北海道・東北地方のガソリン平均価格は182.7円で、福島や山形が高く、盛岡や八戸が安価。青森や仙台では前年比での価格上昇が顕著で、原油高や円安、補助金縮小、冬季需要などが背景にある。今後は物流強化と再エネ移行が地域課題となる。
自動車・交通の都市別小売価格
北海道・東北価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福島 | 山形 | 郡山 | 旭川 | 青森 | 秋田 | 仙台 | 札幌 | 函館 | 八戸 |
最新値[円] | 182.7 | 191 | 190 | 186 | 185 | 183 | 182 | 182 | 179 | 179 | 178 |
平均比[%] | 100 | 104.5 | 104 | 101.8 | 101.2 | 100.1 | 99.6 | 99.6 | 97.96 | 97.96 | 97.41 |
前年月同比[%] | 5.346 | 4.945 | 1.064 | 5.085 | 5.114 | 10.91 | 6.433 | 7.692 | 2.874 | 3.468 | 5.325 |
北海道・東北価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 盛岡 | 八戸 | 函館 | 札幌 | 仙台 | 秋田 | 青森 | 旭川 | 郡山 | 山形 |
最新値[円] | 182.7 | 175 | 178 | 179 | 179 | 182 | 182 | 183 | 185 | 186 | 190 |
平均比[%] | 100 | 95.77 | 97.41 | 97.96 | 97.96 | 99.6 | 99.6 | 100.1 | 101.2 | 101.8 | 104 |
前年月同比[%] | 5.346 | 6.707 | 5.325 | 3.468 | 2.874 | 7.692 | 6.433 | 10.91 | 5.114 | 5.085 | 1.064 |
これまでのガソリンの推移


詳細なデータとグラフ
北海道・東北の現状と今後
2010年から2025年にかけて、北海道・東北地方のガソリン小売価格は国際原油価格、為替レート、季節需要、地方特有の輸送事情の影響を受けながら、緩やかに変動してきました。2025年3月時点の平均価格は182.7円で、全国平均(185.2円)や大都市平均(184.2円)と比較してやや安価な水準です。しかし、都市間で10円以上の価格差が見られ、地域的な格差が顕著です。
高価格都市の特徴と背景
2025年3月に最も高かった都市は以下の通りです:
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福島:191円(前年比+4.945%)
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山形:190円(+1.064%)
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郡山:186円(+5.085%)
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旭川:185円(+5.114%)
これらの都市に共通する特徴としては、以下が挙げられます:
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内陸部・山間部の地理的制約 山形や福島は山岳地帯が多く、冬季の物流困難や交通制限が価格に影響しやすい。
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需要と供給のバランスの不均衡 流通量が限られる地方都市では、輸送コストが高く価格転嫁されやすい。
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競争環境の弱さ 都市によってはスタンド数が限られ、価格競争が発生しにくい。
低価格都市の傾向と理由
一方、安価な価格帯にある都市は次の通りです:
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盛岡:175円(前年比+6.707%)
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八戸:178円(+5.325%)
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函館・札幌:179円(+3.468%、+2.874%)
これらの都市に見られる特徴:
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港湾都市の強み 札幌・函館・八戸は海に面し、石油供給拠点からのアクセスが良好で輸送コストが抑制される。
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比較的発達した交通インフラ 北海道内の主要都市では大型ターミナルや幹線道路が整備されており、物流効率が高い。
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価格競争が活発 特に札幌や函館ではガソリンスタンドの密度が高く、競争が価格に反映されやすい。
北海道・東北地域における価格上昇の要因
全体として価格は上昇傾向にあり、主な要因は以下の通りです:
原油価格の高騰
中東情勢の不安定化や産油国による減産で、WTI原油価格が高止まりしており、ガソリン価格に直接影響。
円安進行
2024年以降、円ドル為替レートが1ドル=150円前後で推移し、輸入コストが増大。地方でもその影響が顕著に。
補助金政策の縮小
政府のガソリン補助金が段階的に縮小されたことで、地方でも実勢価格が反映されやすくなった。
冬季の季節需要
特に東北・北海道では暖房用や除雪車などの燃料需要が増える冬期に価格が上昇する傾向があり、2025年3月の価格もこの影響を受けていると考えられる。
都市別価格変動の分析
青森(+10.91%)や仙台(+7.692%)、秋田(+6.433%)など、前年比で大幅な価格上昇を記録した都市は、港湾アクセスに恵まれていても、気候条件やスタンドの経営統合による価格硬直性が原因として挙げられます。反対に、山形は前年比+1.064%と小幅な伸びにとどまっており、補助金の継続的な活用や行政による支援策の影響がある可能性があります。
今後の展望と課題
北海道・東北地方のガソリン価格は、今後も以下の点に注視する必要があります:
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再エネやEV導入の地域格差 ガソリン依存からの脱却が全国的に進む中、地方での充電インフラ整備が遅れており、依然としてガソリン需要が高い。
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物流の脆弱性対策 豪雪や地震などによる供給障害リスクを踏まえた強靭な配送網の整備が必要。
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地方独自の価格支援政策の充実 自治体単位での補助制度や、交通弱者支援策の拡充が期待される。
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