2025年3月時点で、日本のほたて貝100gの平均小売価格は371.9円と高騰。岡山市では470円、盛岡市では196円と地域差が顕著。価格上昇の主因は、海外需要の急増と海水温上昇による養殖環境の悪化。円安も輸出を後押しし、国内供給が減少。これらの要因が複合的に作用し、価格高騰が続いている。
食料品の都市別小売価格
ほたて貝の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高知 | 岡山 | 甲府 | 山形 | 松山 | 名古屋 | 鳥取 | 神戸 | 千葉 | 京都 |
最新値[円] | 371.9 | 441 | 441 | 440 | 426 | 421 | 420 | 416 | 416 | 416 | 410 |
平均比[%] | 100 | 118.6 | 118.6 | 118.3 | 114.5 | 113.2 | 112.9 | 111.9 | 111.9 | 111.9 | 110.2 |
前年月同比[%] | 12.45 | 16.67 | 17.6 | 19.24 | 9.512 | 19.26 | 12.6 | 24.55 | 13.97 | 13.97 | 20.94 |
ほたて貝の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 盛岡 | 水戸 | 那覇 | 大分 | 札幌 | 長野 | 奈良 | 岐阜 | 長崎 | 和歌山 |
最新値[円] | 371.9 | 196 | 252 | 276 | 300 | 305 | 327 | 334 | 343 | 343 | 348 |
平均比[%] | 100 | 52.7 | 67.76 | 74.21 | 80.66 | 82.01 | 87.92 | 89.81 | 92.23 | 92.23 | 93.57 |
前年月同比[%] | 12.45 | 3.158 | 19.43 | 7.813 | -7.121 | 15.97 | 2.188 | 9.508 | 11 | 14.33 | -10.77 |
これまでの魚類他の推移


詳細なデータとグラフ
ほたて貝の現状と今後
日本のほたて貝の100gあたりの小売価格は、2025年3月時点で平均371.9円となっており、近年大きく上昇しています。2010年からの長期的なデータを見ると、比較的安定していた時期もありましたが、近年は特に2020年以降の価格上昇が顕著です。これは国内外の需要増加や、自然環境の変化、物流コストの上昇、円安など、複数の要因が複合的に影響しています。
都市別の価格の特徴
高価格帯の都市
ほたて貝の価格が高い上位10都市は以下の通りです。
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高知・岡山:441円
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甲府:440円
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山形:426円
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松山:421円
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名古屋:420円
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鳥取・神戸・千葉:416円
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京都:410円
これらの都市の特徴としては、消費地としての需要が高いこと、輸送コストがかかる地域であること、地元での供給量が限られていることなどが挙げられます。
特に鳥取(24.55%増)や京都(20.94%増)のように、前年と比べて大きく価格が上昇した都市もあり、地域ごとの需要バランスや流通の問題が影響していると考えられます。
低価格帯の都市
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盛岡:196円
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水戸:252円
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那覇:276円
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大分:300円
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札幌:305円
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長野:327円
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奈良:334円
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岐阜・長崎:343円
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和歌山:348円
これらの都市では、もともと価格が低いものの、前年同期からの増加率は非常に高くなっています。特に和歌山(+93.57%)や岐阜・長崎(+92.23%)など、軒並み80%以上の上昇率を記録しています。これは、低価格の反動や仕入れ価格の上昇が直接転嫁されたことを示唆しています。
価格高騰の要因分析
海水温の上昇と漁獲量の減少
地球温暖化により、海水温の変化がほたての育成に大きな影響を与えています。特に北海道などの主要産地では、プランクトンの異常発生や水温の異常で、養殖や天然のほたての成長に支障が出ており、漁獲量の減少が報告されています。
海外需要の増加と輸出偏重
中国を中心に、海外での日本産ほたてへの需要が急増しています。特に加工用としての需要が高く、輸出価格の方が国内価格より高くなるため、生産者が輸出を優先する傾向が強まっています。そのため、国内市場への供給が減り、価格が上昇しています。
円安による輸入コストの上昇と輸出メリットの拡大
2024年以降の円安傾向により、輸入に頼る水産加工業者はコストが上昇。一方で輸出による収益性が向上し、国内販売の優先順位が下がったことも供給減少に拍車をかけています。
燃料費・輸送費の高騰
全国的に物流コストが上昇しており、特に冷蔵・冷凍輸送が必要なほたて貝のような水産物はその影響を強く受けています。地方の流通コストが価格に反映されやすい構造となっています。
今後の見通しと課題
今後も以下の理由により、ほたて貝の小売価格は高止まり、あるいはさらに上昇する可能性があります。
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海水温のさらなる上昇と異常気象による安定供給の困難化
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海外需要の維持、特に中国向けの動向次第
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円安基調が続く限り輸出偏重傾向の継続
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国内での担い手不足による生産体制の脆弱化
一方、国内消費者の負担が増す中で、代替品の需要が伸びたり、価格転嫁を抑える流通改革が求められる場面も増えると考えられます。
まとめ
ほたて貝の価格動向は、環境・経済・国際情勢の複合的な影響を強く受けており、地域差も大きいことがわかります。今後の価格安定化には、生産体制の強化や流通の見直し、環境変化への対応など、多面的な対策が求められます。消費者・事業者・政府それぞれの役割が重要になるでしょう。
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