2025年4月の修繕材料1枚の平均価格は1995円で、前年比+5.434%と上昇中。東京都区部など都市部で高く、福岡などで低い。原材料費や人件費の上昇、災害需要、物流問題が主な要因。今後も中長期的に価格は上昇が見込まれ、施工効率化や補助金政策が価格安定の鍵となる。
小売物価統計
修繕材料小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 山形 | 福島 | 奈良 | 青森 | 東京都区部 | 新潟 | 岡山 | 和歌山 | 秋田 | 静岡 |
最新値[円] | 1971 | 2497 | 2453 | 2288 | 2228 | 2183 | 2180 | 2178 | 2178 | 2162 | 2080 |
前年同月比[%] | +0.141 | +22.46 | +34.12 | +10.32 | +10.14 | +8.197 | +17.86 | +4.545 |
修繕材料小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福岡 | 宇都宮 | 宮崎 | 大分 | 鹿児島 | 佐賀 | 前橋 | 広島 | 高松 | 山口 |
最新値[円] | 1971 | 1518 | 1533 | 1580 | 1659 | 1670 | 1679 | 1714 | 1717 | 1738 | 1753 |
前年同月比[%] | +0.141 | -15.91 | -41.04 | -20.96 | -5.596 | +9.033 | -24.41 |
修繕材料の推移


詳細なデータとグラフ
修繕材料のシステム現状と今後
「修繕材料」とは、住宅や建築物の老朽化した部分を修理・補修するために使用される建築資材全般を指します。具体的には、壁材、床材、屋根材、パネル、補修用板材などが含まれ、住宅リフォームやマンションの共用部の修繕、公共施設の維持に至るまで広く使用されます。日本では高齢化とともに住宅のリフォーム需要が年々高まり、それに応じて修繕材料の市場規模も着実に拡大しています。
全国平均価格の推移と最新の価格状況
2025年4月現在、修繕材料1枚あたりの全国平均小売価格は1995円。2017年1月からの8年間で、価格は着実に上昇傾向を示しており、特にこの1年間では前年比+5.434%の値上がりが見られます。
この上昇の背景には、以下の要因が挙げられます:
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建築資材の原料価格の上昇(木材、石油化学製品、金属板など)
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工場稼働コストの増加(電気代・人件費)
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修繕需要の増加(老朽住宅、災害後の補修需要)
地域別の価格差とその要因
価格を地域別に見ると、東京都区部(2183円)、新潟(2180円)、岡山(2178円)が最も高く、平均より約200円程度高い水準にあります。これには以下の要因が考えられます:
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都市部特有の施工基準の厳格化(耐火・耐震材使用)
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物流コストの上昇(狭隘地域では配送効率が悪化)
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地域特有の気候事情(豪雪地域では高耐久仕様が必要)
1方、最も価格が安いのは福岡(1518円)、広島(1717円)などで、特に福岡では平均より500円近く安価です。地場産業の強さや、地域密着型施工業者による価格競争の存在、簡素な構造の住宅が多いことが影響していると見られます。
価格上昇率に見る需給バランスの変化
2024年4月から2025年4月にかけての前年比で最も価格が上昇したのはさいたま(+16.55%)、次いで神戸(+11.9%)、東京都区部(+10.14%)となっています。
このような急激な上昇は、以下のような地域事情が背景にある可能性があります:
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災害や地震被害による修繕需要の急増
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都市開発に伴う建材需要の集中
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大規模マンション修繕周期の到来
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職人不足による施工費の価格転嫁
逆に、上昇率が小さい地域(例:千葉+1.667%)もあり、ここでは流通経路が安定している、競争が激しい、既に高値圏にあったなどの理由が考えられます。
修繕材料価格を取り巻く課題と構造的問題
価格上昇には1時的な要因に加えて、より深刻な構造的課題が影響しています。
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供給側の人手不足:特に職人の高齢化と若年層の定着難により、工事費が上昇傾向
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原材料の海外依存:ウッドショックや金属原料の国際価格の変動がダイレクトに影響
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運送業の2024年問題:ドライバー不足による配送コストの急上昇
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SDGs対応コスト:環境対応素材の導入やリサイクル義務による製造コストの増加
これらが重なり、単純な需要増加だけではない複合的な価格圧力が生じているといえます。
今後の価格推移の展望と期待
今後の修繕材料価格は、以下の点から判断すると中長期的に上昇基調が続く可能性が高いと考えられます:
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脱炭素化に伴う製造コスト増
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需要の安定化(特に地方での老朽住宅改修)
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AI・ロボット導入による施工効率化が進めば、施工費抑制の可能性もあり
1方で、地域によっては価格が天井に達しており、低価格帯の材料やリサイクル材を活用した価格調整の動きも出てくると考えられます。また、自治体によるリフォーム助成金制度の拡充によって実質価格負担が抑えられる方向性も期待されます。
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