2025年6月の関東のじゃがいも市場価格は東京都159.7円/kg、横浜市158.7円/kgと大幅下落。一方で卸売数量は東京都が5.894kt、横浜市は0.828ktと前年比大幅増。供給過多が価格に影響を及ぼし、今後は計画出荷や需給調整の精緻化が課題。
じゃがいもの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
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1 | 東京都 | 159.7 | -49.1 |
2 | 横浜市 | 158.7 | -46.21 |
市場価格の推移

関東の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
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1 | 東京都 | 5.894 | +26.45 |
2 | 横浜市 | 0.828 | +35.07 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
じゃがいもの卸売り市場の現状と今後
関東地方における2025年6月のじゃがいも市場価格は以下のようになっています。
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東京都:159.7円/kg(前年同月比 -49.1%)
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横浜市:158.7円/kg(前年同月比 -46.21%)
1方で、卸売数量は次のとおりです。
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東京都:5.894kt(前年比 +26.45%)
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横浜市:0.828kt(前年比 +35.07%)
価格は全国平均(156円/kg)に近い水準にあるものの、関東の中心市場である東京都と横浜市ともに前年比で大きく価格が下落しています。これは供給過剰や市場への流入量の急増に起因すると見られます。
過去の価格と数量の推移
関東では、過去10年以上にわたって価格と数量に1定の波はあるものの、安定的な流通量を背景に価格は穏やかな変動を示してきました。しかし、2023年以降は以下のような変動が目立っています。
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2023年〜2024年にかけての価格高騰:天候不順や作付け減が背景。
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2025年には1転して大幅下落:作柄の回復と、主産地(北海道・関東近郊)の出荷量増加により供給が急増。
特に東京都では、卸売数量が5.8ktを超える過去数年で最も高水準の1つとなっており、価格が下支えされないまま市場に大量に流入したことが急落の直接的要因と考えられます。
都市別の流通特徴
東京都
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国内最大の青果市場(大田市場など)を抱え、全国からの集荷と再分配の拠点。
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消費量・流通量ともに圧倒的であり、需給バランスに敏感。
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卸売数量が前年比26%以上増えたことで、市場価格を大きく圧迫。
横浜市
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東京に次ぐ大消費地だが、比較的地場の供給が多いのが特徴。
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流通機能が効率化されており、出荷量が35%近く増加するも、東京都と同様に価格が下落。
価格急落の主な要因
2025年6月時点の急激な価格下落の背景には、以下のような複合的要因があります。
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全国的な供給増加
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北海道や関東の産地で天候が好調だったことで、出荷量が増加。
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特に東京都では大量流入により、価格の調整が追いつかず。
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需要回復の鈍化
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家庭内調理需要がピークを過ぎ、外食産業の1部でもじゃがいもの使用が抑制傾向。
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物流費や人件費の高騰も価格転嫁されず、市場価格を下支えできず。
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消費地での競合と選別
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関東市場では産地・品質・規格の多様化により1部価格帯に集中し、上位品目が相対的に安値で流通。
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関東地方のじゃがいも生産と流通の特性
関東地方は、北海道に次ぐじゃがいもの供給地でもあり、千葉・茨城・群馬などの近郊産地からの出荷が多く、「地産地消」+「全国からの集荷」型の2重構造となっています。
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近郊産地では、早期出荷・安定収穫を目指した機械化栽培やハウス導入が進んでいます。
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1方で、輸送コストの削減効果が高く、消費地近隣の産地からの供給が多いほど市場価格に安定感が出やすい。
今後の展望と対応策
価格の乱高下を抑え、市場の安定性を保つために次の対応が求められます。
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生産量・出荷量の平準化:産地と市場の連携による計画出荷。
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需要予測に基づく調整弁の整備:冷蔵保存や加工用回避による市場圧力の緩和。
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付加価値化商品の開発:新じゃがや有機栽培品のブランド化による単価維持。
東京都・横浜市など大都市市場では、流通インフラと消費ニーズの接点で需給調整を行う制度設計が必要です。
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