れんこん1kgの小売価格は2025年3月時点で平均1108円。関西都市部では1500円前後と高値だが、九州では700~900円台が多い。都市部では輸送費や外食需要が影響し高価格傾向にある一方、産地に近い地域は比較的安価。ただし全国的に前年より60~85%の価格上昇が目立ち、異常気象や生産コスト上昇、人手不足が主因。今後は流通効率化やスマート農業などの対策が求められる。
食料品の都市別小売価格
れんこんの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東大阪 | 神戸 | 京都 | 西宮 | 伊丹 | 堺 | 大阪 | 枚方 | 和歌山 | 奈良 |
最新値[円] | 1108 | 1531 | 1474 | 1453 | 1430 | 1378 | 1372 | 1364 | 1355 | 1353 | 1326 |
平均比[%] | 100 | 138.1 | 133 | 131.1 | 129 | 124.3 | 123.8 | 123.1 | 122.3 | 122.1 | 119.6 |
前年月同比[%] | 10.59 | 4.935 | 0.136 | 2.758 | 1.563 | 0.145 | 10.02 | -3.944 | 5.612 | 9.643 | 20.55 |
れんこんの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 佐賀 | 熊本 | 長崎 | 佐世保 | 北九州 | 津 | 大分 | 宮崎 | 宇部 | 松阪 |
最新値[円] | 1108 | 714 | 839 | 839 | 840 | 859 | 859 | 863 | 925 | 945 | 950 |
平均比[%] | 100 | 64.42 | 75.7 | 75.7 | 75.79 | 77.51 | 77.51 | 77.87 | 83.46 | 85.27 | 85.72 |
前年月同比[%] | 10.59 | -8.929 | 0.72 | -15.42 | -5.085 | -4.661 | 11.41 | -13.96 | 8.696 | 4.767 | 13.37 |
これまでの野菜土物類の推移


詳細なデータとグラフ
れんこんの現状と今後
れんこんの全国平均価格は2025年3月時点で 1,108円/kg に達しており、過去10年余りで緩やかな上昇傾向が見られます。価格の安定感がある野菜として知られていましたが、ここ数年の気象変動やコスト高騰の影響を受け、徐々に高値を付ける傾向が強まっています。特に2020年以降は原油価格上昇や人手不足、物流費の上昇が影響し、価格が加速する場面が増えました。
高価格帯都市の特徴と背景
高価格都市としては、以下の地域が上位に並んでいます:
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東大阪:1,531円(前年比+4.935%)
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神戸:1,474円(+0.136%)
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京都:1,453円(+2.758%)
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西宮:1,430円(+1.563%)
これらの都市は、いずれも 関西圏の大都市に集中しており、「都市部価格特有の上昇圧力」が働いています。具体的には以下の要因が背景です:
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地域の購買力が高く、価格弾力性が高い
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生産地からの距離が遠く、輸送費が価格に反映されやすい
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単身世帯や高齢世帯が多く、カット済み商品への依存度が高く高価格化しやすい
また、加工食品や外食産業への需要も根強く、BtoB需要が価格の下支えとなっている面も見逃せません。
低価格帯都市の特徴と傾向
一方で、低価格帯としては以下の都市が挙げられます:
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佐賀:714円(前年比+64.42%)
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熊本・長崎:839円(+75.7%)
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佐世保:840円(+75.79%)
これらは主に 九州地方の都市であり、いずれもれんこんの産地または近隣に生産地を抱えた地域です。輸送コストが抑えられるほか、地元消費の傾向も強く、流通経路が短いために価格が比較的安定しています。
ただし、前年同期比でいずれの都市も 60~85%の大幅な上昇 を示しており、地元でも価格上昇の波は避けられない状況となっています。
価格高騰の要因と課題
れんこん価格の上昇背景には、複数の要因が絡んでいます:
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天候不順・異常気象:長雨や猛暑により収穫量が減少
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燃料・肥料・資材の高騰:農業コストの上昇が価格に転嫁
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物流費の上昇:特に都市部で輸送コストが大きな負担
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人手不足・高齢化:生産者の高齢化と担い手不足により作付面積が縮小傾向
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災害リスク:豪雨や洪水に弱いれんこんの特性も価格変動の要因
これにより、全国的に安定供給が難しくなっており、今後は供給構造の再構築や価格の安定化に向けた支援策が不可欠となります。
今後に向けた展望と対策
価格高騰が続く中で、以下のような対策や展望が求められます:
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産地の多様化と分散:集中豪雨などリスク分散のため、各地での小規模生産支援
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スマート農業の導入:人手不足対策と効率化
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フードロス対策:規格外品の流通促進によるコスト圧縮
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地産地消の推進:地元流通による価格安定と輸送負担軽減
これらを通じて、れんこんを含む根菜類全体の持続可能な生産と流通体制を構築していく必要があります。
まとめ
れんこんは日本の食文化に欠かせない食材ですが、その価格は地域差が大きく、かつ上昇傾向にあります。今後は生産者支援や物流改革を進め、消費者と生産者の双方が納得できる価格と流通構造を目指すことが求められます。
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