日本の園芸用土1袋の小売価格は2025年3月時点で平均356.3円となり、地域によって大きな価格差が見られます。物流や資材費の上昇、環境規制が価格変動の主因であり、今後も高止まり傾向が予想されます。地域特性を活かした流通と再利用技術の導入が課題です。
エンタメの都市別小売価格
園芸用土価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 長崎 | 熊本 | 岐阜 | 神戸 | 仙台 | 奈良 | 高知 | 東京都区部 | 山形 | 鹿児島 |
最新値[円] | 356.3 | 657 | 657 | 523 | 465 | 461 | 454 | 452 | 449 | 436 | 419 |
平均比[%] | 100 | 184.4 | 184.4 | 146.8 | 130.5 | 129.4 | 127.4 | 126.9 | 126 | 122.4 | 117.6 |
前年月同比[%] | -1.483 | 0 | 9.136 | 0 | -19.13 | -5.533 | 11 | -15.36 | 5.647 | 0 | -14.31 |
園芸用土価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 青森 | 福井 | 水戸 | 札幌 | 松山 | 甲府 | 大分 | 岡山 | 千葉 | 名古屋 |
最新値[円] | 356.3 | 216 | 239 | 244 | 245 | 250 | 250 | 254 | 256 | 261 | 261 |
平均比[%] | 100 | 60.63 | 67.09 | 68.49 | 68.77 | 70.17 | 70.17 | 71.3 | 71.86 | 73.26 | 73.26 |
前年月同比[%] | -1.483 | 0 | -4.4 | 2.092 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2.4 | 11.54 | -17.41 |
これまでの園芸品の推移


詳細なデータとグラフ
園芸用土の現状と今後
園芸用土は、家庭菜園やガーデニング需要に支えられている生活必需品の一つです。特にコロナ禍以降、在宅時間の増加により家庭園芸への関心が高まったことも価格や流通に影響を与えています。2025年3月時点での全国平均は356.3円であり、地域による価格差が際立っています。
長期的な価格推移(2010年〜2025年)
園芸用土の価格は2010年代を通じて概ね横ばいで推移していましたが、2020年以降にかけて緩やかな上昇傾向が見られます。背景には以下のような要因があります:
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資材価格の上昇(ピートモスや腐葉土など)
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燃料費や物流コストの高騰
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労働力不足による製造・配送コストの増加
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環境規制による生産体制の変化(例:採取地の制限)
これらの構造的なコスト増が小売価格に転嫁される形で、園芸用土の価格上昇を招いています。
高価格地域の特徴と要因
最新月のデータで、価格が高い上位10都市は以下の通りです:
都市 | 価格(円) | 前年比増減 |
---|---|---|
長崎 | 657 | データなし |
熊本 | 657 | +9.136% |
岐阜 | 523 | データなし |
神戸 | 465 | -19.13% |
仙台 | 461 | -5.533% |
奈良 | 454 | +11.0% |
高知 | 452 | -15.36% |
東京都区部 | 449 | +5.647% |
山形 | 436 | データなし |
鹿児島 | 419 | -14.31% |
考察
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長崎・熊本など九州地方の高価格は、火山灰や赤土を利用した地域特有の土壌需要の高さと、物流面での不利(離島輸送や山間部配送)に起因すると考えられます。
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東京都区部など都市部では、需要の集中と人件費、店舗維持費の高さが価格に影響を与えています。
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一方、奈良の上昇率11%のように、局地的な需要や仕入価格の上昇も要因となり得ます。
低価格地域の特徴と要因
価格が低い上位10都市は以下の通りです:
都市 | 価格(円) | 前年比増減 |
---|---|---|
青森 | 216 | データなし |
福井 | 239 | -4.4% |
水戸 | 244 | +2.092% |
札幌 | 245 | データなし |
松山 | 250 | データなし |
甲府 | 250 | データなし |
大分 | 254 | データなし |
岡山 | 256 | +2.4% |
千葉 | 261 | +11.54% |
名古屋 | 261 | -17.41% |
考察
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青森や福井、札幌などでは、地元で採取される素材を用いた安価な商品が多く出回っている可能性があります。
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名古屋の前年比-17.41%のような価格下落は、競合の激化や大量仕入れによるコスト削減効果が反映されていると見られます。
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また、千葉の+11.54%のような上昇は、流通コストや住宅地拡大による需要増が関係していると推察されます。
価格上昇・変動の要因
資材価格の上昇
ピートモスやバーク堆肥など原材料の価格が国際的に上昇傾向にあり、輸入品に頼る国内業者はコスト増に直面しています。
環境規制と資源制限
国内採取地に対する環境規制が厳しくなっており、採取可能な場所が限られることでコスト上昇に拍車がかかっています。
物流の2024年問題
ドライバー不足と時間外労働の制限により、地方配送の効率が低下。遠隔地ほど流通コストが価格に影響しやすくなっています。
ガーデニング需要の変化
都市部の集合住宅でもベランダ園芸などで小型用土の需要が高まっており、小分け商品の需要増が単価を引き上げています。
今後の展望と課題
今後も物流と人件費の上昇は続く見込みであり、園芸用土の価格はやや高止まり傾向が続くと予測されます。一方で、再生素材やリサイクル土の利用などによる価格抑制や、需要の地域分散化に向けた企業努力が進む可能性もあります。
政策的支援や都市農業の振興策なども、今後の価格や流通に影響を与える重要な要素となるでしょう。
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