2010年から2025年3月までのデータによると、コシヒカリ以外の5kg米の小売価格は地域差が大きく、平均4378円に対し長崎や那覇、岡山など都市部で高く、八戸や盛岡、秋田など地方で安い傾向。価格差の背景には物流費、ブランド力、地域の農業事情が関係。近年は資材費の高騰や気候変動の影響で全体的に上昇傾向にあり、今後も価格の高止まりが予想される。
小売物価統計
コシヒカリ以外小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 岡山 | 那覇 | 長崎 | 鳥取 | 大阪 | 福山 | 東大阪 | 西宮 | 広島 | 北九州 |
最新値[円] | 4543 | 5306 | 5189 | 5122 | 5108 | 5066 | 4979 | 4946 | 4922 | 4921 | 4912 |
前年同月比[%] | +103.9 | +130.7 | +93.76 | +138.3 | +158.6 | +123.7 | +111.4 | +120.2 | +108.8 | +107.2 | +129.5 |
コシヒカリ以外小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 富山 | 秋田 | 盛岡 | 山形 | 八戸 | 青森 | 旭川 | 福井 | 金沢 | 仙台 |
最新値[円] | 4543 | 3678 | 3683 | 3719 | 3758 | 3759 | 3840 | 3931 | 4083 | 4083 | 4098 |
前年同月比[%] | +103.9 | +63.68 | +70.27 | +73.79 | +65.33 | +75.74 | +62.03 | +88.09 | +94.15 | +81.47 | +93.76 |
コシヒカリ以外の推移


詳細なデータとグラフ
コシヒカリ以外の現状と今後
2010年から2025年4月までのデータをもとに、コシヒカリ以外の5kg米の平均小売価格は4543円となっています。地域別にみると、岡山(5306円)、那覇(5189円)、長崎(5122円)、鳥取(5108円)、大阪(5066円)など西日本や沖縄を中心に高価格帯が形成されています。対して、富山(3678円)、秋田(3683円)、盛岡(3719円)、山形(3758円)、8戸(3759円)など北日本地域は低価格帯に位置し、地域格差が大きい傾向にあります。
前年同月比の増加率では、鳥取の158.6%、長崎の138.3%、岡山の130.7%など、西日本を中心に大幅な価格上昇が目立ち、全国平均でも103.9%の増加が観察されました。1方で、北日本の増加率は63〜94%台にとどまり、地域間の価格変動幅の差も顕著です。
地域差の背景と要因
コシヒカリ以外の銘柄米の価格における地域差は、コシヒカリ同様、流通経路、消費者の好み、地元産米の競争力、物流コストなど複合要因が絡み合っています。特に岡山や鳥取、長崎のような地域では地元の特色ある銘柄米が高い評価を受けており、プレミアム価格が形成されています。加えて沖縄(那覇)は輸送費用が高いことから、小売価格が全国的に高めになる傾向です。
北日本の低価格帯は、供給が比較的安定しており、地元産や国産米が豊富に流通していることが要因です。さらに価格競争が激しいため、価格が抑えられる傾向にあります。
近年の価格高騰の要因と課題
2024年から2025年にかけて特に西日本で価格が急騰しています。これは農業資材の値上がりや燃料費高騰、物流の遅延、新型コロナ禍による労働力不足が重なった結果です。さらに、異常気象による作柄不良も供給面での圧力となっています。
価格の急上昇は消費者の負担増につながり、需要減少や代替商品の利用増加を招く可能性があります。特に低価格地域と高価格地域の格差が拡大すると、消費の2極化が進む恐れもあり、農家や流通業者間の調整が重要です。
今後の価格推移の見通しと課題
今後は以下の要素がコシヒカリ以外の銘柄米価格を左右すると考えられます。
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生産コストの安定化技術革新や効率化、農業支援策が進めば、価格の急騰を抑制できる可能性があります。
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物流改善と地域間格差の是正輸送網の効率化や地産地消推進が地域ごとの価格差を縮小することに期待が寄せられます。
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消費者ニーズへの対応多様な食文化の中で、健康志向や新銘柄への興味を喚起し、価格帯に応じた商品展開が進むことが重要です。
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気候変動対策農作物の安定生産を確保するための施策強化が価格の安定に貢献します。
総括
コシヒカリ以外の5kg米は西日本・沖縄地域で価格が高く、北日本で低い傾向が続いています。近年の急激な価格上昇は生産・流通コストの増加や供給不安が主因で、今後は技術革新や物流改革、消費者ニーズの多様化により安定化が望まれます。地域間の格差是正と持続可能な生産体制の構築が課題となっています。
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