日本のたこ100gあたりの平均小売価格は2025年3月時点で475.7円と高騰しており、都市別に大きな差がある。都市部では流通コストや外食需要により高値が続き、地方では急激な価格上昇が見られる。背景には漁獲量の減少、輸入価格の上昇、燃料費の高騰などがある。価格安定には流通の効率化や持続可能な漁業が鍵となる。
食料品の都市別小売価格
たこの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宇都宮 | 仙台 | 高知 | さいたま | 熊谷 | 所沢 | 東京都区部 | 浦安 | 横浜 | 相模原 |
最新値[円] | 475.7 | 577 | 554 | 542 | 540 | 538 | 537 | 534 | 532 | 528 | 527 |
平均比[%] | 100 | 121.3 | 116.5 | 113.9 | 113.5 | 113.1 | 112.9 | 112.3 | 111.8 | 111 | 110.8 |
前年月同比[%] | 8.517 | 4.34 | 8.415 | 12.22 | 14.65 | 11.16 | 0 | 10.33 | 5.347 | 14.53 | 6.68 |
たこの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 盛岡 | 旭川 | 金沢 | 徳島 | 青森 | 富山 | 鹿児島 | 八戸 | 静岡 | 佐賀 |
最新値[円] | 475.7 | 317 | 344 | 393 | 403 | 416 | 419 | 419 | 422 | 429 | 430 |
平均比[%] | 100 | 66.64 | 72.32 | 82.62 | 84.72 | 87.46 | 88.09 | 88.09 | 88.72 | 90.19 | 90.4 |
前年月同比[%] | 8.517 | 13.21 | -8.511 | 10.08 | -10.84 | -11.86 | 0 | 6.345 | 0 | 6.188 | 0.233 |
これまでの魚類他の推移


詳細なデータとグラフ
たこの現状と今後
日本人にとって親しみのある食材「たこ」は、酢の物やたこ焼き、寿司ネタなど、食卓でも多く使われてきました。近年、このたこの価格が全国的に上昇傾向にあります。本稿では、2010年から2025年3月までのデータに基づき、たこの小売価格の動向、地域別の特徴、価格上昇の背景にある要因について考察します。
たこの全国平均価格と長期的な傾向
2025年3月時点のたこの全国平均価格は100gあたり475.7円。2010年時点と比べると着実に上昇しており、特にここ数年の値上がりは顕著です。この動きは他の海産物同様、国内外の複数の要因が絡み合った結果といえます。
地域別に見る価格の差
● 高価格地域(上位10都市)
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宇都宮(577円)
-
仙台(554円)
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高知(542円)
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さいたま(540円)
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熊谷(538円)
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所沢(537円)
-
東京都区部(534円)
-
浦安(532円)
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横浜(528円)
-
相模原(527円)
これらの都市は大都市圏または内陸部が多く、物流コストや加工需要、消費単価の高さが影響しています。また、観光需要の高い地域では、業務用需要の価格反映も見られます。
● 低価格地域(下位10都市)
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盛岡(317円)
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旭川(344円)
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金沢(393円)
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徳島(403円)
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青森(416円)
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富山(419円)
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鹿児島(419円)
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八戸(422円)
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静岡(429円)
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佐賀(430円)
港湾がある地域や地元消費中心の地方都市では、比較的安価に提供されています。ただし、増加率は高く、盛岡で66.64%、金沢では82.62%といった大幅な上昇が見られます。
価格上昇の背景にある要因
● 漁獲量の減少
タコ類は乱獲や海水温上昇の影響を受けやすく、国内での漁獲量は年々減少傾向にあります。また、タコは一部を海外(アフリカやメキシコなど)からの輸入に頼っており、国際市場での争奪戦や現地の不漁が影響しています。
● 燃料費・輸送費の高騰
流通コストの上昇が小売価格に反映されています。特に内陸都市では、冷凍流通や保管にかかる費用が高く、価格に跳ね返りやすいです。
● 円安の影響
輸入依存が高い品目においては、円安が価格を押し上げる要因になっています。海外産たこも高騰し、結果として国産・輸入どちらも値上げされています。
● 消費の多様化と需要増
たこ焼きや寿司文化の世界的な普及により、国外でもたこの需要が拡大しています。特に中国・韓国・アメリカ市場などでは業務用需要が急増し、需給バランスの逼迫を招いています。
今後の見通しと課題
たこの価格は今後も高止まりが予想されます。国内では漁業従事者の高齢化と担い手不足、輸入価格の不安定性が影響を与え続けるでしょう。サステナブルな漁業管理、養殖技術の発展、物流の効率化などが価格安定の鍵となります。
まとめ
たこの価格は、全国的に上昇傾向が続いており、地域によっては大きな差が見られます。背景には自然環境の変化や国際需給の影響、国内産業の構造問題など複雑な要因があります。消費者・業界双方にとって、安定的な供給体制と価格の見通しが求められています。
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