北海道・東北のなす市場は2025年6月時点で札幌市が431円/kg、仙台市が348.7円/kgと価格上昇が続いている一方、卸売数量は両市で減少傾向にあります。気候変動や資材高騰、労働力不足が価格高騰の主因であり、生産規模縮小も見られます。今後は技術導入と人材育成が課題です。
なすの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
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1 | 札幌市 | 431 | +16.59 |
2 | 仙台市 | 348.7 | +12.72 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 仙台市 | 0.259 | -21.04 |
2 | 札幌市 | 0.242 | -4.348 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
なすの卸売り市場の現状と今後
2025年6月の北海道・東北地区におけるなすの市場価格は、札幌市が431円/kgで地域内で最も高く、前年同月比で+16.59%の大幅な上昇を示しています。1方、仙台市の価格は348.7円/kgで、こちらも前年同月比+12.72%と上昇傾向にあります。卸売数量では仙台市が0.259kt、札幌市が0.242ktと数量的には仙台がやや上回るものの、両都市とも前年同月からの数量は減少しており、それぞれ-21.04%、-4.348%の減少が見られます。
価格・数量の推移と市場動向
ここ数年、北海道・東北地区のなす市場は価格上昇と数量減少のトレンドが顕著です。
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価格上昇は気候変動の影響による生育遅延や資材費高騰、さらに労働力不足による生産コスト増加が主因。
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数量減少は農地面積の縮小や生産者の高齢化、また若年層の就農離れが大きく影響しています。
特に仙台市では数量減少が顕著で、21%超の減少が供給減少を招き価格を押し上げています。
札幌市と仙台市の市場特性
札幌市
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北海道内最大の市場であり、輸送コストが高く価格に反映されやすい。
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ハウス栽培が多く、気温変動の影響を受けやすい1方、近年の気象異常で生育が不安定に。
仙台市
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東北地方の主要消費地であり、近隣産地からの出荷が中心。
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農地の高齢化と後継者不足が顕著で、数量減少に拍車をかけている。
両市ともに価格上昇は地域特性と生産環境の厳しさを反映しています。
価格高騰の背景と要因分析
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気象条件の変動:低温・日照不足により収穫時期の遅延や収量減が発生。
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農業資材費の上昇:肥料・農薬・燃料価格の高騰がコストアップに直結。
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労働力不足・高齢化:人手不足が生産規模縮小を招き供給減少。
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流通コストの増加:北海道から本州への輸送費増加も価格を押し上げる要因。
これらが複合的に作用し、需給の逼迫が価格高騰を促しています。
なす生産の現状と今後の課題
北海道・東北地方では、夏秋なすの栽培が主であり、ハウス栽培も盛んです。しかしながら、
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農業従事者の減少、
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作付面積の縮小、
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異常気象への対応遅れ、
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生産効率化の遅れ
が大きな課題。今後はICT技術導入やスマート農業推進、若手就農者育成が急務となっています。
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