ドッグフード価格の地域差と高騰要因：健康志向と市場拡大が影響

2025年4月のドッグフード1袋1.4kgの全国平均価格は2382円。四国や北陸、中国地方の都市で高価格かつ前年比15〜30%の大幅上昇が顕著。一方、南九州や沖縄、東北では比較的低価格で地域差が大きい。原材料高騰や物流費増加、品質志向の高まりが価格上昇の主因。今後は流通改善や消費者支援で価格安定化が求められる。

2025年4月時点でのドッグフード1袋1.4kgの全国平均小売価格は2382円です。2017年5月以降の約8年間で価格は徐々に上昇しており、特に2022年以降は世界的な原材料価格高騰や物流費増加により上昇ペースが加速しています。

背景には、

• 飼い主の品質志向の高まりにより、より高品質な原材料や健康志向の製品が増加。

• 飼育数の増加に伴う市場拡大と多様化。

• 原料輸入コストや包装・物流コストの世界的上昇。

これらが価格全体の底上げ要因となっています。

高価格地域の特徴と要因

2025年4月の高価格トップ10都市と前年同期からの増加率は以下の通りです。

高価格地域の特徴

• 4国や北陸、中国地方の都市（高松、福井、岡山、富山、高知、鳥取）が上位を占めています。

• これらの地域では前年同期比で15〜30％台の大幅な価格上昇が目立ちます。

• 原材料輸入のコスト増加と地理的に流通コストが高い点が価格を押し上げていると考えられます。

• 大都市圏に近い京都、神戸、奈良も比較的高価格帯にあり、高品質商品への需要と都市部の物流コストも影響しています。

低価格地域の特徴と傾向

2025年4月の低価格トップ10都市と前年比増加率は以下の通りです。

低価格地域の特徴

• 9州（鹿児島、宮崎、長崎、佐賀、大分）や沖縄（那覇）、東北（秋田）に多く分布。

• 地域によって価格上昇率にバラツキがあり、鹿児島や千葉はほぼ横ばい、宮崎や佐賀、大分は15％超の上昇を示しています。

• 南9州や沖縄は地産地消の原料活用や流通効率の良さが価格抑制に寄与。

• 首都圏に近い千葉や静岡も比較的低価格だが、物流・市場規模の影響で上昇幅は限定的。

価格変動の主な要因分析

原材料の価格変動

魚粉や穀物、肉類などの原材料の国際価格上昇が直接的な価格押上げ要因。特に2022年以降の世界的なインフレや物流混乱が影響。

物流コストと地域差

遠隔地や地方都市では輸送距離や配送網の複雑さからコストがかさみ、高価格傾向に。また都市圏は競争が激しいため価格競争が起きやすい。

製品の品質・付加価値志向の高まり

健康志向やオーガニック志向の高まりにより高価格帯製品が増加し、平均価格を押し上げている。

為替や輸入環境の影響

原料輸入が多いため、為替レート変動が価格に反映されやすい。

今後の課題と展望

地域間価格差の是正と物流効率化

流通改善や地産地消の促進で地方の高価格問題を緩和し、消費者負担を軽減する必要があります。

消費者の製品情報理解と選択支援

成分や安全性情報の透明化を進め、適正価格の製品選択を促進することが望まれます。

持続可能な資源調達と環境配慮

環境負荷の低減を図った原料調達や包装資材の見直しが今後重要なテーマとなります。