【最新】さつまいもの10a当たり収量の県別動向と今後の展望

かんしょ・豆類

2023年のさつまいも10a当たり収量は全国で2240kg。茨城や千葉が高単収を維持し、特に干し芋用での収益性が背景にある。大分は前年から13%超の増加で注目される一方、宮崎や石川では減収。今後はスマート農業導入や病害虫対策、高収量品種の普及が重要となる。

10a当たり収量のランキング

2023年
降順昇順
都道府県最新値[kg]全国比[%]前年比[%]
全国2240100+1.818
1茨城2590115.6
2千葉2580115.2+4.878
3徳島2510112.1+1.21
4宮崎2290102.2-9.486
5大分2290102.2+13.37
6熊本2240100-3.863
7鹿児島220098.21+4.762
8高知193086.16-2.03
9佐賀193086.16+1.579
10石川192085.71-6.341
11北海道187083.48+4.469
12静岡186083.04+1.639
13群馬170075.89+19.72
14福岡169075.45+16.55
15栃木169075.45+23.36
16青森162072.32+58.82
17埼玉162072.32+5.195
18香川157070.09+3.974
19神奈川156069.64+4
20滋賀156069.64+1.961
21長野153068.3-13.56
22島根152067.86+8.571
23富山151067.41+12.69
24和歌山148066.07-3.896
25岡山147065.63-6.369
26東京145064.73-2.685
27新潟145064.73-2.027
28奈良145064.73-11.04
29大阪144064.29-2.703
30山形143063.84+14.4
31福井141062.95-6.623
32鳥取140062.5-4.11
33愛知140062.5+13.82
34岩手140062.5+26.13
35長崎139062.05-2.797
36秋田139062.05+31.13
37京都137061.16-12.18
38愛媛136060.71-8.725
39福島130058.04-16.13
40山梨128057.14+3.226
41兵庫126056.25-5.263
42沖縄125055.8-8.088
43山口125055.8-1.575
44宮城124055.36-8.148
45広島122054.46+14.02
46三重106047.32+35.72
47岐阜94041.96-9.615
10a当たり収量

収穫量作付面積10a当たり収量

詳細なデータとグラフ

10a当たり収量の現状と今後

2023年の日本全国におけるさつまいもの10a当たり収量(単収)は2240kgで、前年より+1.818%の増加を示しました。この単収の変動は、天候、栽培技術、品種、土壌条件、施肥・管理体制など複数の要因に起因します。都道府県ごとにその特徴は異なり、生産面積の多寡と収量の高さが必ずしも1致しないことも注目すべき点です。


茨城県:高単収の背景にある高度な干し芋向け生産

茨城県は2590kg(全国比115.6%)で最高値を記録し、前年からも+増加傾向を維持しています。干し芋生産を主軸とした収穫後の加工を前提に、甘味が高く、形質の安定した品種の選定が進んでいます。水はけの良い砂地土壌施肥設計の精密化農業法人の管理体制などが功を奏しており、今後もスマート農業やAIによる生育予測の活用がさらに収量向上を支えると予想されます。


千葉県:都市近郊で高単収を実現するブランド地帯

千葉県は2580kg(全国比115.2%)で全国2位、前年より+4.878%と大幅な伸びを見せました。首都圏近郊という立地を生かし、観光農園や直売など消費者との距離が近い経営形態が多い点も特徴です。高収量は、高糖度品種の選定精密農業技術の導入に加え、消費ニーズを反映した高品質生産に裏付けられています。都市農業のモデルとして収益性重視の経営が進んでおり、単収の維持・向上が今後も見込まれます。


徳島県:安定した高単収と地理的優位性

徳島県は2510kg(全国比112.1%)と全国平均を大きく上回る単収を維持。前年比でも+1.21%の増加で安定感があります。温暖な気候と、肥沃な平野部、そして早出し需要に応じた品種選定が収量向上に貢献。今後も早掘りやブランド化による高収益化が継続すれば、収量の維持・微増が期待されます。


宮崎県・大分県:対照的な動きが示す生産地の多様性

  • 宮崎県は2290kg(全国比102.2%)と平均以上を維持しつつも、前年比-9.486%と大幅減。これは天候不順や病害虫被害の影響が大きかった可能性があります。高温多湿の気候の中、作期の分散や防除対策の精緻化が今後の収量回復の鍵です。

  • 1方、大分県も2290kgで全国比102.2%ながら、+13.37%と全国最大の伸び率を記録。農地再編や新規3入による栽培管理の改善が背景にあると考えられ、今後の安定的な成長に期待がかかります。


熊本・鹿児島:大規模産地ゆえの収量維持の難しさ

  • 熊本県は2240kg(全国平均と同値)で、前年比-3.863%の減少。温暖な気候を活かした栽培が続く1方で、近年は高温障害や病害の影響が懸念されます。

  • 鹿児島県は2200kg(全国比98.21%)とやや低く、前年比+4.762%と回復傾向。全国最大の作付面積を持つ1方で、収穫時期の集中や天候によるリスク分散が難しく、単収の安定化には今後さらなる栽培技術の改善が必要です。


高知・佐賀・石川:中小規模ながら単収に地域特性

  • 高知県・佐賀県はともに1930kg(全国比86.16%)とやや低めの単収だが、佐賀は+1.579%増加高知は-2.03%減少と対照的。限られた面積での集約栽培が主体で、品種適正と販売戦略の工夫が求められます。

  • 石川県は1920kg(全国比85.71%、前年比-6.341%)と大きく落ち込みました。寒冷地のため栽培可能期間が限られ、今後は気象リスク軽減策収量安定化技術が鍵となります。


今後の予想と課題

今後、さつまいもの単収は次のような要因に左右されます:

  • スマート農業導入の進展:施肥・潅水管理の最適化で高単収化が加速。

  • 病害虫対策技術の普及:特に連作障害への対応が今後の焦点。

  • 高糖度・高収量品種の開発と導入:収益性と単収の両立を実現。

  • 栽培技術の地域最適化:地域ごとの気象条件・土壌に合わせた技術導入が重要。

  • 生産者の高齢化・労働力不足:法人化・共同経営による生産体制整備が不可欠。

特に茨城・千葉のような先進地が牽引する単収向上トレンドと、鹿児島のような大産地での単収の安定化の取り組みが、今後の全国的な収量水準の押し上げに影響を与えるでしょう。

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