日本の企業規模別の給料は、1000人以上の大企業で43.83万円、5~29人の小企業で23.82万円と約20万円の開きがある。中小企業では賃上げ余力が乏しく、非正規や女性の集中により格差が固定化。今後は最低賃金や政策支援がカギ。
男女別の給料の推移
最近の給料データ
合計 | 1000人以上(合計) | 500-999人(合計) | 100-499人(合計) | 30-99人(合計) | 5-29人(合計) | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最大期 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2018年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 |
最新値[万円] | 29.25 | 43.83 | 36.97 | 32.78 | 28.53 | 23.82 |
最大値[万円] | 61.74 | 113.2 | 85.38 | 75.21 | 59.81 | 42.49 |
前年同月比[%] | 1.706 | 2.851 | 1.143 | 0.173 | 3.527 | 1.21 |
企業規模別の給料の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
日本における給与水準は、単に職種や経験だけでなく「企業規模」に大きく左右される傾向があります。2025年1月時点の最新統計では、1000人以上の大企業で平均43.83万円に達する一方、5~29人規模の小企業では23.82万円にとどまります。本稿では、企業規模別の給与動向とその背景を丁寧に分析します。
企業規模別の最新給与と伸び率の比較
企業規模 | 平均月給 | 前年同月比 |
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1000人以上 | 43.83万円 | +2.851% |
500~999人 | 36.97万円 | +1.143% |
100~499人 | 32.78万円 | +0.173% |
30~99人 | 28.53万円 | +3.527% |
5~29人 | 23.82万円 | +1.21% |
全体(5人以上) | 29.25万円 | +1.706% |
大企業ほど給与水準が高く、成長率も安定していますが、中小企業では人手不足や賃上げ余力の乏しさが影響し、成長率や水準ともに劣後しています。
企業規模と給与格差の背景
大企業における特徴:
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労働組合の存在
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正社員比率が高い
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福利厚生や人事制度が整備されている
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長期雇用慣行が継続
中小企業における特徴:
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正規・非正規の混在が顕著
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利益率が低く、賃上げ余力が少ない
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地域経済に依存している傾向
このため、同じ職種・年齢でも企業規模が異なれば月給が10万円以上差がつくことも珍しくありません。
男女別の給与格差と企業規模との関連
一般に、女性は中小企業に多く分布しやすく、また非正規雇用比率も高いため、企業規模別の給料格差は男女格差にも直結します。
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大企業では育児支援や管理職登用が進みつつあるが、依然として女性管理職の割合は低水準
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中小企業では育休取得や時短勤務の制度整備が進んでおらず、賃金上昇機会も限定的
雇用形態別の問題と企業規模の影響
企業規模が小さいほど非正規労働者(パート・契約社員)の割合が高くなる傾向があります。非正規雇用では、賞与や昇給の機会が少ないため、全体の給与水準を引き下げています。
また、小規模企業では人事評価制度の整備が遅れており、成果やスキルが給与に反映されにくい問題もあります。
最近の傾向と注目点
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30~99人規模の中堅企業が+3.5%と大幅上昇しており、最低賃金の上昇や人材確保競争の影響が見えます。
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一方で、100~499人の層では前年とほぼ横ばい(+0.173%)と、賃上げ余力の限界がうかがえます。
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インフレによる実質賃金の目減りがすべての企業規模で共通の課題になりつつあります。
今後の見通しと期待される動き
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政府が掲げる「構造的賃上げ」により、大企業のみならず中小企業にも賃上げ圧力が波及する可能性が高い。
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業界横断的な最低賃金の上昇が、下位企業層のベースアップを促進するかが鍵。
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DX(デジタル化)や生産性向上投資を実現できるかどうかが、中小企業の賃金上昇の持続性を左右します。
まとめ
企業規模による給与格差は依然として大きく、大企業と小企業では20万円の差があるケースも存在します。女性や非正規労働者が小企業に多く集中していることが格差の構造を固定化しており、制度面・支援政策の充実が不可欠です。
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