全国のさつまいも価格の地域差と上昇傾向|2025年最新動向分析

さつまいも

2025年6月時点で全国のさつまいも市場価格は362.3円/kgと高水準。金沢市や沖縄県では400円/kgを超え、供給量が減少する一方で価格は上昇傾向。一部都市では需要拡大による数量増もみられ、価格高騰の背景には農業資材高騰・気候変動・加工需要の拡大がある。今後は付加価値戦略と安定供給がカギ。

さつまいもの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]主要比前年同月比[%]
主要市場362.3100+16.38
1金沢市489135+19.46
2沖縄県485133.9+35.98
3高松市434.7120+47.18
4広島市425117.3+31.85
5京都市399110.1+18.05
6札幌市388.7107.3+24.31
7大阪市386.3106.6+16.6
8福岡市365100.7+12.89
9東京都364.7100.6+16.76
10北九州市35898.8+5.708
11名古屋市348.796.23+12.59
12仙台市33492.18+8.558
13横浜市322.388.96+15.67
14神戸市292.380.68+12.43

市場価格の推移

さつまいもの市場価格

全国の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]主要比前年同月比[%]
主要市場3.774100-8.354
1東京都1.18331.35-17.27
2名古屋市0.59115.66+4.602
3大阪市0.49513.12-14.66
4横浜市0.40410.7+1.508
5京都市0.2476.545-10.18
6神戸市0.2165.723-6.494
7札幌市0.1925.087+13.61
8福岡市0.1313.471+16.96
9高松市0.0952.517+4.396
10仙台市0.0922.438-4.167
11広島市0.051.325-25.37
12北九州市0.0431.139-28.33
13金沢市0.0240.636+14.29
14沖縄県0.0120.318-52

卸売数量の推移

さつまいもの卸売数量

カテゴリー

詳細なデータとグラフ

さつまいもの卸売り市場の現状と今後

2025年6月現在、日本全国の主要市場におけるさつまいもの平均市場価格は362.3円/kgと高水準を記録しています。都市別で見ると、金沢市が489円/kgで最高値、続いて沖縄県485円/kg、高松市434.7円/kg、広島市425円/kgと、地方都市において特に高騰傾向が見られます。

1方、卸売数量では、東京都が1.183ktと最も多く、名古屋市0.591kt、大阪市0.495kt、横浜市0.404ktが続きます。全体的に価格は上昇基調にあり、数量はやや減少傾向が見られる市場が多い1方、福岡市や札幌市など1部都市では数量の増加が観察されます。


価格と数量の推移とその背景

価格の推移

2008年以降、さつまいもの価格は年々上昇基調にありますが、2022年以降の数年間で特に急激な高騰が見られました。2025年6月は前年比でも全国で+16.38%の上昇を記録しており、各都市でも高松市(+47.18%)、沖縄県(+35.98%)といった例外的な上昇率が観察されています。

数量の推移

卸売数量は全国合計で3.774ktと依然として多いものの、前年同月比で-8.35%と減少。東京都(-17.27%)や大阪市(-14.66%)など大都市圏で減少が目立ちます。生産地からの供給制限や価格高騰による購買抑制が背景にあると考えられます。


都市別の特徴

  • 金沢市(489円/kg):市場価格が全国最高。地元需要は比較的安定しており、品質志向の高い消費者が多い。高価格を支える要因といえる。

  • 沖縄県(485円/kg):地理的要因により流通コストが高く、それが市場価格に反映。生産量は少ないが、価格水準は高い。

  • 高松市・広島市(434.7円/kg・425円/kg):中4国地域での価格の上昇が目立つ。高松市では数量も増加傾向(+4.39%)で、安定した需要が背景に。

  • 東京都(364.7円/kg、数量1.183kt):数量は全国最多だが、前年比-17.27%と大きく減少。供給側の調整と価格高騰による購買抑制が影響か。

  • 福岡市(365円/kg):価格上昇は控えめ(+12.89%)だが、数量は+16.96%と需要増が顕著。流通環境が整備されており、消費地としての存在感が増している。


さつまいも価格高騰の主な要因

  1. 生産コストの上昇 農業資材(肥料・農薬・燃料)の価格高騰が、原価を押し上げ、販売価格にも影響。

  2. 気候変動の影響 近年の高温・干ばつ・台風の頻発が、作付面積や収穫量に影響を及ぼし、供給量の不安定化を招いた。

  3. 需要の多様化 近年の健康志向の高まりや、さつまいもスイーツなどの加工需要の増加が、特に都市部での需要を後押し。

  4. 輸送コストの増加 とくに離島や遠隔地では物流費が価格に上乗せされる傾向が強く、沖縄県などで高値が続く要因に。


さつまいも生産の動向と地域戦略

さつまいもは鹿児島県、茨城県、千葉県などを中心に全国で広く生産されるが、中小規模の高品質生産にシフトする傾向がみられます。大規模栽培よりもブランド品種(紅はるか、安納芋など)に特化する生産者が増加し、地域ブランド化によって高価格帯での販売を狙う動きが強まっています。

また、各地の農協や自治体では、貯蔵・熟成技術の向上や、焼き芋・スイートポテトなどの加工品販路の強化に注力し、価格競争に依存しない販売戦略が進んでいます。


今後の展望と課題

今後も高価格帯のトレンドは1定期間続くと予想されますが、消費者の負担増や代替品への流出を防ぐには、生産コストの抑制・物流改善が急務です。また、海外産との競合も視野に入れた品質戦略や差別化が不可欠です。

加えて、輸出市場の開拓や、観光・農業体験などとの連携を通じて、地域経済全体としてさつまいも価値を高める取り組みが期待されます。

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