日本の給湯器の小売価格は2025年4月時点で平均21.48万円と高止まりしており、青森や札幌など寒冷地で価格が高い傾向にある。一方、静岡や横浜など温暖な地域では比較的安価で推移している。価格変動には、原材料高、物流費の上昇、寒波対応機能の拡充、都市別の需要格差などが影響している。全体として、寒冷地では上昇傾向、都市部では価格調整や下落も見られるなど、地域間の格差が広がっているのが現状だ。
電気製品の都市別小売価格
給湯器価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 青森 | 札幌 | 那覇 | 高松 | 山口 | 福島 | 長野 | 盛岡 | 山形 | 鳥取 |
最新値[万円] | 21.48 | 33.05 | 32.5 | 30.73 | 30.68 | 29.89 | 28.67 | 27.57 | 26.28 | 26.21 | 25.69 |
平均比[%] | 100 | 153.9 | 151.3 | 143.1 | 142.9 | 139.2 | 133.5 | 128.4 | 122.4 | 122.1 | 119.6 |
前年月同比[%] | -5.774 | +9.427 | +11.98 | +2.665 | +6.284 | -21.44 | -1.552 | -7.68 | -18.95 | -16.26 | -4.842 |
給湯器価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 静岡 | 横浜 | さいたま | 水戸 | 大津 | 秋田 | 新潟 | 岐阜 | 京都 | 千葉 |
最新値[万円] | 21.48 | 11.83 | 14.47 | 14.68 | 14.89 | 15.1 | 15.26 | 15.57 | 15.71 | 15.77 | 16.87 |
平均比[%] | 100 | 55.1 | 67.37 | 68.35 | 69.32 | 70.31 | 71.07 | 72.51 | 73.17 | 73.42 | 78.54 |
前年月同比[%] | -5.774 | +14.25 | -4.063 | -16.02 | -4.609 | -3.402 | -4.572 | +12.85 | +13.04 | -30.25 | -3.173 |
これまでの家電製品の推移


詳細なデータとグラフ
給湯器の現状と今後
給湯器の小売価格は、2010年代前半には安定していたものの、2020年代に入ってから世界的な資源価格の高騰や円安、コロナ禍後の物流コスト上昇などの影響を受け、価格は右肩上がりとなった。2025年4月時点の全国平均は21.48万円であり、2010年代の15万円台に比べて大幅な上昇となっている。特に2022年以降は、半導体不足による供給制約も加わり、給湯器の価格と納期が不安定になった。
給湯器価格が高い地域の特徴
上位10都市を見ると、価格が最も高いのは青森(33.05万円)、続いて札幌(32.5万円)、那覇(30.73万円)、高松(30.68万円)と続く。
寒冷地に多い高価格帯
青森、札幌、福島、山形など東北・北海道エリアでは、厳冬期の凍結防止や外気温対応のために高性能な給湯器が求められる。複数機能(追い焚き機能、フルオート、凍結防止ヒーターなど)付きの高級モデルが1般的なため、価格が高騰しやすい。特に札幌の価格は前年同月比で+11.98%と、需要の高さと製品スペックの高まりを反映している。
沖縄・高松などの高価格要因
那覇(沖縄)や高松(香川)も高価格帯に属しているが、これは離島・地方都市への物流コスト、あるいは地元業者の販売体制による影響があるとみられる。特に那覇では物流経路の長さと在庫リスクが価格に反映されやすい。
給湯器価格が低い地域の特徴
1方、最も安価なのは静岡(11.83万円)であり、以下横浜(14.47万円)、さいたま(14.68万円)、水戸(14.89万円)など、温暖な関東・東海エリアが中心となっている。
温暖な気候とシンプルな仕様
静岡、横浜などでは凍結リスクが少なく、シンプルな構造の標準仕様モデルで十分であるため、製品単価が抑えられている。また、大都市圏では競合も多く、業者間の価格競争も価格低下を促す1因となっている。
安定した供給ルート
港湾・流通インフラが整った地域では、流通経路が短く在庫も安定しており、価格に大きな変動が生じにくい。これが価格の安定・低位維持に貢献している。
価格変動の要因と都市別事情
2025年4月時点で前年同期比の変化を見ると、札幌(+11.98%)、青森(+9.43%)、静岡(+14.25%)、岐阜(+13.04%)など上昇が目立つ1方で、京都(-30.25%)、盛岡(-18.95%)など大幅な下落も確認される。
上昇要因
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半導体供給不足による製品価格上昇
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輸送費、設置費用の高騰
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高機能化による製品単価の上昇(AI制御、自動洗浄機能など)
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厳冬地での凍結対策のニーズ増加(例:2022年以降の寒波)
下落要因
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在庫調整や旧モデルの値引き販売
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地域的な需要減退(例:リフォーム市場の停滞)
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業者間の競争激化と値崩れ(例:京都)
今後の給湯器価格の展望
今後もエネルギー価格や素材価格の国際的動向、住宅リフォーム需要、ゼロエネルギー住宅への対応などが給湯器価格に影響するだろう。特にカーボンニュートラル社会の推進により、エコジョーズや電気式給湯器への移行が進むと、価格の2極化が1層進む可能性がある。また、地域の気候差や流通網の構造は価格格差の要因として今後も継続する見込みだ。
まとめ
給湯器価格は全国平均で見れば上昇基調だが、その実態は地域によって大きく異なる。寒冷地では高性能化による価格上昇が顕著で、温暖な都市部では安価かつ安定した価格帯が続く傾向にある。これらの差は、単に気候だけでなく、物流、需要、住宅事情といった複合的要因の反映でもある。今後も地域ごとの価格推移に注目が必要である。
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