2025年3月時点で、日本の口紅1本の平均小売価格は1,540円となり、全国でほぼ同額となっています。前年からの価格上昇率は180%超で、原材料費の高騰や円安、消費行動の変化が背景にあります。価格の均一化には利便性の一方、地域間の格差や小売側の負担も存在し、今後の市場動向が注目されます。
衣類・美容の都市別小売価格
口紅価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 鳥取 | 高知 | 高松 | 静岡 | 青森 | 長野 | 長崎 | 金沢 | 那覇 |
最新値[円] | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 |
平均比[%] | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
前年月同比[%] | 180 | 180 | 181.5 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 |
口紅価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | さいたま | 京都 | 仙台 | 佐賀 | 前橋 | 千葉 | 名古屋 | 和歌山 | 大分 | 大津 |
最新値[円] | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 | 1540 |
平均比[%] | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
前年月同比[%] | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 | 180 |
これまでの化粧品の推移


詳細なデータとグラフ
口紅の現状と今後
2010年1月から2025年3月までのデータに基づくと、日本国内における口紅1本の小売価格は最新で1,540円と、全国でほぼ一律の価格を示しています。2010年代前半は1,000円前後で推移していたケースも多く、近年の価格上昇は非常に顕著です。
特に2024年から2025年にかけては、前年比で180%超の価格上昇が広範囲に観測されており、化粧品市場において類を見ない急騰です。
都市別の価格分布とその意味
今回のデータでは、すべての都市で口紅の価格が1,540円で横並びとなっており、価格差はほぼ見られません。
例として、価格が高い順(実際には同一)には鹿児島・鳥取・高知・高松・静岡・青森・長野・長崎・金沢・那覇が並んでいます。一方、低い順とされるさいたま・京都・仙台・佐賀・前橋・千葉・名古屋・和歌山・大分・大津も同額の1,540円です。
このような均一価格は、全国規模での価格統一(メーカー主導)や、主要ブランドの販売価格が小売り全体に与える影響力が非常に大きいことを示しています。
価格上昇の要因分析
原材料費・輸送費の高騰
化粧品原料(香料、油脂類、着色料など)の国際相場が上昇し、製造コストが増加。特に輸入原料依存が高いブランドでは、その影響を大きく受けました。輸送費の増加も同様にコストを押し上げています。
円安による輸入コスト増
ここ数年の円安傾向が、輸入化粧品や輸入原料を使った国内製品の価格を押し上げました。特にグローバル展開しているブランドでは、価格見直しが連動して実施されています。
高級志向とブランド戦略の変化
以前より「プチプラ」(低価格)化粧品が人気を博していた一方で、現在は“自分への投資”や“映えるアイテム”としての価値が見直され、単価の高い製品が売れ筋となっています。これに伴い、メーカーは品質訴求型の商品戦略を強化し、価格帯を引き上げています。
コロナ後の消費行動の変化
コロナ禍によるマスク生活で一時的に需要が低迷していた口紅ですが、マスクの着用緩和後、需要が急回復しました。さらに新しいライフスタイルに対応した製品(落ちにくい、スキンケア効果入りなど)が投入され、付加価値の高い商品が主流化しています。
現状の課題と今後の展望
均一価格の裏にある問題
全国一律の価格は消費者にとってわかりやすい反面、地域ごとの購買力や市場特性が反映されにくいという課題があります。また、小規模店舗や地方のドラッグストアにとっては、価格競争力を持ちにくく、在庫管理の負担も増加しています。
今後の見通し
短期的には現在の価格水準(1,540円前後)を維持する可能性が高いですが、
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円安のさらなる進行
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国際情勢による物流の混乱
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消費税増税等の影響
などがあれば、さらなる値上げも想定されます。また、サステナブル素材の採用やサブスクリプション型コスメサービスといった新しい流通モデルの登場も、価格戦略に変化をもたらす可能性があります。
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