2025年3月時点でのかつお100gの平均小売価格は245.3円。高知や山形などで価格が高く、特に高知では352円で前年比23.94%上昇。一方、秋田や那覇など低価格地域でも80%以上の急騰が確認され、全国的な高騰傾向にある。要因は漁獲量減、輸送費上昇、円安などで、今後は流通の最適化や漁業資源管理が課題。
食料品の都市別小売価格
かつおの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 高知 | 山形 | 福島 | 高松 | 山口 | 岡山 | 熊本 | 津 | 大分 | 青森 |
最新値[円] | 245.3 | 352 | 295 | 289 | 288 | 286 | 272 | 271 | 271 | 268 | 265 |
平均比[%] | 100 | 143.5 | 120.2 | 117.8 | 117.4 | 116.6 | 110.9 | 110.5 | 110.5 | 109.2 | 108 |
前年月同比[%] | -1.391 | 23.94 | -0.338 | 7.037 | -2.703 | 2.143 | 11.02 | 0 | 11.52 | 9.388 | 3.922 |
かつおの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 秋田 | 大津 | 宇都宮 | 札幌 | 那覇 | 和歌山 | 水戸 | 長野 | 佐賀 | 徳島 |
最新値[円] | 245.3 | 191 | 204 | 207 | 210 | 213 | 214 | 218 | 218 | 220 | 223 |
平均比[%] | 100 | 77.86 | 83.15 | 84.38 | 85.6 | 86.82 | 87.23 | 88.86 | 88.86 | 89.68 | 90.9 |
前年月同比[%] | -1.391 | -11.16 | -22.14 | -20.38 | -13.58 | 0 | -9.322 | -6.838 | -2.679 | 2.326 | -2.193 |
これまでの魚の推移


詳細なデータとグラフ
かつおの現状と今後
2025年3月時点での日本国内におけるかつお100gあたりの小売価格は平均245.3円。この数値は、過去15年にわたるデータ(2010年3月〜2025年3月)と比べて、比較的高い水準に位置します。ここ数年で特に急上昇した傾向が見られ、全国的にかつお価格の上昇が広がっています。
高価格地域の特徴と背景
最新データでかつおの価格が最も高い地域は高知県で、352円と全国平均を大きく上回っています。高知といえば「カツオのたたき」など、かつおの消費が多い県として知られており、地元での需要の高さや品質へのこだわりが価格に反映されていると考えられます。また、前年同期比で23.94%の価格上昇も見られ、全国的な高騰の中心地ともいえるでしょう。
その他、山形(295円)や福島(289円)、高松(288円)、山口(286円)なども高価格帯に分類されます。山形や福島といった内陸部は輸送コストの影響を受けやすく、それが価格上昇に繋がっていると見られます。高松や山口も地元の需要と流通コストの影響を受けやすい地域です。
低価格地域の傾向と急激な変化
一方、最も安価だったのは秋田県(191円)。しかし、前年同期比で77.86%の大幅上昇を記録しており、安価とはいえ価格の急騰が起こっていることがわかります。
以下の地域も同様に価格は低いものの、80%を超える上昇率を記録しています:
-
大津(204円、+83.15%)
-
宇都宮(207円、+84.38%)
-
札幌(210円、+85.6%)
-
那覇(213円、+86.82%)
-
和歌山(214円、+87.23%)
-
水戸・長野(218円、+88.86%)
-
佐賀(220円、+89.68%)
-
徳島(223円、+90.9%)
これらの地域は比較的安価にかつおが入手できる地域でしたが、近年の価格上昇は非常に急激であり、過去に例のないスピードで価格が高騰していることを示しています。
価格上昇の主な要因
漁獲量の減少
かつおは回遊魚であり、気候変動や海水温の上昇、漁場の変化に大きく左右されます。近年は日本近海での漁獲量が減少傾向にあり、これが直接価格に影響しています。
輸送コストと燃料費の上昇
とくに内陸部では、輸送距離の長さが価格に影響します。燃料費の上昇や物流網の混乱によって、鮮魚の運搬コストが高まり、結果的に小売価格に転嫁されています。
地元需要の高まりとブランド化
高知のように、地元での消費が多く「地産地消」文化が根付いている地域では、需要が供給を上回り価格が高騰しやすくなります。また、地元ブランドとしての価値が加わることで、価格が高止まりする傾向もあります。
為替レートの影響と輸入かつおの依存
日本は一部のかつおを輸入に頼っており、円安の進行は輸入品価格を押し上げる要因となっています。この影響が全国的な価格高騰につながっていると考えられます。
今後の見通しと課題
かつお価格の高騰は、単なる一時的な現象ではなく、中長期的に継続する可能性があります。特に、以下の点が課題として挙げられます:
-
安定供給体制の確立:近海漁業の強化や輸入ルートの多様化が急務。
-
価格情報の透明化:消費者が変動の理由を把握できる体制が求められます。
-
地域間格差の是正:特定地域に負担が集中しないような流通の工夫が必要です。
今後は、持続可能な漁業管理と合理的な流通設計が、価格の安定と地域間のバランスを取る鍵になるでしょう。
コメント