2025年6月の関東のきゅうり市場は、横浜市342.7円/kg、東京都331.3円/kgと高値圏にあり、前年比で40~50%超の上昇を記録。一方で数量は減少し、東京都では-10.7%、横浜市は-5.579%。要因には天候不順や生産者減少、資材高騰があり、今後の安定供給には構造的な改革が必要とされる。
きゅうりの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 横浜市 | 342.7 | +41.79 |
2 | 東京都 | 331.3 | +48.13 |
市場価格の推移

関東の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 東京都 | 5.125 | -10.7 |
2 | 横浜市 | 1.117 | -5.579 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
きゅうりの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点において、関東地方の主要市場である横浜市では342.7円/kg、東京都では331.3円/kgと、全国平均(320円/kg)を上回る水準で推移しています。前年同月比で見ると、横浜市は+41.79%、東京都は+48.13%と、急激な価格上昇が起きており、異常ともいえる値動きです。
1方で、卸売数量は東京都が5.125kt、横浜市が1.117ktと圧倒的に東京都に集中しており、首都圏の流通量の大部分を東京都が担っている状況です。数量は東京都で-10.7%、横浜市で-5.579%と減少しており、供給量の減少と価格上昇が同時に進行しています。
過去からの価格と数量の推移
過去の推移をみると、関東地方のきゅうり価格は概ね夏季に下落し、冬季に高騰するという季節要因が反映されていました。近年は温暖化や栽培技術の進化で通年供給が拡大していましたが、2024年後半からの生産コスト増大と天候不順によって、2025年に入ってからは価格上昇基調が強まっています。
数量面では、東京都を中心とした消費地での流通量は安定していたものの、この半年で著しい減少が見られ、それが価格の押し上げ要因となっています。
都市別の特徴と流通構造
東京都
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国内最大級の青果市場である大田市場や豊洲市場を擁し、全国からの集荷が集中。
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品種・産地多様性が高く、価格にプレミアムがつきやすい。
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年々輸送コストが増加しているため、価格上昇時は他都市より大きく反映されやすい。
横浜市
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神奈川県内や近隣の静岡・千葉からの集荷が中心。
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地場流通と大都市への供給の中継拠点として、比較的高品質なものが流通。
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東京都に比べて取扱数量は少ないが、高価格帯の推移を保つことが多い。
価格高騰の要因
2025年6月における価格急騰には以下の複合的要因が関与しています。
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春先の長雨・冷害により、出荷開始が遅れ、流通量が絞られた。
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肥料・資材価格の高騰により、生産コストが増加。
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生産者の高齢化・離農進行により、出荷規模の縮小傾向。
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都市部の需要集中により、輸送費・労務費の上乗せが価格に反映。
特に東京都では大規模市場の需要を支えるために相対取引価格が上振れしやすいため、他都市よりも価格の上昇幅が大きくなる傾向にあります。
関東圏のきゅうり生産と今後の展望
関東地方では、茨城県・群馬県・栃木県などが主要なきゅうり産地として知られており、東京都や横浜市の市場に大量に供給されています。しかし、農業人口の減少や施設老朽化などにより、出荷量が緩やかに減少しているのが実情です。
今後は、以下のような対策が期待されます:
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スマート農業による省力化
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次世代農業者の育成支援
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高付加価値品種のブランド化
また、消費地市場では価格の平準化と安定供給の仕組み作りが求められており、自治体や農協、流通業者の連携が鍵となります。
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