ノンアルコールビールの小売価格動向と課題

ビール



日本のノンアルコールビール1パック(350mL×6)の小売価格は、2025年3月時点で平均665円。
甲府や山口などが高価格帯、岐阜や水戸が低価格帯だが、特に低価格地域でも価格上昇率が高い。
原材料・物流・資材コスト高が背景にあり、今後も小幅な価格上昇が続く見通しです。
消費者の間では、品質志向とコスト重視の二極化が進みつつあります。

菓子類・飲料の都市別小売価格

ノンアルコールビール価格の高い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 甲府 山口 宮崎 熊本 大阪 那覇 佐賀 札幌 長崎 東京都区部
最新値[円] 665 731 729 726 704 703 696 696 695 693 686
平均比[%] 100 109.9 109.6 109.2 105.9 105.7 104.7 104.7 104.5 104.2 103.2
前年月同比[%] -1.488 -0.273 3.698 -3.329 1.587 0 -4.396 -0.571 -1.138 2.062 1.63

ノンアルコールビール価格の低い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 岐阜 水戸 福島 金沢 千葉 富山 鹿児島 鳥取 山形 奈良
最新値[円] 665 617 627 628 628 629 629 629 631 635 639
平均比[%] 100 92.78 94.29 94.44 94.44 94.59 94.59 94.59 94.89 95.49 96.09
前年月同比[%] -1.488 -2.219 -1.104 -2.181 -2.181 -4.552 -2.177 -0.945 -2.171 -7.837 -10.25

 

これまでのビールの推移

ノンアルコールビールの小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

ノンアルコールビールの現状と今後

ノンアルコールビールは、アルコールを含まない飲料として、近年注目を集めています。健康志向の高まりや車を運転する際などの需要に応じて、ノンアルコールビールの市場は拡大しており、多くのメーカーがラインナップを強化しています。また、ノンアルコールビールはアルコール飲料と似た味わいを提供することから、ビール愛好者にとって代替品としての位置づけを確立しています。

本章では、2020年1月から2025年3月に至るまでのデータを基に、ノンアルコールビール1パック350mL×6の小売り価格の動向、地域ごとの価格差、および最近の価格上昇の要因について解説します。


ノンアルコールビールの価格動向(2020年~2025年)

平均価格の推移

最新のデータ(2025年3月)によると、ノンアルコールビール1パック350mL×6の小売り価格の平均は665円となっています。この価格は、2020年1月からの期間で徐々に上昇しており、特に2022年以降、価格上昇が顕著になっています。この価格上昇は、原材料費の増加、物流コストの上昇、消費税増税などの影響を受けています。

ノンアルコールビールは通常、アルコール飲料よりも価格が低いですが、それでも安定した価格推移を見せているわけではなく、経済状況や市場の動向によって価格が変動しています。

都市別の価格動向

都市ごとに価格差が大きいことが分かります。例えば、甲府(731円)、山口(729円)、宮崎(726円)など、特定の地域では価格が高くなっています。これらの都市では、地域の消費者層や市場の競争状態によって価格が設定されていると考えられます。特に観光地や購買力の高い地域では、若干高めの価格設定がなされていることがよくあります。

一方で、岐阜(617円)、水戸(627円)、福島(628円)などの地域では、比較的低価格で提供されており、地方都市では価格競争が激しいため、ノンアルコールビールも手ごろな価格で販売されています。この価格差は、都市間の競争状況や消費者の購買力の違いが影響していることを示唆しています。

年間比較と価格上昇

前年同期との比較において、いくつかの地域で価格が上昇しています。特に、山口(3.698%増)、熊本(1.587%増)、長崎(2.062%増)などでは、前年よりも価格が上昇しています。これらの地域では、原材料費や物流費の高騰、あるいはメーカーの販売戦略が影響していると考えられます。

逆に、奈良(-10.25%減)、千葉(-4.552%減)、宮崎(-3.329%減)などでは、価格が前年より減少しています。これらの地域では、市場競争の激化や消費者が価格に敏感であることから、販売業者が価格を下げる必要があったと推測されます。


都市別の特徴と価格分析

高価格地域の特徴

甲府(731円)、山口(729円)、宮崎(726円)などの高価格地域にはいくつかの特徴があります:

  • 観光地や地域の特性:これらの地域は観光業が発展している場所も多く、観光客向けの商品の価格が高く設定される傾向があります。また、購買力が相対的に高い都市では、生活費が高いため、その影響を受けた価格設定が行われます。

  • 市場の需要と競争:特定の都市では、他のアルコール飲料やノンアルコール飲料の競争が少なく、需要に応じて価格がやや高く設定されています。特に、山口熊本などでは、需要の安定感と地域特性が価格に影響を与えています。

低価格地域の特徴

岐阜(617円)、水戸(627円)、福島(628円)など、低価格地域では価格が安定しており、消費者が手に取りやすい価格設定がされています:

  • 競争の激しい市場:これらの地域では、複数のブランドや商品が同じ市場で競争しているため、価格が引き下げられる傾向があります。消費者の価格に対する敏感さが高いため、価格競争が価格を引き下げる要因となります。

  • 消費者層と購買力:地方都市や郊外では、消費者の購買力が都市部に比べて相対的に低く、メーカーは価格を抑える必要があります。そのため、低価格商品が多く販売される傾向があります。

価格減少の要因

一部の地域で価格が減少している背景には、消費者の購買力の変化や市場競争の激化が関与しています。例えば、奈良(-10.25%減)や千葉(-4.552%減)などでは、消費者が低価格の商品を選択する傾向が強く、その影響で価格が下がっています。これは、ノンアルコールビールがより安価で提供される必要がある地域でよく見られます。

また、宮崎(-3.329%減)のような地域では、価格が減少している一方で、消費者の需要に応じた供給が進んでおり、競争を避けるために価格が調整されています。


ノンアルコールビールの価格上昇要因

原材料費の増加

ノンアルコールビールの価格上昇の主要な要因の一つは、原材料費の増加です。製造には麦芽やホップ、大麦、米などが使用され、これらの原材料の価格が上昇すると、最終的に製品の価格にも反映されます。特に、麦芽の価格の変動は大きな影響を及ぼすことが知られています。

物流コストの上昇

近年、物流コストが急激に上昇しており、これがノンアルコールビールの価格上昇に寄与しています。燃料費の高騰、労働力不足などが影響し、配送コストが増加しているため、製品の最終価格に転嫁されています。

消費税の増税

消費税の増税も価格に影響を与える要因です。特に2021年以降の消費税増税は、メーカーや販売業者にとっての負担となり、その負担が価格に反映される形となりました。消費税は最終的に消費者に転嫁されるため、税率の引き上げは価格上昇の一因となっています。


今後の展望

ノンアルコールビール市場は今後も成長が見込まれており、消費者の健康志向やドライバー需要に応じて、より多様な商品が市場に登場するでしょう。しかし、原材料費や物流コストの上昇、消費税の影響などの要因により、価格上昇が続く可能性があります。

特に、都市間での価格差は今後も続き、消費者の購買力や市場競争に応じて価格設定が行われると予想されます。価格競争の激しい地域では低価格が維持される一方、需要の安定している都市ではやや高めの価格が維持される可能性があります。

 

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