世界のピスタチオ生産動向:主要国の特徴と今後の展望

ナッツ類

ピスタチオの世界生産量は2023年に1303ktに達し、前年から27%増加。アメリカが過去最高の675.9ktで世界の半数以上を占め、イランも回復傾向にある。一方、トルコは大幅減少。今後は健康志向の高まりによる需要増とともに、生産国の拡大や技術革新が進む見込み。

ピスタチオの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[kt]全体比[%]前年比[%]
世界1303100+27
1アメリカ675.951.85+68.93
2イラン307.923.62+27.39
3トルコ17613.5-26.45
4中国80.626.185-0.511
5シリア45.233.47-0.532
6マダガスカル7.1850.551+7.904
7チュニジア3.2750.251+0.602
8アフガニスタン2.8020.215+0.305
9オーストラリア1.5170.116+0.179
10キルギスタン0.9210.0707+0.632
11イラク0.7190.0552-71.08
12ウズベキスタン0.7070.0542+79.42
13ヨルダン0.3530.0271+8.406
14パキスタン0.2970.0228-2.672
15メキシコ0.04820.0037-27.74
16モロッコ0.0460.00353-0.0868
17アゼルバイジャン0.02770.00213-1.071
18モーリシャス0.004420.000339-8.489
ピスタチオの生産量
ピスタチオの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

ピスタチオの現状と今後

2023年の世界におけるピスタチオの総生産量は1303kt(千トン)で、前年と比較して27%もの大幅な増加を記録しました。この成長は主に、最大の生産国であるアメリカ合衆国による飛躍的な増産に支えられています。世界のピスタチオ生産は過去数十年間で安定した成長を続けており、気候変動や農業技術の進歩、国際市場の需要変化によって影響を受けつつも、その需要は中東やアジア、欧米の健康志向の高まりにより高水準を維持しています。


主要生産国別の特徴と変化

アメリカ合衆国(675.9kt、前年比+68.93%)

アメリカは世界のピスタチオ生産の約52%を占め、圧倒的な首位に立っています。特にカリフォルニア州が主な産地で、灌漑技術や栽培管理の進化によって、気候変動リスクを抑えつつ安定した収穫が可能となっています。2023年の大幅増加は、好天候と収穫年の「裏年」からの反動が重なった結果と考えられます。今後も機械化と大規模農場運営による効率化が進むと予想され、さらなる増産余地を持っています。

イラン(307.9kt、前年比+27.39%)

かつて世界最大の生産国であったイランは、現在でも根強い存在感を持ち、世界の約24%を占めます。乾燥地での伝統的な栽培手法に加え、最近では効率的な灌漑法も1部導入されつつあります。生産量の回復傾向は見られるものの、水資源の枯渇や国際的な経済制裁の影響が課題です。

トルコ(176kt、前年比-26.45%)

トルコは2023年に大きく生産量を減らしました。これは主に異常気象や収穫年の波、あるいは労働力不足が影響していると見られます。ただし、ピスタチオはトルコ料理や中東菓子に不可欠な食材であり、国内需要は底堅いため、農業支援政策次第では回復も期待できます。


中小規模生産国の動向

中国(80.62kt、前年比-0.511%)

中国では新疆ウイグル自治区を中心にピスタチオ栽培が進められており、近年は新規植栽の拡大が見られます。生産量はほぼ横ばいですが、国内市場の急速な健康志向化により、需要拡大の圧力がかかっており、将来的な増産の余地があると考えられます。

シリア(45.23kt、前年比-0.532%)

長引く紛争の影響で農地管理が難しい中でも、伝統的なピスタチオ栽培が継続されています。生産量はほぼ維持されており、地域の平和とインフラ再建が進めば、潜在的な生産能力の拡大も可能です。

マダガスカル、チュニジア、アフガニスタン、オーストラリア、キルギスタン

これらの国々はいずれも小規模ながら、安定的あるいは緩やかな増加傾向を示しています。特にマダガスカル(+7.9%)はアフリカでの栽培拡大の可能性を示唆しており、将来的なニッチ市場への供給源としての成長が注目されます。


将来予測と見通し

世界のピスタチオ市場は今後も需要拡大が見込まれており、特にアメリカとイランは引き続き中心的な役割を果たすと予想されます。気候変動の影響を受けにくい地域での栽培技術革新が進めば、生産国の多様化も進む可能性があります。中東やアジアでの消費増加に加え、植物性タンパク質源としての評価が高まっていることも、長期的な追い風となります。

1方で、極端な気象、労働力の確保、農地の奪い合い、水資源の制約といった課題も存在し、それに対応する政策・技術投資が将来の成長の鍵となるでしょう。

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