関東地方のプロパンガス代は地域差が大きく、最も高い小山市は全国平均の135%、最も安い浦安市は77.52%と差があります。2010年から2025年にかけて、輸入価格や都市ガス普及の影響で、LPガス代は上昇傾向。今後は料金の透明化や再生可能エネルギー導入、業界再編によって、価格是正が期待されます。
小売物価統計
1カ月のプロパンガス代の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 小山 | 千葉 | 水戸 | 熊谷 | 日立 | 府中 | さいたま | 前橋 | 横浜 | 宇都宮 |
最新値[円] | 8449 | 11400 | 9423 | 9159 | 9145 | 8904 | 8800 | 8755 | 8657 | 8577 | 8393 |
平均比[%] | 100 | 135 | 111.5 | 108.4 | 108.2 | 105.4 | 104.2 | 103.6 | 102.5 | 101.5 | 99.34 |
前年月同比[%] | 11.72 | 19.38 | 1.981 | 0.77 | 52.42 | 2.96 | 0 | 11.13 | 2.595 | 6.164 | 12.04 |
1カ月のプロパンガス代の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 浦安 | 八王子 | 立川 | 所沢 | 東京都区部 | 相模原 | 川口 | 川崎 | 宇都宮 | 横浜 |
最新値[円] | 8449 | 6550 | 7247 | 7393 | 7682 | 7833 | 7897 | 8088 | 8177 | 8393 | 8577 |
平均比[%] | 100 | 77.52 | 85.77 | 87.5 | 90.92 | 92.71 | 93.47 | 95.73 | 96.78 | 99.34 | 101.5 |
前年月同比[%] | 11.72 | 25.24 | 17.89 | 11.01 | 1.951 | 13.24 | 8.669 | 30.83 | 8.176 | 12.04 | 6.164 |
これまでのプロパンガス代の推移


詳細なデータとグラフ
プロパンガス代の現状と今後
2025年3月時点における全国平均の1カ月あたりのプロパンガス代は8,449円ですが、関東地方では地域によって大きな差が見られます。最も高額な小山市では11,400円と全国平均の135%、最も安価な浦安市では6,550円で平均の77.52%と、およそ月4,800円の差があります。
地域 | 金額 | 全国平均比 |
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小山 | 11,400円 | 135.0% |
千葉 | 9,423円 | 111.5% |
水戸 | 9,159円 | 108.4% |
熊谷 | 9,145円 | 108.2% |
宇都宮 | 8,393円 | 99.34% |
川崎 | 8,177円 | 96.78% |
川口 | 8,088円 | 95.73% |
東京都区部 | 7,833円 | 92.71% |
所沢 | 7,682円 | 90.92% |
立川 | 7,393円 | 87.5% |
八王子 | 7,247円 | 85.77% |
浦安 | 6,550円 | 77.52% |
これまでのプロパンガス代の動向(2010年~2025年)
上昇傾向とその背景
2010年代以降、プロパンガス代は全体的に緩やかな上昇傾向にあります。その主な要因は以下の通りです。
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輸入価格の上昇:プロパンガスは多くを中東やアメリカなどから輸入しており、為替変動や国際情勢が価格に直結します。
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小売事業者の自由価格制:都市ガスと異なり、LPガスは自由価格制のため、販売店によって料金に差が出やすい。
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インフラ格差:都市部でも都市ガスが普及していないエリアでは、選択肢が少なく価格競争が起きにくい。
関東内における価格差の原因
関東地方の中でプロパンガス代に大きな地域差が出ている理由は、以下の点が挙げられます。
① 都市ガスエリアの影響
都市ガスが広く普及している東京都区部・浦安・川崎・川口などでは、LPガスの需要が限られ、価格競争が起きやすくなっています。一方、栃木・群馬・茨城などの北関東では、都市ガス未整備エリアが多く、プロパンガス依存度が高いため価格が上がりやすい傾向にあります。
② 代理店構造と料金の不透明性
LPガスは地域の販売店が中継しており、代理店のマージンやサービス料が加算される場合があります。料金が世帯ごとに異なるケースも多く、「料金の見える化」が進んでいないという課題があります。
地域住民への影響と課題
家計への負担
月額で2,000円〜5,000円の差があると、年間では24,000円〜60,000円の出費増になります。特に所得の少ない世帯や高齢者世帯にとって、暖房や給湯に多く使う冬季は深刻な負担となり得ます。
生活の質と選択肢の問題
LPガスしか選べない地域では、ガス会社を自由に選べなかったり、契約変更に高額な解約料がかかるといったケースも見られます。こうした不自由さが長期的な不満や不公平感につながっています。
今後のプロパンガス代の推移と期待
① 政府・自治体の規制強化と「見える化」推進
経済産業省は2020年代から「料金の透明化」に向けた指導を強化しており、料金比較サイトの充実や「標準契約書」作成の推進などが進んでいます。今後、価格競争が生まれ、高止まりの地域での是正が期待されます。
② 再生可能エネルギーとの併用
太陽光発電・エコキュートなどの導入が進めば、LPガス使用量自体の削減が可能になり、ガス代負担の軽減につながります。補助金や税制優遇を通じて、低所得世帯への支援が重要です。
③ 地方のガス事業統合・再編
地方でバラバラに存在する小規模なガス販売業者の再編・統合が進めば効率化が可能となり、価格の安定やサービス改善が期待されます。
まとめ
関東地方におけるプロパンガス代は、都市ガスインフラの有無や価格の不透明性により、地域ごとに大きな差があります。平均以上の負担を強いられる世帯への配慮が急務であり、今後は料金の見える化、再エネとの併用、業界再編による価格是正が鍵を握ります。エネルギーの地域格差を是正することで、より公平で持続可能な暮らしが実現されることが期待されます。
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