整備
また、地方都市の運賃上昇は交通弱者への影響が大きいため、社会的インフラとしての交通サービスをどう維持・発展させるかが今後の焦点です。
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