北海道・東北のさつまいも市場価格動向|地域別価格差と今後の予想

さつまいも

2025年6月の北海道・東北地方では、さつまいもの市場価格は札幌市で388.7円/kg、仙台市で334円/kgと高水準。札幌市は前年比+24.31%と大幅に上昇し、数量も増加。一方仙台市は数量減少。価格高騰の背景には物流コストの上昇、需要増、生産地の供給制約があり、今後は地域特性を活かした販売戦略が重要となる。

さつまいもの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1札幌市388.7+24.31
2仙台市334+8.558

市場価格の推移

さつまいもの市場価格

北海道・東北の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1札幌市0.192+13.61
2仙台市0.092-4.167

卸売数量の推移

さつまいもの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

さつまいもの卸売り市場の現状と今後

2025年6月時点における北海道・東北地方のさつまいも市場では、札幌市が388.7円/kg、仙台市が334円/kgと、いずれも全国平均(362.3円/kg)を上回るか、近い水準に位置しています。価格は札幌市で前年比+24.31%の大幅上昇、仙台市でも+8.558%と堅調な伸びを示しています。

卸売数量では、札幌市が0.192ktで同地域最多、仙台市が0.092ktとやや控えめです。前年同月比では、札幌市が+13.61%と増加傾向、仙台市は-4.167%と減少しており、地域内でも対照的な動きを見せています。


価格と数量の推移 ― 安定成長と変動の構造

価格の推移

北海道・東北地域では、過去15年にわたりさつまいも価格が緩やかに上昇してきました。特にここ数年の健康志向や焼き芋ブームの追い風を受け、需要が拡大。2025年6月時点での価格上昇は、これらの継続的な消費傾向と流通コスト上昇が背景にあります。

数量の推移

数量面では、札幌市が堅調に増加しているのに対し、仙台市は減少しています。これは流通機構や市場規模の違い、あるいは他産地・他流通ルートとの競合の影響も考えられます。


都市別の特徴 ― 札幌市と仙台市の比較

  • 札幌市(388.7円/kg、0.192kt)地理的にさつまいも主要産地から離れていることもあり、輸送コストの上乗せが価格上昇の1因となっています。にもかかわらず数量も前年比+13.61%と増加している点は注目で、地元の焼き芋・スイーツ需要や観光地販売の影響が大きいと考えられます。

  • 仙台市(334円/kg、0.092kt)東北圏内で比較的大きな市場でありながら、数量は減少傾向。地域内での他品目との競合や、消費スタイルの変化が影響している可能性があります。1方で価格は安定上昇しており、高単価でも1定の需要を維持していることがうかがえます。


価格高騰の要因 ― 複合的な構造

  1. 物流コストの上昇 北海道や東北は本州の主要産地から離れているため、燃料費高騰や人件費増による輸送費の上昇が価格に転嫁されています。

  2. 需要の構造変化 特に北海道では観光地でのさつまいもスイーツ需要や家庭での焼き芋消費が定着。高単価でも購入される傾向が強い

  3. 生産地の供給制約 近年の高温・干ばつ・病害によって、さつまいもを主に生産する南9州や関東の出荷量に影響が出たことで、仕入価格が高騰し、各地の小売・市場価格に波及しています。


さつまいも生産の動向と北海道・東北への影響

さつまいもの主産地は鹿児島・茨城・千葉などですが、気候変動の影響や農家の高齢化により、生産量は横ばいもしくは減少傾向にあります。代替的に1部では東北地域でもさつまいもの栽培が試みられていますが、寒冷地での安定栽培には課題が多く、道内での大規模生産は困難です。

このため、北海道・東北は引き続き「高コスト仕入れによる高価格市場」として機能しやすく、販売戦略としては品質訴求型のスイーツ・加工品中心の展開が今後も主流となると見られます。


今後の展望と課題

北海道・東北のさつまいも市場は、今後も1定の価格高水準を維持する可能性が高いです。1方で、数量増加を図るには輸送効率化や地場栽培の拡充、加工品開発といった取り組みが不可欠です。

また、地域の観光や土産品需要と結びつけた販売ルートの確保・ブランド化が求められます。供給面では、安定した物流・保管インフラの整備が今後の成長に向けた鍵となるでしょう。

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