日本の建設業の労働者数は254.3万人で前年比+2.154%と増加。一般労働者や男性が大多数を占めるが、女性も増加中。パートタイム労働者は減少傾向にあり、現場業務の特性が影響。今後はデジタル化、女性・外国人労働者の活用が課題解決の鍵。
男女別の労働者数の推移
最近の労働者数データ
合計 | 一般労働者 | 男性計 | 女性計 | パートタイム労働者 | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最大期 | 2017年12月 | 2017年12月 | 2017年12月 | 2023年12月 | 2017年12月 |
最新値[万人] | 254.3 | 240.6 | 204 | 50.37 | 13.79 |
最大値[万人] | 308.7 | 288.9 | 256.4 | 54.39 | 19.83 |
前年同月比[%] | 2.154 | 2.827 | 2.252 | 1.756 | -8.318 |
建設業の労働者数の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
建設業は日本のインフラ整備や災害対応、高齢化社会における住宅需要などに不可欠な産業ですが、長年にわたり人手不足や高齢化、技能継承の問題が指摘されてきました。本稿では、2025年1月時点の雇用統計をもとに、建設業の労働力の現状と課題、今後の見通しについて詳述します。
全体的な労働者数の動向
最新の労働者数(5人以上規模)は254.3万人で、前年同月比では+2.154%の増加となっています。これは他産業と比較しても比較的堅調な推移であり、建設需要の高まりや、公共事業、災害復旧工事、老朽インフラの更新需要が背景にあると考えられます。
雇用形態別の動向と課題
一般労働者
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240.6万人で全体の約95%を占め、前年比+2.827%と大きく増加。
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正社員や長期雇用を前提とした人材が中心で、技能を有する熟練者が多い。
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一方で、若年層の新規就労者は依然として少なく、今後の担い手確保が課題。
パートタイム労働者
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13.79万人で構成比は小さいながらも重要な補助的役割を担う。
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しかし、前年比-8.318%と大幅に減少しており、現場業務の負荷や安全面の制約から短時間勤務の受け入れに限界があることが影響しています。
男女別の特徴と課題
男性労働者
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204万人で全体の約80%、前年比+2.252%と緩やかな増加。
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現場作業を中心とした肉体労働が多く、依然として男性中心の職種構成。
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高齢化が進み、60代以上の比率が上昇している点が懸念材料です。
女性労働者
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50.37万人と全体の約20%、前年比+1.756%と増加傾向にあります。
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現場以外の設計・事務・管理などでの活躍が目立ちますが、現場進出も徐々に進行。
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トイレや更衣室などの環境整備、出産・育児と仕事の両立支援が今後の鍵となります。
最近の建設業界が抱える課題
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慢性的な人手不足:とくに若年層の新規入職者が少なく、技能労働者の高齢化が深刻。
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技能継承の困難さ:熟練者の退職と若手の育成スピードがかみ合っていない。
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働き方改革の遅れ:長時間労働や休日の少なさが人材確保の妨げに。
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現場の安全性・多様性の確保:多国籍化や女性進出を見据えた職場環境整備が必要。
今後の展望と期待
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インフラ更新需要の継続:老朽橋や下水道の改修、地震対策などにより、安定した需要が見込まれます。
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デジタル化(i-Construction)と生産性向上:ICTやドローン、BIM導入により、省人化と若年層の参入促進が期待されます。
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外国人労働者の受け入れ拡大:技能実習制度や新在留資格により、労働力の確保が可能。
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女性・高齢者・兼業者の活用強化:柔軟な勤務制度と設備改善により、多様な働き手の参加が進む可能性があります。
まとめ
建設業は依然として男性中心の構造ですが、着実に女性や多様な雇用形態を取り込もうとする動きが見られます。堅調な雇用増加の裏では、技能継承や働き方改革といった構造的課題が残されており、今後はデジタル技術や外国人労働力、多様な人材の融合による業界再編が鍵となるでしょう。
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