近畿地方では神戸市の市場価格が82.33円/kgと高めだが、卸売数量は大幅減(-30.12%)。大阪市は最大の流通量を誇るが、価格・数量ともに下落傾向。京都市は価格下落幅が大きく、市場調整圧力が強い。地域の生産減少や物流変動が市場に影響している。
キャベツの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 神戸市 | 82.33 | -4.633 |
2 | 大阪市 | 78.33 | -6.746 |
3 | 京都市 | 76.67 | -10.16 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 3.93 | -17.83 |
2 | 京都市 | 1.28 | -18.37 |
3 | 神戸市 | 0.471 | -30.12 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
キャベツの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点で、近畿地方におけるキャベツの市場価格は、神戸市82.33円/kg、大阪市78.33円/kg、京都市76.67円/kgとなっています。全国平均(77.67円/kg)と比較すると、神戸市はやや高め、大阪市と京都市は平均的な水準です。
前年同月比では、神戸市-4.633%、大阪市-6.746%、京都市-10.16%と、すべての都市で価格は下落していますが、これは全国的な供給過多や需要減退の影響を反映したものと考えられます。特に京都市の下落幅が大きく、市場調整圧力が強かったことを示しています。
卸売数量の状況と変化
卸売数量では、大阪市が3.93ktと圧倒的に多く、京都市が1.28kt、神戸市は0.471ktと続きます。大阪市は全国的にも大規模市場に分類され、取扱量の多さが際立っています。
しかし、いずれの都市も前年同月比では大幅に減少しており、大阪市-17.83%、京都市-18.37%、神戸市-30.12%と、需給の逼迫または出荷量減少の影響が強く出ています。特に神戸市の数量減少は著しく、地元や近隣の供給力に何らかの課題が生じた可能性があります。
都市ごとの市場構造と特徴
●大阪市:
関西最大の消費都市であり、中央卸売市場本場を中心に、近畿・中部・9州からの広域集荷が可能です。物流の拠点でもあるため、価格競争力が強く、流通が効率的。価格も比較的安定していますが、近年は数量減少が続き、需給バランスがやや崩れつつあります。
●京都市:
京都市は観光需要の高いエリアであり、外食産業向けの需要も多い反面、取扱量自体は中規模にとどまります。価格下落幅が大きいのは、観光客減少や仕入れ控えが影響している可能性があります。
●神戸市:
神戸市の市場は規模が小さく、主に兵庫県内産や西日本からの供給に依存しています。数量の落ち込みが著しい点から、地元産地の出荷調整や輸送網の縮小が示唆されます。価格がやや高めであるのは、数量の少なさによる需給ギャップと見られます。
価格高騰・下落の背景と要因
近畿地方の価格変動要因には以下が挙げられます:
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供給量の減少:天候不順や作付面積の減少によって出荷量が落ち、特に神戸市の市場では強く影響。
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人手不足による収穫遅れ:農業従事者の高齢化や労働力不足が収穫に影響し、計画的な出荷が困難に。
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物流費の高騰:燃料価格の上昇やトラック不足によるコスト増が、特に小規模市場において価格上昇要因に。
キャベツ生産の地域的背景と今後の展望
近畿地方におけるキャベツの生産は、滋賀県、奈良県、兵庫県の1部地域で行われていますが、平野部での住宅開発や耕作放棄地の増加により、栽培面積は漸減傾向にあります。また、夏場の高温や異常気象も生育に影響を与えており、収量の不安定化が進んでいます。
今後は、流通の効率化とともに、契約栽培や広域リレー出荷の拡充などを通じた安定供給体制の構築が急務とされます。
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