2025年6月時点のピーマン市場では、札幌市や仙台市などで価格が上昇し、全国平均は507.7円/kgに達した。高松市や広島市など中小都市でも上昇率が顕著で、供給量減少が価格高騰の一因と考えられる。東京都や大阪市など大都市圏では卸売数量が減少傾向で需給のバランスが崩れており、消費地主導の価格変動が浮き彫りとなっている。地域別の特性や生産背景にも注目が必要である。
ピーマンの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 507.7 | 100 | +15.91 | |
1 | 札幌市 | 612.3 | 120.6 | +8.44 |
2 | 仙台市 | 557.3 | 109.8 | +8.641 |
3 | 横浜市 | 551.3 | 108.6 | +11.16 |
4 | 東京都 | 544.3 | 107.2 | +16.89 |
5 | 高松市 | 539.3 | 106.2 | +23.61 |
6 | 広島市 | 527.7 | 103.9 | +26.34 |
7 | 名古屋市 | 521 | 102.6 | +20.14 |
8 | 金沢市 | 506.3 | 99.74 | +14.21 |
9 | 京都市 | 470.7 | 92.71 | +16.5 |
10 | 大阪市 | 469.7 | 92.51 | +21.78 |
11 | 福岡市 | 446 | 87.85 | +15.05 |
12 | 神戸市 | 433.3 | 85.36 | +12.36 |
13 | 北九州市 | 392.3 | 77.28 | +9.488 |
14 | 沖縄県 | 284 | 55.94 | +3.397 |
市場価格の推移

全国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 5.23 | 100 | -16.98 | |
1 | 東京都 | 1.941 | 37.11 | -23.01 |
2 | 大阪市 | 0.598 | 11.43 | -14.2 |
3 | 名古屋市 | 0.487 | 9.312 | -20.03 |
4 | 福岡市 | 0.414 | 7.916 | -10.2 |
5 | 横浜市 | 0.352 | 6.73 | -1.124 |
6 | 京都市 | 0.348 | 6.654 | -28.25 |
7 | 北九州市 | 0.212 | 4.054 | +19.77 |
8 | 札幌市 | 0.204 | 3.901 | -7.692 |
9 | 神戸市 | 0.171 | 3.27 | -20.09 |
10 | 仙台市 | 0.131 | 2.505 | +7.377 |
11 | 沖縄県 | 0.121 | 2.314 | +3.419 |
12 | 広島市 | 0.119 | 2.275 | -31.21 |
13 | 高松市 | 0.067 | 1.281 | -6.944 |
14 | 金沢市 | 0.067 | 1.281 | -12.99 |
卸売数量の推移

カテゴリー
詳細なデータとグラフ
ピーマンの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点での全国主要市場のピーマン価格は平均507.7円/kgと、近年の水準から見て高値圏に位置しています。特に価格の高い都市は、札幌市(612.3円/kg)を筆頭に、仙台市、横浜市、東京都が続いています。いずれの都市も前年同月と比べて8~26%程度の価格上昇を示しており、供給制約や輸送コスト上昇など複合的な要因が影響していると見られます。
都市別の価格傾向と特徴
札幌市では北海道内需要に加え、流通コストの高さが価格を押し上げていると推察されます。仙台市・横浜市・東京都は大都市圏の旺盛な消費需要を反映し、価格も高水準で安定しています。1方、高松市(+23.61%)や広島市(+26.34%)のような地方中核都市では価格の上昇率が特に高く、これは供給減少や近隣産地の不作によるものと考えられます。
卸売数量の動向と地域特性
卸売数量で最も多いのは東京都(1.941kt)、大阪市(0.598kt)、名古屋市(0.487kt)で、いずれも大消費地です。しかし、これら都市では前年同月比で10~28%の数量減が見られ、供給不安が価格を押し上げる要因となっています。
1方、北9州市(+19.77%)や仙台市(+7.377%)では数量が増加しており、1部の地域では安定供給の工夫や、近隣農家との強固な取引関係が維持されていると考えられます。札幌市でも数量は減少(-7.692%)しながらも全国平均よりは下げ幅が小さく、北海道内生産の底堅さがうかがえます。
価格高騰の背景にある要因
ピーマン価格の上昇要因は以下の通りです:
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天候不順や高温障害:ピーマンは高温多湿に弱く、2025年春から初夏にかけての異常気象が生育に影響。
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生産農家の減少と高齢化:特に中山間地域では作付け面積が減少しており、供給減につながっています。
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物流コストの上昇:燃料費や人手不足により、流通経費が増加。特に遠方への輸送が価格に影響。
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輸入品の影響の限定化:ピーマンは国内産の比率が高いため、国内要因による価格変動が大きい。
ピーマンの生産・流通の今後
国内では宮崎県、茨城県、鹿児島県などが主要な産地ですが、生産者の高齢化や気象リスクによって安定供給が課題となっています。近年は施設園芸やスマート農業の導入によって1部の地域では安定供給体制が確立されつつあります。
また、大都市圏では地場野菜や契約栽培を通じた「近距離流通」が重視されており、今後は需給バランスに応じた柔軟な価格形成がより求められます。
まとめと展望
2025年6月時点のデータからは、ピーマン価格の全国的な高騰と、卸売数量の減少傾向が明らかになっています。特に中堅都市における価格上昇は、供給不安やコスト上昇の影響を強く反映しており、消費地主導型の価格形成がより顕著になっています。今後の対策としては、安定供給に向けた産地支援や、気象対応型の栽培技術の普及が急務といえるでしょう。
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