日本の園芸用肥料1本の平均価格は2025年3月時点で692.7円と上昇傾向にあり、富山や山形では大幅な値上がりが見られる一方、広島や鹿児島などでは低価格が維持されています。価格変動の背景には輸入原料の高騰、輸送費増加、園芸需要の増加などがあり、今後も価格は高止まりする可能性があります。
エンタメの都市別小売価格
園芸用肥料価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 京都 | 富山 | 名古屋 | 福井 | 山形 | 甲府 | 松山 | 仙台 | 札幌 |
最新値[円] | 692.7 | 948 | 841 | 827 | 808 | 804 | 804 | 767 | 767 | 767 | 762 |
平均比[%] | 100 | 136.9 | 121.4 | 119.4 | 116.6 | 116.1 | 116.1 | 110.7 | 110.7 | 110.7 | 110 |
前年月同比[%] | 3.169 | 8.716 | -1.059 | 19.86 | 6.878 | 4.824 | 22.56 | 2.953 | 2.953 | 2.953 | 2.282 |
園芸用肥料価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 広島 | 鹿児島 | 大分 | 宮崎 | 佐賀 | 静岡 | 新潟 | 松江 | 前橋 | 福岡 |
最新値[円] | 692.7 | 545 | 565 | 598 | 598 | 599 | 599 | 610 | 618 | 628 | 629 |
平均比[%] | 100 | 78.68 | 81.57 | 86.33 | 86.33 | 86.48 | 86.48 | 88.06 | 89.22 | 90.66 | 90.81 |
前年月同比[%] | 3.169 | -4.887 | -1.396 | 0 | 0 | -0.167 | 0.167 | -1.135 | -1.592 | -0.317 | -0.159 |
これまでの園芸品の推移


詳細なデータとグラフ
園芸用肥料の現状と今後
園芸用肥料は、家庭菜園やガーデニングの広がりとともに安定した需要がある生活用品の一つです。その小売価格の変動は、消費者にとって身近な物価感覚に直結するだけでなく、農業や園芸業界においても重要な指標となります。本稿では、2010年1月から2025年3月までのデータをもとに、園芸用肥料1本あたりの価格動向、都市別の特徴、そして近年の価格変動の背景について詳細に分析します。
長期的な価格の推移と平均価格
2025年3月時点での日本全国平均価格は692.7円となっており、過去と比較すると着実に上昇傾向にあります。2010年代前半には500円台で安定していた時期もありましたが、2020年代に入ってから原材料価格や輸送費の高騰により、右肩上がりの推移を見せています。特に2022年以降、世界的な物流の混乱やエネルギー価格の高騰が影響し、値上がりが顕著になりました。
高価格地域の特徴と背景
上位10都市の価格は以下のとおりです:
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那覇:948円(前年比+8.716%)
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京都:841円(-1.059%)
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富山:827円(+19.86%)
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名古屋:808円(+6.878%)
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福井・山形:804円(+4.824%、+22.56%)
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甲府・松山・仙台:767円(+2.953%)
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札幌:762円(+2.282%)
これらの都市に共通するのは、「物流コストが高い」「園芸需要が比較的安定して高い」「高品質商品が中心に流通している」といった特徴です。那覇は島嶼地域のため輸送コストがかさむことが最大の要因と考えられます。また、山形や富山のように冬季の園芸準備需要が高まる地域では、価格が高止まりする傾向があります。
低価格地域の特徴と背景
一方、低価格帯の地域は以下の通りです:
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広島:545円(前年比-4.887%)
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鹿児島:565円(-1.396%)
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大分・宮崎:598円(変動なし)
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佐賀:599円(-0.167%)
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静岡:599円(+0.167%)
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新潟:610円(-1.135%)
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松江:618円(-1.592%)
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前橋:628円(-0.317%)
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福岡:629円(-0.159%)
これらの地域では、ホームセンターや地場チェーンが激しい価格競争を展開していること、また農業が盛んな地域で肥料需要が多く、流通が効率化されていることが背景にあります。さらに、一部地域では地元製造の肥料を活用するなどして価格を抑えているケースも見られます。
都市別の価格増減率から見る傾向
都市別の前年比を見ると、富山(+19.86%)、山形(+22.56%)、名古屋(+6.878%)などで大きな上昇が確認されます。これは、肥料原材料(窒素・リン・カリなど)の世界価格上昇や、燃料費高騰による影響が小売価格に転嫁された結果と考えられます。
一方、広島(-4.887%)、名古屋(+6.878%)などでは前年から価格が下落あるいは小幅上昇にとどまっています。特に広島では、競合激化により価格調整が行われている可能性があります。
価格変動の主な要因
近年の園芸用肥料価格上昇の背景には、以下のような複合的な要因があります:
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輸入原料の価格上昇:窒素系やリン酸系肥料の原料は海外依存度が高く、為替レートや国際市況の影響を受けやすい。
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物流費の高騰:とくに離島地域や積雪地帯では輸送コストが価格に直結しやすい。
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需要の変化:コロナ禍以降、家庭菜園やベランダ園芸の需要増加により、一部の都市では需要逼迫が起こり価格に反映された。
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価格転嫁の進行:これまでは企業努力で価格据え置きが行われていたが、2023年以降、原材料高騰分を販売価格に反映させる動きが加速。
今後の見通しと課題
今後も価格は高止まりする可能性があります。特に輸入依存の原材料が多いため、円安基調が続けばさらにコスト上昇が懸念されます。一方、自治体や農業団体による補助制度や、再生肥料(堆肥等)の活用促進も重要な対策となるでしょう。
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