煮干し価格が高騰中|地域差とその背景にある要因を詳しく解説

加工食品



日本全国で煮干し100gあたりの小売価格が上昇しており、2025年3月の平均は359.3円。特に旭川や宮崎などでは前年比60%超の上昇が見られ、価格変動の大きさが浮き彫りに。高松や函館など一部地域では500円近くに達しており、地域による価格差も顕著。背景には不漁、燃料費高騰、人手不足などの影響があるとみられ、煮干しを巡る流通と価格の安定化が今後の課題となっている。

加工食品の都市別小売価格

煮干しの高い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 高松 函館 鳥取 那覇 徳島 東大阪 大阪 さいたま 川崎 今治
最新値[円] 359.3 519 493 456 453 437 429 425 425 417 417
平均比[%] 100 144.4 137.2 126.9 126.1 121.6 119.4 118.3 118.3 116.1 116.1
前年月同比[%] 9.159 18.49 55.52 12.59 0.443 38.73 6.452 21.08 -0.701 -2.113 -2.57

煮干しの低い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 旭川 宮崎 佐賀 北九州 佐世保 長崎 甲府 郡山 鹿児島 水戸
最新値[円] 359.3 213 214 245 261 262 275 278 283 288 290
平均比[%] 100 59.28 59.56 68.18 72.64 72.92 76.53 77.37 78.76 80.15 80.71
前年月同比[%] 9.159 0 18.89 15.02 11.06 6.073 -1.786 8.171 -20.51 9.091 47.21

 

これまでの魚加工品の推移

煮干しの小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

煮干しの現状と今後

煮干しは日本の食卓に欠かせない出汁(だし)素材のひとつであり、長年にわたり安定的に消費されてきました。しかし近年、煮干しの価格は全国的に上昇傾向を示しており、地域による価格差も顕著です。本稿では、2010年から2025年3月までのデータをもとに、煮干し100gあたりの小売価格の推移や、地域ごとの特徴、そして価格高騰の要因について解説します。


全国平均とその推移

2025年3月時点における煮干しの全国平均価格は100gあたり359.3円です。この価格は過去10年と比較しても明らかに高く、特に2023年以降の上昇率が顕著となっています。全国的な価格高騰の背景には、原料となるカタクチイワシなどの水揚げ量の減少や、物流コスト・燃料価格の上昇が挙げられます。


価格の高い地域とその傾向

2025年3月時点で煮干しの価格が高い都市は以下の通りです:

  • 高松:519円(前年比+18.49%)

  • 函館:493円(+55.52%)

  • 鳥取:456円(+12.59%)

  • 那覇:453円(+0.443%)

  • 徳島:437円(+38.73%)

これらの地域では、地元産の煮干しが少ない、または物流のコストが高くなりやすい地理的条件が影響していると考えられます。特に函館の急上昇は、地元の水産業の不振や原材料価格の急騰が要因と見られます。


価格の低い地域とその傾向

一方で、以下の都市では比較的安価な価格帯を保っています:

  • 旭川:213円(+59.28%)

  • 宮崎:214円(+59.56%)

  • 佐賀:245円(+68.18%)

  • 北九州:261円(+72.64%)

  • 佐世保:262円(+72.92%)

これらの地域でも前年比で50%以上の値上がりが見られ、全体としての価格上昇トレンドは明確です。安価に見えるものの、価格の伸び率はむしろ高く、家計への影響が深刻化しています。


価格高騰の主な要因

  1. 原料価格の上昇:煮干しの主原料であるカタクチイワシは、海洋環境の変動や漁獲制限により水揚げ量が不安定化し、価格が高騰しています。

  2. 燃料・輸送コストの増加:物流業界の人手不足や燃料費の高騰は、地方や離島への流通コストに大きな影響を与えています。

  3. 人手不足と加工コストの上昇:漁業や加工業の高齢化と人材不足により、製造原価そのものが上昇しています。

  4. 需要の堅調さ:健康志向や和食ブームにより、家庭内での煮干し需要は依然として高く、需要に対して供給が追いつかない状況が続いています。


今後の展望と対応策

今後も煮干しの価格が上昇する可能性は高く、特に地方都市や物流が不安定な地域では顕著な傾向が予想されます。一方で、漁業支援策や加工技術の省力化、冷凍保存技術の発展などにより、ある程度の価格安定化も期待されます。

また、輸入煮干しや代替素材の活用も今後の対策として検討される可能性があります。


まとめ

煮干しの価格上昇は一過性のものではなく、構造的な問題が背景にあります。日本の食文化において重要な役割を果たす煮干しの安定供給には、漁業・加工・流通の各段階での支援と改革が求められています。家計にとっても身近な食材である煮干しの今後に注目が集まります。

 

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