2025年3月時点で、日本におけるさといも1kgの平均小売価格は917.8円。長崎や山形など一部地域で価格が高騰し、前年同期比で2倍近くに達した地域もある。背景には生産者の高齢化、天候不順、物流コストの上昇などがある。一方、高松や所沢などでは比較的安価で安定している。今後は生産体制の強化や物流改革が価格安定の鍵となる。
食料品の都市別小売価格
さといもの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 長崎 | 山形 | 大分 | 八王子 | 相模原 | 甲府 | 岐阜 | 盛岡 | 長岡 | 府中 |
最新値[円] | 917.8 | 1451 | 1449 | 1243 | 1171 | 1165 | 1145 | 1139 | 1122 | 1121 | 1119 |
平均比[%] | 100 | 158.1 | 157.9 | 135.4 | 127.6 | 126.9 | 124.8 | 124.1 | 122.3 | 122.1 | 121.9 |
前年月同比[%] | 9.232 | 104.9 | -0.753 | 61.43 | 19 | -12.21 | 14.84 | 24.89 | 55.19 | -8.564 | 8.746 |
さといもの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高松 | 所沢 | 高知 | 仙台 | 宇都宮 | 柏 | 今治 | 松山 | 函館 | 松江 |
最新値[円] | 917.8 | 599 | 634 | 638 | 647 | 673 | 694 | 717 | 717 | 718 | 720 |
平均比[%] | 100 | 65.27 | 69.08 | 69.51 | 70.5 | 73.33 | 75.62 | 78.12 | 78.12 | 78.23 | 78.45 |
前年月同比[%] | 9.232 | 14.1 | -23.89 | 50.83 | -20.9 | -4.267 | 0 | 24.7 | 35.8 | -40.76 | 3.746 |
これまでの野菜土物類の推移


詳細なデータとグラフ
さといもの現状と今後
日本におけるさといもの小売価格は、2025年3月時点で全国平均917.8円/kgとなっており、過去10年以上のデータを見ると、年ごとの天候や物流事情、生産者数の減少などの影響を受けて、価格は変動しながらも徐々に上昇傾向にあります。とくに近年の高騰は一時的な需給バランスの崩れに加え、構造的な課題も見え隠れしています。
価格が高い都市の傾向と背景
価格が高い上位都市には、長崎(1451円)、山形(1449円)、大分(1243円)などが並びます。長崎や大分といった西日本の都市では、輸送コストや地元流通網の限定性が価格に反映されやすく、地域の小規模な流通によって高値が続く傾向があります。山形では前年度から若干の価格下落(-0.753%)が見られるものの、依然として全国上位に位置しており、冬場の需要増や高品質なブランド里芋(「芋煮」など)の存在が影響しています。
価格が低い都市とその要因
一方、価格が低い都市としては高松(599円)、所沢(634円)、高知(638円)、仙台(647円)が挙げられます。これらの地域では、生産地に近いことに加え、都市圏としての市場競争が働き、比較的安価での提供が実現されています。とくに四国や東北はさといもの産地も多く、地産地消の傾向が価格抑制に寄与しています。
価格高騰の要因分析
近年の価格高騰には、以下のような複合的な要因があります:
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生産者の高齢化と減少 栽培の手間がかかるため、担い手不足が深刻化しています。
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天候不順や自然災害 収穫期に豪雨や台風の影響を受け、生産量が減少するケースが増えました。
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物流コストの増加 燃料価格や人手不足による流通コストの上昇が価格に転嫁されています。
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需要の地域集中 特定地域(東北の芋煮文化など)で季節的な需要が高まると、局地的に価格が跳ね上がることがあります。
都市別価格変動から見える地域経済
前年同期比で最も価格が上昇したのは長崎(+104.9%)、続いて盛岡(+55.19%)、大分(+61.43%)などで、特定地域での異常気象や物流網の変化が強く影響していると考えられます。逆に相模原(-12.21%)や長岡(-8.564%)では価格が下落しており、これは地域独自の需給バランスや政策的な地元流通支援策の影響もあると見られます。
今後の展望と政策提言
さといもの安定供給には、以下のような施策が求められます:
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若手農家への補助や研修制度の拡充
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自動化設備の導入支援による省力化
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広域物流網の整備による輸送効率の向上
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地産地消の促進と価格の安定化
また、消費者にも季節ごとの地元産を選ぶ動きが広がれば、価格の地域間格差が緩和される可能性もあります。
まとめ
日本におけるさといもの価格動向は、地域的・構造的な課題が複雑に絡み合っており、単なる一時的な高騰ではなく、今後の農業政策や流通の在り方に大きな影響を及ぼす指標の一つとなっています。都市別の傾向や価格変動を注意深く観察し、長期的な視点での対策が必要です。
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