2025年6月の全国たまねぎ市場価格は138円/kgで、金沢市などで高値。卸売数量は東京都が最多だが、札幌や横浜で大幅増。価格下落は過去の高騰の反動と生産回復が背景。北海道産の安定供給が鍵となり、今後は気候変動への対応が重要。
たまねぎの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 138 | 100 | -12.29 | |
1 | 金沢市 | 156.3 | 113.3 | -18.86 |
2 | 沖縄県 | 153 | 110.9 | -15.16 |
3 | 横浜市 | 150.3 | 108.9 | -10.52 |
4 | 札幌市 | 149.7 | 108.5 | -8.178 |
5 | 東京都 | 144 | 104.3 | -13.6 |
6 | 北九州市 | 143 | 103.6 | -18.44 |
7 | 神戸市 | 142.3 | 103.1 | -16.28 |
8 | 広島市 | 142.3 | 103.1 | -15.28 |
9 | 京都市 | 139.3 | 101 | -16.57 |
10 | 仙台市 | 139 | 100.7 | -2.797 |
11 | 大阪市 | 137 | 99.28 | -16.8 |
12 | 福岡市 | 127.7 | 92.51 | -7.034 |
13 | 高松市 | 126.7 | 91.79 | -14.6 |
14 | 名古屋市 | 122.3 | 88.64 | -7.557 |
市場価格の推移

全国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 25.41 | 100 | -4.574 | |
1 | 東京都 | 6.658 | 26.2 | -17.3 |
2 | 名古屋市 | 4.246 | 16.71 | -9.851 |
3 | 大阪市 | 3.515 | 13.83 | -15.48 |
4 | 福岡市 | 2.648 | 10.42 | +13.89 |
5 | 札幌市 | 2.028 | 7.981 | +51.34 |
6 | 横浜市 | 1.741 | 6.852 | +38.28 |
7 | 京都市 | 1.309 | 5.152 | -6.165 |
8 | 北九州市 | 0.836 | 3.29 | +13.28 |
9 | 神戸市 | 0.579 | 2.279 | +7.821 |
10 | 仙台市 | 0.575 | 2.263 | -25.71 |
11 | 広島市 | 0.382 | 1.503 | -12.98 |
12 | 高松市 | 0.37 | 1.456 | +2.21 |
13 | 金沢市 | 0.293 | 1.153 | +31.98 |
14 | 沖縄県 | 0.232 | 0.913 | -26.81 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
たまねぎの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点における全国主要市場のたまねぎ価格は138円/kgであり、前年同月比では-12.29%と大きく減少しています。この価格下落は、2024年に比べて供給量が1部都市で急増したことや、価格高騰期からの調整局面に入った可能性が背景にあります。
1方で、全国的な価格水準の中でも都市別に見ると差が顕著です。最も高いのは金沢市の156.3円/kgで、次いで沖縄県153円/kg、横浜市150.3円/kg、札幌市149.7円/kgと続きます。いずれも全国平均を大きく上回っています。
都市別価格の特徴と背景
高価格帯都市の特徴:
金沢市や沖縄県、札幌市などの高価格地域では、輸送コストの高さ、地元での流通量の制限、または地域独自の品種需要などが影響しています。沖縄では本土からの輸送に依存するため価格が高止まりしやすく、札幌は地元産が強いとはいえ、冬季の保存・流通にコストがかかる点が影響します。
中価格~低価格帯都市:
東京都(144円/kg)や北9州市(143円/kg)などの中価格帯は、比較的流通の効率が高い地域である1方、供給が1定水準にあるため、他都市より価格が抑えられています。
なお、仙台市(139円/kg)は価格下落率がわずか-2.797%と、他都市に比べ安定しており、需給バランスのとれた市場であることが推察されます。
卸売数量の都市別傾向と変化
たまねぎの卸売数量は、主要市場全体で25.41ktとされ、最も多いのは東京都(6.658kt)、次いで名古屋市(4.246kt)、大阪市(3.515kt)と続きます。これは3大都市圏の需要の高さを反映しています。
注目すべきは札幌市(2.028kt)や横浜市(1.741kt)で、前年同月比でそれぞれ+51.34%、+38.28%と大幅な増加を記録しています。札幌では2025年初頭の天候に恵まれ、地元生産が好調だったことが影響していると考えられます。また横浜では、近隣の流通圏(関東地方)からの仕入れ増が数量増に直結したと見られます。
逆に東京都(-17.3%)や大阪市(-15.48%)、仙台市(-25.71%)では大きな数量減が見られ、価格調整や需要減、輸送面での調整が生じた可能性があります。
たまねぎ価格高騰とその背景要因
たまねぎの価格は近年、大きな波が見られました。特に2022年から2023年にかけては、記録的な不作や台風被害、輸入コストの増加(円安影響)が重なり、価格が急騰しました。
しかし、2024年から2025年にかけての価格下落は、その反動に加え、全国的な生産の回復、輸入玉ねぎの流通増、物流の平準化などが作用した結果と考えられます。
また、地方自治体による農業振興策や、ICTを活用した作付管理が功を奏し、生産の安定化に寄与したことも価格を押し下げる要因となりました。
たまねぎ生産の全国動向と今後の見通し
日本のたまねぎ生産は、北海道、佐賀県、兵庫県淡路島などが主力です。特に北海道は全国生産量の約60%以上を占める重要地域であり、天候の影響を最も強く受ける地域でもあります。
2024年度は北海道の作況が比較的良好で、出荷時期も平年並みに推移したため、全国の流通が安定しました。1方、9州や近畿圏では夏場の高温や病害リスクが課題とされ、生産にバラつきが出やすい傾向です。
今後は、気候変動への適応や、作付けの平準化、物流最適化の取り組みが、たまねぎ市場の安定化に1層求められます。
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