2025年6月の近畿地方における果実計の市場価格は、大阪市で514.3円/kgと高めを維持する一方、神戸・京都では低下傾向。数量では京都市が急増し、神戸市は大幅減。価格動向には地場流通の増減、気候の影響、高級果実の割合などが影響しており、今後は地域産地の持続可能な供給体制が重要となる。
果実計の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 514.3 | -2.219 |
2 | 神戸市 | 486 | -1.018 |
3 | 京都市 | 413.7 | -16.04 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 14.22 | -0.413 |
2 | 京都市 | 3.633 | +31.44 |
3 | 神戸市 | 1.089 | -30.55 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
果実計の卸売り市場の現状と今後
2025年6月現在、近畿地方の主要都市における果実計の市場価格は以下の通りです:
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大阪市:514.3円/kg(前年同月比 -2.219%)
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神戸市:486円/kg(前年同月比 -1.018%)
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京都市:413.7円/kg(前年同月比 -16.04%)
大阪市は全国平均(521.7円/kg)に近い価格水準で安定していますが、他都市は明確に下回っており、特に京都市は大幅な下落が顕著です。この価格低下の要因としては、地場産果実の出荷増や、比較的廉価な果物の流通量増加が考えられます。また、大阪市の価格が比較的高水準で維持されているのは、広域から高級果実も集まるためです。
卸売数量の動向と比較
卸売数量を見ると、次のような傾向があります:
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大阪市:14.22kt(前年同月比 -0.413%)
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京都市:3.633kt(前年同月比 +31.44%)
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神戸市:1.089kt(前年同月比 -30.55%)
大阪市は近畿圏最大の流通量を誇り、数量は全国でも上位に位置しています。1方、京都市は前年比で+31.44%と大幅な増加を見せており、これは地元産品の出荷が増えた、あるいは1時的な集荷強化が行われた結果と推察されます。神戸市は物流拠点としての機能がやや低下している可能性があり、大きな減少となっています。
都市別の市場構造と消費特性
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大阪市 西日本の物流・商業の中心として、全国から多種多様な果物が集まる1大市場。業務用・高級品・贈答品需要も多く、平均価格は比較的高め。流通量が多く、価格は需給バランスに左右されにくい安定市場でもあります。
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神戸市 港湾都市として輸入果実の流通が過去には多かったが、現在はやや縮小傾向。周辺都市との競争も激しく、数量減少が顕著。小規模ながら地元消費に特化した市場へと性格が変わりつつあります。
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京都市 観光需要や伝統的な食文化が根強く、高品質果実の需要がある1方、近年は量販向けの低価格果実が増えている可能性があり、市場価格の平均が下落。1方で卸売数量は急増しており、再活性化の兆しも感じられます。
価格変動の背景と要因
近畿地方の果実計価格は都市によって異なる要因が絡んでいます:
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産地直送と市場外流通の増加 都市近郊の果樹産地(和歌山、奈良、滋賀など)では、直販・通販を通じた販売が進み、市場経由の品が減少している。
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高級果実と1般品の2極化 大阪では高級果実も多く流通し価格が上がる1方、京都・神戸では価格が比較的抑えられた果実が中心となり、単価が下がる傾向。
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気候と生産量の不安定化 2025年初夏にかけての気候の変動(梅雨の長期化や異常高温)が収穫量と品質に影響し、価格にも波及。
果実生産の地域性と今後の展望
近畿地方は、和歌山県の「みかん」や「うめ」、奈良県の「いちご」や「柿」、京都府の「ぶどう」など果実生産が盛んな地域を抱えています。これらの果実は都市部への供給源として重要な役割を担ってきましたが、以下の課題にも直面しています:
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高齢化による供給減少
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異常気象への対応力不足
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市場依存からの転換による流通量の変化
今後は、都市部市場の流通量維持のために、農業の法人化、観光農園との連携、加工用果実の需要開拓など多面的な施策が必要になるでしょう。
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