中国・四国の電気料金の動向と将来展望|地域差と課題を徹底解説

家賃・公共料金



中国・四国地域の2025年4月の電気料金は平均1.315万円で、前年同月比+1.87%と比較的緩やかな上昇となっています。高知・高松など四国エリアがやや高めで、中国地方の主要都市は1.304万円と横並びです。電源構成や人口動態、省エネの進展、インフラ維持費用の地域差が価格差の背景にあります。今後も再生可能エネルギー政策や燃料費変動が影響する中で、安定供給と料金抑制の両立が課題となります。

小売物価統計

電気料金の高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 高知 高松 松山 徳島 今治 鳥取 福山 松江 広島 岡山
最新値[万円] 1.315 1.332 1.332 1.332 1.332 1.332 1.304 1.304 1.304 1.304 1.304
前年同月比[%] +1.87 +1.765 +1.765 +1.765 +1.765 +1.765 +1.947 +1.947 +1.947 +1.947 +1.947

電気料金の安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 宇部 山口 岡山 広島 松江 福山 鳥取 今治 徳島 松山
最新値[万円] 1.315 1.304 1.304 1.304 1.304 1.304 1.304 1.304 1.332 1.332 1.332
前年同月比[%] +1.87 +1.947 +1.947 +1.947 +1.947 +1.947 +1.947 +1.947 +1.765 +1.765 +1.765

 

中国・四国の推移

中国・四国の電気料金
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

中国・四国の電気料金現状と今後

2025年4月時点での中国・4国地方の1か月あたりの平均電気料金は1.315万円と、近畿や中部に比べてやや高い水準にあります。ただし、前年比の上昇幅は+1.87%と緩やかで、全国平均と比べれば穏やかな推移となっています。

4国電力、中国電力という2つの電力会社が供給を担っており、それぞれのエリア内でも都市間での料金差は非常に小さいものの、4国地域(高知・高松・松山・徳島・今治)がやや高めで、中国地域(鳥取・福山・松江・広島・岡山・宇部・山口)は1律で少し安価です。


2015年から2025年までの推移と背景

電力自由化前後(2015〜2016年)

電力の自由化が全国で進んだ2016年以降も、地方部では新規3入事業者の数が限られており、料金体系に大きな変動はありませんでした。既存の4国電力・中国電力による独占的供給が中心であり、安定性は保たれていましたが価格競争には乏しい状況でした。

燃料価格高騰と再エネ導入(2017〜2022年)

原油や天然ガスの価格上昇、新たな再生可能エネルギーへの転換に伴い、全国的に料金上昇圧力が強まりました。特に2022年以降のウクライナ危機は、火力発電依存の4国・中国両エリアにもコスト増を直接的に波及させました。

直近の緩やかな上昇(2023〜2025年)

再エネの導入が1部で進み、需要もコロナ禍明けで安定化したことにより、2025年にかけては上昇率が抑制されています。前年比+1.87%は、近畿の+4.921%と比べると抑制的です。


地域別に見る料金差とその背景

4国エリア(高知・高松・松山・徳島・今治:1.332万円)

このエリアは中国・4国の中で最も高く、電力供給のインフラがやや分散していること、火力発電所への依存度が高いことが影響しています。また、再エネ導入率は進んでいるものの、需給の不安定さから高めの単価設定となりやすい傾向があります。

中国エリア(鳥取・福山・松江・広島・岡山・山口・宇部:1.304万円)

こちらはほぼ1律であり、4国よりも0.028万円(約280円)安い設定です。広島や岡山など比較的産業の集積がある地域では、電力需給が安定しており、大口需要がある分単価が抑えられていると考えられます。


地域特性と課題

再エネ依存のバランス

4国では太陽光発電・風力発電が積極的に導入されていますが、出力の安定性に課題があり、火力発電の補完が必要な状況です。1方中国地方では、大規模な水力発電設備が1部存在しており、ベースロード電源としての役割を果たしています。

インフラ維持と人口減少

特に山間部や離島を多く抱える4国では、送配電網の維持にかかるコストが都市部よりも高く、1世帯あたりの電気料金が結果的に高くなりやすい構造です。また、人口減少と過疎化も需給バランスを不安定にし、料金への影響を与えています。


今後の価格動向と期待

短期的見通し(2025年内)

4国・中国ともに価格安定を維持する可能性が高いと予想されます。大幅な燃料価格の変動がなければ、現在の1.3万円台前半の水準を維持する見通しです。

中長期的展望(2026年以降)

  • 再エネの比率向上が続けば、1部コスト低下が期待されますが、蓄電池や送電網の整備などの初期投資が料金に転嫁される恐れもあります。

  • 地方自治体との連携や、地域マイクログリッドの導入などにより、地域単位でのエネルギー自給率向上が進めば、料金の自律的な抑制につながる可能性もあります。


消費者ができる対策と選択肢

  1. 契約プランの見直し 大手電力会社だけでなく、地域電力やPPA(電力購入契約)を活用した新興事業者の選択肢も出てきています。

  2. 家庭内の省エネ意識 エアコンの適切な使用や節電家電の導入など、各家庭での努力が料金負担の軽減に直結します。

  3. 自治体補助の活用 太陽光発電設備・蓄電池の導入に対する補助制度が拡充されつつあり、地方での導入ハードルが下がっています。


おわりに

中国・4国地方の電気料金は、地域内の価格差が小さい1方で、インフラ維持や再エネ導入の段階によって将来の価格には変動要因が潜んでいます。今後も燃料費・気候・人口動態といった要因を丁寧に分析しつつ、政策と市場の両面から持続可能な料金体系を築いていくことが求められます。消費者自身も、柔軟な選択と省エネ意識の醸成が重要となるでしょう。

 

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