日本の干ししいたけ100gの小売価格は、2010年以降長期的に上昇しており、2025年3月の平均は1865円。郡山や鳥取など高価格地域では高品質志向や物流費が影響し、逆に松阪や和歌山など低価格地域でも前年比60〜80%の大幅上昇が見られる。生産者の高齢化、原木不足、加工コスト増などが背景にあり、今後は生産支援や新技術導入が価格安定の鍵となる。
食料品の都市別小売価格
干ししいたけの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 郡山 | 鳥取 | 佐賀 | 新潟 | 藤沢 | 熊谷 | 高松 | 相模原 | 川崎 | 東京都区部 |
最新値[円] | 1865 | 3015 | 2723 | 2683 | 2567 | 2510 | 2510 | 2365 | 2338 | 2338 | 2331 |
平均比[%] | 100 | 161.7 | 146 | 143.9 | 137.7 | 134.6 | 134.6 | 126.8 | 125.4 | 125.4 | 125 |
前年月同比[%] | 14.12 | 40.36 | 55.33 | 11.01 | 70.11 | 0 | 9.273 | 47.26 | 17.25 | 10.13 | 13.21 |
干ししいたけの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 松阪 | 和歌山 | 宮崎 | 小山 | 長崎 | 福島 | 那覇 | 立川 | 鹿児島 | 八戸 |
最新値[円] | 1865 | 1198 | 1247 | 1273 | 1290 | 1292 | 1341 | 1368 | 1402 | 1423 | 1508 |
平均比[%] | 100 | 64.25 | 66.88 | 68.27 | 69.19 | 69.29 | 71.92 | 73.37 | 75.19 | 76.32 | 80.88 |
前年月同比[%] | 14.12 | 0 | 23.59 | 18.31 | 0 | -19.95 | 6.853 | -9.404 | 30.3 | 8.792 | -6.683 |
これまでのきのこ類の推移


詳細なデータとグラフ
干ししいたけの現状と今後
2010年から2025年にかけて、日本における干ししいたけ100gの小売価格は長期的に上昇傾向にあります。2025年3月の最新平均価格は1865円と、過去15年の中でも高い水準です。この間、原材料費やエネルギーコスト、天候不順などの複合的な要因が価格に影響してきました。
価格が高い地域の特徴と背景
主要高価格都市とその水準
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郡山:3015円(前年比+40.36%)
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鳥取:2723円(+55.33%)
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佐賀:2683円(+11.01%)
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新潟:2567円(+70.11%)
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藤沢/熊谷:2510円
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東京都区部:2331円(+13.21%)
要因と解説
これらの都市では以下のような事情が影響しています:
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地域特有の高品質品の流通 郡山や新潟などでは、地元産の高級干ししいたけが流通し、付加価値の高い商品が価格を押し上げています。
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物流費の上昇 山間部から都市圏への輸送費がかかる地域では、干ししいたけの販売価格が高くなる傾向があります。
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人口密集地での需要集中 東京や川崎など都市部では、需要が集中しやすく、価格が高止まりする傾向があります。
価格が低い地域の特徴と背景
主要低価格都市とその水準
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松阪:1198円(前年比+64.25%)
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和歌山:1247円(+66.88%)
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宮崎:1273円(+68.27%)
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小山/長崎:1290〜1292円
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福島:1341円(+71.92%)
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那覇/立川/鹿児島/八戸:1368〜1508円
要因と解説
価格が比較的低いこれらの地域でも、前年比で60%以上の上昇が確認されており、以下のような背景が見られます:
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過去の低価格水準からの急騰 これらの地域では、もともと干ししいたけの価格が全国平均よりかなり低かったため、価格調整や外部要因の影響で急激な上昇が生じたと考えられます。
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流通ルートの再編 地域によっては、JAなどを通じた価格安定機能が弱まり、仕入れ価格の上昇が小売価格に反映された可能性があります。
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天候不順と不作の影響 九州や東北では、天候不順による干ししいたけ原木の収穫減が価格に大きく影響しました。
全体的な価格上昇要因の分析
日本全国で干ししいたけの価格が上昇している背景には、以下のような複合的要因が挙げられます:
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生産者の高齢化と担い手不足 干ししいたけは手間がかかるため、高齢化が進む地方では生産量が減少し、供給不足が起きています。
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気候変動と原木の減少 干ししいたけはクヌギやコナラの原木を使って栽培されますが、台風や大雨の影響、林業の衰退により原木の入手が難しくなっています。
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加工・乾燥コストの上昇 干ししいたけの加工には一定のエネルギー(乾燥機など)が必要であり、電気代や燃料費の上昇がコストを圧迫しています。
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輸入品の代替が難しい 生しいたけに比べて、干ししいたけは日本独自の食文化と結びつきが強く、国内産へのこだわりが価格上昇に拍車をかけています。
今後の展望と課題
価格の高騰が続く干ししいたけ市場ですが、今後の対策として以下のような取り組みが重要です:
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生産支援の拡充:若手農業者への技術支援や補助金制度による担い手確保。
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新技術の導入:乾燥工程の効率化、省エネルギー化によるコスト削減。
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需要の分散と価格安定策:外食産業や輸出需要とのバランスを図りながら、消費地と産地の調整を進める。
まとめ
干ししいたけの小売価格は2010年以降、全国的に着実な上昇傾向を示しており、地域差も大きくなっています。高価格地域では高品質志向や物流の影響が、低価格地域では価格調整や供給制約が影響しています。持続可能な供給体制の構築と流通の効率化が、今後の価格安定に向けた鍵となるでしょう。
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