日本の全産業における平均給料は29.25万円で前年比+1.7%。パートや女性の給与は伸びているが、依然として正社員・男性との格差が大きい。雇用形態と性別の違いによる待遇差が課題で、今後は構造的な賃上げと制度整備が重要となる。
男女別の給料の推移
最近の給料データ
合計 | 一般労働者 | 男性計 | 女性計 | パートタイム労働者 | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最大期 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 |
最新値[万円] | 29.25 | 37.66 | 36.42 | 21.54 | 10.9 |
最大値[万円] | 61.74 | 83.79 | 80.15 | 41.78 | 13.05 |
前年同月比[%] | 1.706 | 1.961 | 1.259 | 3.386 | 4.281 |
全産業の給料の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
日本の労働者の給与水準は、経済動向・物価・人手不足の影響を受けつつ推移しています。2025年1月時点の最新データでは、全体の平均給与は29.25万円。しかし、雇用形態や性別によって大きな格差が存在しています。本章では、その実態と今後の見通しを多角的に考察します。
全体の給料水準と近年の推移
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全体平均(5人以上):29.25万円
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前年比増加率:+1.706%
近年の傾向として、緩やかな賃上げ傾向が続いており、企業が人材確保のために賃金を引き上げる流れが見えます。しかし、実質賃金(物価上昇を考慮)は伸び悩んでおり、生活実感とのギャップが問題視されています。
雇用形態別の給与格差
雇用区分 | 最新の月額給与 | 前年同月比 |
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一般労働者 | 37.66万円 | +1.961% |
パート労働者 | 10.9万円 | +4.281% |
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一般労働者の給与がパートの約3.5倍であり、雇用形態による待遇格差は依然として大きいです。
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パートの伸び率は高めだが、元の水準が低いため「追いついている」とは言えず、生活の安定性にも課題があります。
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無期転換ルールや同一労働同一賃金の導入が進んだことで、パートタイム労働者の賃上げ圧力は強まっています。
男女別の給与格差と問題点
区分 | 最新の月額給与 | 前年同月比 |
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男性 | 36.42万円 | +1.259% |
女性 | 21.54万円 | +3.386% |
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男女間には約15万円の差(男性の約59%水準)があり、依然として顕著な賃金格差が残っています。
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女性の伸び率が高いのは、昇進・登用の機会が徐々に広がりつつあることを反映していますが、フルタイム比率の違いや職種分布の偏りが差の主因です。
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管理職比率の男女差や育児休業後の復帰制度の未整備も課題となっています。
産業全体における課題と背景
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コロナ禍以降の雇用環境改善とともに賃金も回復傾向にありますが、労働生産性の上昇が伴っていない点が中長期的な懸念です。
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中小企業では大手と同水準の賃上げが難しく、業種・企業規模によるばらつきも深刻です。
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物価上昇(インフレ)により、実質賃金はむしろ低下している局面も見られます。
今後の見通しと期待
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人手不足が続く限り、企業の賃上げ圧力は継続し、特にパートや女性の給与は今後も緩やかに上昇が見込まれます。
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政府が主導する「構造的賃上げ」政策や最低賃金の引き上げも、全体の底上げに貢献するでしょう。
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一方、非正規雇用の待遇改善が進まなければ、ワーキングプアの拡大や労働市場の二極化が続くリスクもあります。
まとめ
給与水準は全体として回復傾向にあるものの、雇用形態や性別による格差が依然として大きい現状があります。特にパートタイム労働者や女性の処遇改善は今後の鍵を握っており、制度改革と企業文化の両面からの対応が求められます。
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