中国・四国地方イチゴ市場の価格動向と地域別特徴、今後の展望解説

中国・四国地方のイチゴ価格は徳島市で特に高値を示し、地域差が大きい。価格変動は需給バランスや気候条件、流通インフラに影響されている。今後はブランド強化や物流改善、栽培技術向上で市場の安定と地域間価格格差の縮小が期待される。

2025年4月の最新価格を見ると、徳島市が3434円/kgと圧倒的に高く、続いて高知市2835円/kg、岡山市2636円/kg、福山市2514円/kg、鳥取市2473円/kgなどが続く。地域によって価格の幅が大きく、特に呉市（1391円/kg）や下関市（1316円/kg）は他地域に比べてかなり低い価格帯にある。

価格変動の傾向と最近の動き

前月比で見ると、徳島市（-6.23%）、高知市（-10.96%）、岡山市（-5.82%）などで価格がやや下落している。一方、福山市（+6.08%）、鳥取市（+9.38%）、呉市（+7.25%）は上昇している。前年同月比もほぼ同様の動きで、地域ごとに価格変動のばらつきが大きいことが特徴。

地域別の価格特色と背景

• 徳島市・高知市：徳島市の価格が非常に高いのは、希少価値の高い品種の栽培や高品質路線によるブランド戦略が影響。高知市もそれに続くが、やや価格の変動が大きい。

• 岡山市・福山市・鳥取市・松山市・松江市・宇部市：これらの都市は中間価格帯で安定傾向にあるが、宇部市は前月で大幅減少（-17%）と不安定な動きが見られる。

• 呉市・下関市：価格が低い理由としては、地理的条件や流通インフラの違い、農業規模の小ささが影響し、需要も比較的限定的であることが挙げられる。

中国・四国地方のイチゴ市場の課題と最近の問題

• 需給の不均衡と価格の地域格差：地域間の価格差が大きく、特に徳島市と下関市の差は2倍以上。これが市場全体の調整を難しくしている。

• 気候や自然災害の影響：暖冬や局地的な豪雨など気象条件の変動が生産に影響しやすい。特に山間部の産地では品質にムラが出やすい。

• 流通コストと販路の課題：地方都市や山陰側の都市では物流が複雑でコストがかかり、価格低迷の一因となっている。

• 生産者の高齢化と後継者不足：特に地方では農業人口の減少が進み、生産量維持が難しくなっている。

今後の価格推移の展望と期待

• 徳島市のような高価格地域はブランド力強化や観光連携でさらに付加価値を高め、価格維持・上昇が期待される。

• 一方、物流改善や共同出荷体制の構築により、低価格地域の価格底上げや安定化も可能。

• 栽培技術の革新や新たな品種投入が品質向上を促し、消費者の関心を引き続き高める見込み。

• 地域間連携や農業支援政策の強化による後継者問題の解決も重要課題。

まとめ

中国・四国地方のイチゴ価格は徳島市を中心に高価格帯が形成されているが、地域格差が顕著。価格の地域差は生産環境や流通事情、消費者ニーズの違いに起因し、今後はブランド強化と物流改善が市場安定の鍵となる。