世界のエンドウ豆生産動向:主要国の特徴と将来予測

ナッツ類

2023年の世界のエンドウ豆生産は13,760ktで約3%減少。ロシアは安定的に生産を維持し、アメリカやインド、ウクライナ、フランスで増産が見られる一方、カナダとドイツでは減産。今後は植物性タンパク質需要の拡大を背景に、生産国の再編や技術革新が進む見込み。

エンドウ豆の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[k]全体比[%]前年比[%]
世界13760100-2.987
1ロシア370726.93+2.511
2カナダ260918.95-23.79
3中国150010.9+1.221
4インド11348.242+12.94
5アメリカ820.45.961+16.56
6フランス485.23.525+21.32
7エチオピア405.52.946+3.604
8ウクライナ368.42.677+41.88
9オーストラリア313.82.28+20.17
10ドイツ265.91.932-17.58
11イギリス182.81.328+14.07
12カザフスタン154.61.124+3.122
13スペイン153.11.113+12.59
14ルーマニア151.51.1+38.65
15リトアニア149.41.086-1.859
16チェコ105.70.768-8.216
17エストニア93.990.683-0.917
18フィンランド87.30.634-4.528
19ベラルーシ72.860.529+2.484
20ポーランド69.010.501+8.934
21ラトビア65.90.479+27.47
22アルゼンチン59.810.435-79.86
23デンマーク55.250.401-12.79
24スウェーデン54.260.394-36.16
25ペルー50.160.364-2.183
26コロンビア43.320.315+0.129
27マラウイ43.280.314-0.849
28イタリア40.520.294-11.45
29ミャンマー37.820.275-0.21
30ギリシャ33.870.246-3.751
31モロッコ32.960.239+226.1
32スロバキア30.190.219-12.62
33タンザニア29.90.217-3.812
34ハンガリー27.140.197+11.41
35モルドバ24.870.181+61.52
36ニュージーランド24.50.178-0.147
37マダガスカル20.020.145-0.295
38パキスタン18.80.137-14.88
39ブルガリア18.770.136-6.663
40トルクメニスタン17.750.129-0.281
41オーストリア14.620.106+0.967
42ウガンダ130.0945+2.649
43タジキスタン12.180.0885+3.427
44ルワンダ12.120.088-13.85
45アルジェリア11.40.0828+17.14
46イスラエル9.50.069+10.79
47ブルンジ9.4440.0686-6.703
48モーリタニア9.2050.0669+0.359
49アゼルバイジャン9.090.066+21.33
50バングラデシュ7.7070.056-5.215
51コンゴ7.060.0513+0.343
52リビア6.010.0437+0.717
53ノルウェー6.0030.0436+3.104
54スイス5.9790.0434-43.57
55パラグアイ5.4510.0396+0.159
56ボリビア5.3780.0391+0.000744
57チュニジア5.1870.0377-1.267
58ボスニア・ヘルツェゴビナ5.0330.0366+213.2
59シリア4.1850.0304+17.69
60レバノン3.8020.0276+2.205
61トルコ3.7980.0276+58.78
62ウズベキスタン3.4820.0253+0.274
63シエラレオネ3.1420.0228+0.14
64ブラジル2.7990.0203-24.76
65ウルグアイ2.760.0201+0.153
66アイルランド2.750.02+4.167
67ベルギー2.330.0169+4.484
68イエメン2.2630.0164-12.1
69北マケドニア2.1560.0157+0.173
70メキシコ1.5710.0114+0.344
71コンゴ民主共和国1.490.0108+0.949
72モンテネグロ1.4710.0107+0.663
73クロアチア1.370.00995-4.861
74日本1.1270.00819+0.415
75ニジェール1.1260.00818-0.231
76ブータン0.9720.00706-1.589
77チリ0.9480.00688-3.007
78南アフリカ0.9210.00669
79ジャマイカ0.8330.00605-13.23
80ベリーズ0.6750.0049-60.41
81エリトリア0.6640.00482-0.0708
82スロベニア0.590.00429-19.18
83エクアドル0.5510.004-30.03
84ガイアナ0.4870.00354-0.119
85ドミニカ共和国0.4450.00324+0.524
86ルクセンブルク0.440.0032-54.64
87レソト0.3570.00259-23.88
88エジプト0.270.00196-37.97
89ベネズエラ0.1220.000886-9.771
90パレスチナ0.1130.000823-5.815
91キルギスタン0.0920.000668-64.75
92ジョージア0.08120.00059-1.599
93アルメニア0.06490.000472+81.79
94キプロス0.060.000436
95韓国0.006224.52E-5
96マルタ00
エンドウ豆の生産量
エンドウ豆の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

エンドウ豆の現状と今後

2023年の世界全体のエンドウ豆(Peas)生産量は13,760千トン(kt)で、前年に比べて約2.99%の減少が見られました。これは、主要生産国の1部で天候不順や作付面積の減少が影響した結果とみられます。エンドウ豆はたんぱく質や食物繊維を豊富に含むため、近年は健康志向や植物性食品の需要の高まりを背景に、食品加工や畜産飼料向けとしての需要が世界的に拡大しています。

ただし、他の穀類作物との競合作付や輸出先の需要変動、農業政策などによって、生産量は地域ごとに大きく異なる動きを示しています。


主要生産国別の動向と特徴

ロシア(3,707kt、前年比+2.511%)

世界最大のエンドウ豆生産国であり、全体の約27%を占めます。広大な農地と気候条件を活かした機械化農業により、安定した生産を維持しています。2023年も微増となっており、食料安全保障や輸出の観点からも政府による生産支援が続いていると見られます。

カナダ(2,609kt、前年比-23.79%)

カナダは長らくエンドウ豆の主要輸出国でしたが、2023年には大幅な減産となりました。干ばつなどの気候影響に加え、他の作物(小麦、キャノーラ)との作付競合が減少要因と推察されます。それでも輸出向けの生産体制は整っており、今後の回復が見込まれます。

中国(1,500kt、前年比+1.221%)

中国では伝統的にエンドウ豆は野菜としても栽培されており、地域によって乾燥豆と青果用で用途が分かれています。わずかな増加にとどまりましたが、内需の安定性を背景に1定の水準を維持しています。都市部での冷凍食品需要が今後の成長要因となる可能性があります。

インド(1,134kt、前年比+12.94%)

急成長を示したのがインドで、前年比13%近くの増加を記録しました。インドでは豆類全般の自給率向上が国家政策のひとつとなっており、パルス(pulses)需要の高まりを受けて作付が増えたと考えられます。今後も増産傾向が続く可能性が高いです。

アメリカ(820.4kt、前年比+16.56%)

近年、アメリカではプラントベース食品の流行により、エンドウ豆から作るプロテインパウダーや代替肉が注目されています。この市場の後押しにより、2023年は16%以上の増産が見られました。商業規模でのエンドウ豆加工が進むと、さらなる増産が期待されます。


中規模・新興生産国の動き

フランス(485.2kt、前年比+21.32%)

欧州連合の中でアグリテック導入が進んでいるフランスは、環境対応型の農業支援策のもと、エンドウ豆生産が増加傾向にあります。特に家畜飼料や植物性タンパク供給源としての利用が拡大し、生産の底上げが図られています。

エチオピア(405.5kt、前年比+3.604%)

エチオピアでは、在来の豆類と並んでエンドウ豆が栽培されており、安定した成長を続けています。人口増加に伴う国内需要と農業投資の進展が背景にあります。今後はアフリカ内での供給源としても期待されます。

ウクライナ(368.4kt、前年比+41.88%)

2023年の大幅増加は、農地の1部回復や小麦など他の作物からの作付転換によるものと考えられます。輸出用作物としての位置づけが高まっており、戦争の影響を受けながらも回復の兆しを見せている点は注目に値します。

オーストラリア・ドイツ

オーストラリア(+20.17%)では、乾燥地農業のノウハウを活かして高品質なエンドウ豆の生産が増加中。1方、ドイツ(-17.58%)は天候不順や市場価格の低迷が影響し、減産となりました。


将来の展望と課題

世界のエンドウ豆市場は、植物性タンパク質の需要拡大健康志向の食品開発家畜飼料としての利用などにより、今後も堅調な需要が見込まれます。とりわけ北米・欧州・インドにおいては、食料安全保障と持続可能な農業政策が生産拡大を後押しする要因となります。

1方で、カナダのような主要国での気候リスク、ドイツのような価格変動、ウクライナのような地政学的リスクなど、安定供給には複数の障害も存在します。また、収穫や保管技術の改良、輸送インフラ整備なども、生産国間の競争力を左右する重要要素となるでしょう。

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