2010年から2025年4月にかけて、日本のガソリン小売価格は国際原油価格の変動や円安の影響を受けて大きく変動してきました。最新の全国平均は188円で、都市ごとに最大29円の差があります。鹿児島や那覇など輸送コストが高い地域では特に価格が高く、上昇率も高い一方、都市間競争が激しい盛岡や八戸では低価格にとどまっています。今後はガソリン需要の変化と政策対応が価格形成に大きく影響する見通しです。
自動車・交通の都市別小売価格
全国価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 松江 | 那覇 | 高松 | 長崎 | 松本 | 山形 | 大分 | 佐賀 | 富山 |
最新値[円] | 188 | 206 | 198 | 197 | 196 | 195 | 195 | 195 | 195 | 195 | 194 |
平均比[%] | 100 | 109.5 | 105.3 | 104.8 | 104.2 | 103.7 | 103.7 | 103.7 | 103.7 | 103.7 | 103.2 |
前年月同比[%] | +6.607 | +7.853 | +6.452 | +8.242 | +8.287 | +5.405 | +5.405 | +4.839 | +3.175 | +4.839 | +7.182 |
全国価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 盛岡 | 八戸 | 小山 | 今治 | 函館 | 大津 | 柏 | 浦安 | 秋田 | 仙台 |
最新値[円] | 188 | 177 | 180 | 181 | 182 | 182 | 182 | 182 | 182 | 182 | 183 |
平均比[%] | 100 | 94.12 | 95.72 | 96.25 | 96.78 | 96.78 | 96.78 | 96.78 | 96.78 | 96.78 | 97.31 |
前年月同比[%] | +6.607 | +6.627 | +4.651 | +6.471 | +7.059 | +4.598 | +5.814 | +6.433 | +6.433 | +7.018 |
これまでのガソリンの推移


詳細なデータとグラフ
全国の現状と今後
2010年1月から2025年4月にかけて、日本のガソリン小売価格は国内外の要因によって波を打つように変動してきました。2010年代前半は比較的安定していましたが、2011年の東日本大震災以降は供給不安と円安によって上昇傾向に転じました。その後、2014年の原油価格急落で1時的に低下するも、2020年のコロナ禍を経て、2022年以降はウクライナ侵攻など国際情勢の影響を受けて再び上昇に転じ、2025年4月時点で全国平均は188円となっています。
都市別ガソリン価格の現況と格差
最新データでは、鹿児島(206円)が最も高く、盛岡(177円)が最も安価です。その差は29円に及び、同じ国内でも無視できない価格差が存在します。
高価格都市の傾向:
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鹿児島、松江、那覇、高松、長崎などは、離島または山間部が多く、流通・輸送コストが反映されています。
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観光地の需要増やインフラの燃料依存度が高く、地元の競争も限られることで価格が下がりにくい特徴があります。
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鹿児島の+7.85%や那覇の+8.24%といった上昇率の高さも際立っています。
低価格都市の傾向:
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盛岡、8戸、小山、今治、函館、大津などは、比較的都市間距離が近く、流通効率が良好な地域です。
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大手チェーンの競争が激しく、価格を抑える構造がある地域も多い。
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ただし、これらの都市でも盛岡(+6.62%)や今治(+7.05%)など、前年同期比での上昇率は高水準です。
ガソリン価格上昇の背景要因
国際原油価格の上昇
最大の要因は国際市場での原油価格の上昇です。原油価格が1バレル当たり90ドルを超える局面では、輸入依存の高い日本のガソリン価格に直接反映されます。
円安進行
2022年以降の急速な円安(1ドル=150円前後)によって、ドル建てで仕入れる原油のコストが膨らみ、小売価格も連動して上昇しました。
政府補助金の効果縮小
1時的に導入された補助金(いわゆる「激変緩和措置」)が段階的に縮小されたことで、再び価格に反映されるようになった面もあります。
地域的要因と物流コスト
山間部や離島では、燃料輸送にかかるコストやインフラの制約が価格に反映されやすい。例えば鹿児島や那覇は海上輸送が中心となり、コスト高を招いています。
今後の展望と課題
地域間格差の是正
ガソリン価格の地域間格差が拡大すれば、地方経済や生活コストに重大な影響を与えます。特に自動車移動が不可欠な地方においては、燃料費高騰は生活そのものに直結します。
エネルギー政策と脱炭素社会の中での価格形成
今後は、電動車(EV)の普及や水素インフラ整備が進む中で、ガソリン価格の構造も変化していく可能性があります。1方で、移行期にはガソリン需要の減少と供給側の再編により、価格が乱高下するリスクもあります。
政策的対応の必要性
価格安定のためには、短期的には燃料価格調整の補助や税制見直し、中長期的には代替燃料や地域公共交通の拡充が必要です。特に地方の足としてガソリンは不可欠であり、都市部とのバランスをとる政策が求められています。
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